外国人技能実習制度が大きく変わろうとしています。
新たに「育成就労制度」が導入されることで、外国人材の受け入れ方法や目的が大きく変化するのです。
この記事では、新制度の概要や開始時期、そしてメリットについて詳しく解説します。
外国人採用を検討している企業や、日本での就労を希望する外国人にとって、重要な情報となるでしょう。
目次
外国人技能実習生の新制度「育成就労制度」とは
育成就労制度は、日本の産業界における人材不足を解消するために導入される、新しい制度です。
従来の技能実習制度が国際貢献を主な目的としていたのに対し、この新制度は日本の産業を支える人材の育成と確保に重点を置いています。
これらの変更により、外国人材にとってはキャリアパスが明確になり、企業側は長期的な人材育成が可能になります。
技能実習制度 | 育成就労制度 | |
目的 | 国際貢献のための人材育成 | 人材確保と人材育成 |
在留期間 | 最長5年 | 原則3年 (特例として最大6年間) |
受け入れ条件 | 技能実習の職種を母国で経験または学校などで勉強したうえで、入国後講習を受ける | N5レベルの日本語能力を有している |
受け入れ後の移行 | 技能検定試験に合格する | 1年以内に技能検定基礎級等に合格が必須 3年以内に技能検定3号等または特定技能1号に合格が必須 |
転職・職場変更 | 不可 | 条件を満たせば可能 |
サポート団体 | 監理団体 | 監理支援機関 |
職種 | 91職種167作業 | 特定技能1号の職種に準ずるもの |
日本語能力要件 | 原則なし(介護のみN4) | N5相当 |
派遣への従事可否 | 不可 | 農業漁業では可能 |
受け入れ側の計画書 | 技能実習計画を作成 | 育成就労計画を作成 |
外国人技能実習生の新制度「育成就労制度」はいつから?
新制度の導入に向けた動きはすでに始まっています。
2024年3月15日に新制度を設立する改正案が閣議決定されました。
今後、改正審議を経て改正法が施行されたあとに、本格的に運用が始まる見込みです。
具体的なスケジュールとしては、改正法の審議と成立が2024年中に行われ、その後2年から3年程度の移行期間を経て、2027年頃に本格施行されると予想されています。
ただし、この日程はあくまで予定であり、実際の進捗状況によって変更される可能性があります。
企業や外国人材は、最新の情報に注意を払いながら、新制度への対応を進めていく必要があるでしょう。
外国人技能実習生の新制度「育成就労制度」のメリット
育成就労制度には、企業と外国人材の双方にとって多くのメリットがあります。
ここでは、特に重要な2つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
長期的に雇用ができる
育成就労制度の最大のメリットは、長期的な雇用が可能になることです。
従来の技能実習制度では、最長でも5年までしか受け入れができませんでした。
しかし、新制度を利用して特定技能の在留資格を得れば、継続して働けるようになります。
これにより、企業は安定した人材確保が可能になり、長期的な人材育成計画の立案や技能の継承がスムーズに行えるようになります。
一方、外国人材にとっても長期的なキャリアプランが立てやすくなり、日本での生活基盤を安定させ、より充実した生活を送ることができるようになるでしょう。
日本語力がある人材を採用できる
育成就労制度のもう一つの大きなメリットは、一定の日本語能力を持つ人材を採用できることです。
従来の技能実習制度では、介護分野以外は日本語能力に関する明確な基準が定められていませんでした。
そのため、実習生によって日本語能力に大きな差があり、意思疎通に苦労するケースもありました。
新制度では、受け入れ時に日本語能力N5以上という基準が設けられています。
これにより、スムーズなコミュニケーションが可能になり、業務効率の向上や安全管理の徹底、日本人従業員との良好な関係構築が期待できます。
日本語能力の高い人材を採用できることで、職場の雰囲気も大きく改善されるでしょう。
外国人材にとっても、日本語力を活かして活躍の場を広げられるというメリットがあります。
外国人技能実習生の新制度を理解して施行に備えよう
育成就労制度は、日本の産業界と外国人材の双方に大きな変化をもたらします。
長期雇用の可能性や日本語能力のある人材の採用など、多くのメリットがある一方で、完全施行までには数年を要します。
この移行期間を有効活用し、新制度への対応を準備することが重要です。
企業は受け入れ体制の整備と育成計画の策定を、外国人材は日本語能力の向上と技能習得に取り組むべきでしょう。
新制度の詳細や最新情報に常に注意を払い、円滑な移行をめざすことが求められます。
積極的に情報収集を行い、新制度のメリットを最大限に活かせるよう準備を進めましょう。