キャリアアップ助成金は、企業における非正規雇用労働者のキャリア向上を支援する制度です。
この助成金は、有期雇用労働者などの非正規雇用労働者を正社員化したり、処遇を改善したりする取り組みを行う事業主に対して支給されます。
支給要件を満たし、適切な申請手続きを行えば、多くの事業主が活用できる制度です。
本記事では、外国人労働者に適用されるキャリアアップ助成金の対象範囲と、その他の有用な助成金制度について詳しく解説していきます。
目次
外国人労働者のキャリアアップ助成金の対象
厚生労働省が2024年4月12日に更新した最新のガイドラインでは、外国人労働者のキャリアアップ助成金対象が下記のように明確に定められています。
正社員化コース | その他のコース (処遇改善支援コース) |
|
外国人技能実習生 | 対象外 | 対象 |
就労目的で在留が認められる外国人 | 対象 | 対象 |
在留資格が永住者 | 対象 | 対象 |
在留資格が定住者 | 対象 | 対象 |
在留資格が特定活動(EPA受入れ人材) | 対象※1 | 対象 |
在留資格が特定技能第1号 | 対象外 | 対象 |
在留資格が特定技能第2号 | 対象 | 対象 |
※1:在留資格が特定活動の外国人(EPA受入れ人材)については、看護師や介護福祉士の試験に合格した場合は対象となるが、在留期間に上限があるため、試験合格前の候補者は対象とならない
この助成金を利用するには、キャリアアップ管理者を設置し、キャリアアップ計画を作成しなくてはなりません。
雇用保険適用事業所の事業主で、管轄労働局長から受給資格の認定を受けていることが条件となります。
外国人労働者を雇用する際に利用できる助成金
外国人労働者の雇用に関連する助成金は、キャリアアップ助成金以外にも多数存在します。
それぞれの助成金には独自の目的と支給要件があり、企業の状況に応じて最適な制度を選択することが重要です。
以下では、主要な助成金制度について、その特徴と活用方法を詳しく解説していきます。
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
外国人労働者の職場定着を促進するため、就労環境の整備に取り組む事業主を支援する制度です。
この助成金は、外国人特有の課題に対応した就労環境の整備を行い、職場定着を図る事業主に支給されます。
申請にあたっては、新たな就労環境整備措置を導入し、すべての外国人労働者に対して実施することが求められます。
雇用調整助成金
経済的な理由で事業規模の縮小を余儀なくされた事業主を支援する制度です。
この助成金は、外国人を含む従業員の雇用維持を図るための休業、教育訓練、出向に必要な費用をカバーするためのものです。
事業活動の縮小を迫られている事業主が、雇用を維持するための選択肢として活用できます。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
就職が困難な求職者の雇用機会を広げるための支援制度です。
ハローワークや職業紹介事業者を通じて紹介された求職者を、一定期間試行雇用する場合に利用できます。
雇用保険適用事業所であれば、外国人労働者のトライアル雇用にも活用可能です。
人材開発支援助成金(特定訓練コース)
従業員のスキルアップを支援するための助成金制度です。
外国人を含む従業員が専門知識や技能を取得するために必要な訓練費用を補助することで、人材育成を促進します。
利用には事前の訓練実施計画の提出が必要で、開始日の1ヵ月前までに管轄労働局へ申請しなくてはなりません。
外国人労働者のキャリアアップ助成金を理解して参考にしよう
外国人労働者のキャリアアップ助成金制度は、在留資格によって適用範囲が異なる複雑な仕組みです。
就労目的で在留が認められる外国人や永住者は多くのコースで対象となりますが、技能実習生や特定技能第1号については制限があります。
また、人材確保等支援助成金や雇用調整助成金など、状況に応じて活用できるさまざまな支援制度が他にも用意されています。
これらの助成金制度を適切に理解し活用することで、外国人労働者の雇用管理の質を高め、企業の競争力向上につなげることができるでしょう。
事業主は、自社の状況と目的に合わせて最適な助成金を選択し、積極的に活用することをおすすめします。