
外国人労働者の増加にともない、企業では文化や習慣・言語の違いから起こるコミュニケーション不足によるトラブルが発生しています。
外国人労働者の定着と企業の発展のためには、このようなコミュニケーション問題の解決が不可欠です。
本記事では、外国人労働者とのコミュニケーション問題の原因や企業に与える影響、解決策について詳しく解説します。
目次
外国人労働者とのコミュニケーション問題とは
令和5年10月末の時点で、外国人労働者数は初の200万人を超えました。
外国人雇用状況の届出を義務化して以来、過去最高の人数です。
近年、外国人労働者が増加しているなかで、文化や習慣、言語の違いからコミュニケーションが不十分になり、トラブルに発展する問題があります。
コミュニケーションの問題が生じると、業務効率が下がったり、雰囲気の悪化につながったりするだけでなく、外国人にとって働きにくい環境になるため離職につながりかねません。
外国人労働者を定着させ、会社に利益をもたらすためにも、コミュニケーション問題を解決することが大切です。
外国人労働者とのコミュニケーション問題が発生する原因
外国人労働者とのコミュニケーション問題が発生する主な原因としては、以下の3つが挙げられます。
- 言語の違い
- 文化圏の違い
- 職場の配慮不足
これらの原因について詳しく見ていきましょう。
言語の違い
言語の違いから、意思疎通が不十分になり、トラブルに発展する場合があります。
例えば、日本語の理解が不十分な外国人労働者に、専門用語を使用して業務を伝えてしまうと、ミスや事故につながってしまうでしょう。
また、日本語では曖昧な表現や推測を必要とする言い回しなどが多く使われるため、外国人労働者に意図がうまく伝わらない場合もあります。
労働条件や契約などでも難しい日本語が使われるため、トラブルにつながりやすい点に注意が必要です。
文化圏の違い
外国人労働者の母国では、日本とは大きく異なる文化や習慣がある場合も多いです。
日本の文化や習慣を強要すると、トラブルに発展する危険性があります。
例えば、報連相の実施や時間厳守など、日本人にはあたりまえのようなルールでも、外国人労働者にとっては、理解できない場合があるでしょう。
残業や休日の取り方などの習慣も違うため、無理に押し付けると外国人労働者の不満や健康問題につながりかねません。
職場の配慮不足
外国人に対する職場の配慮が不足している場合、コミュニケーションの問題につながりやすくなります。
価値観が違う外国人に対する理解不足や、理解しようとする意識の欠如が原因といえるでしょう。
例えば、職場で外国人労働者に対する社内教育が行き届いておらず、外国人に対する差別や偏見がある環境で外国人を雇用している場合があります。
また、外国人労働者がコミュニケーションが取りやすい環境の整備が不十分である場合も、問題になりやすいです。
難しい用語に対する配慮が足りなかったり、コミュニケーションの取り方について職員に周知していなかったりすることが挙げられます。
外国人とのコミュニケーション問題によって生じる不利益
コミュニケーション問題が生じると、外国人労働者にとって働きづらい職場になってしまい、せっかく採用した外国人労働者の離職を招いてしまいます。
人手不足解消の手段として採用した外国人労働者の離職は、労働力の低下を引き起こすことになるでしょう。
また、コミュニケーションの問題によって、作業でミスが生じやすくなり、作業効率の低下につながる可能性もあります。
場合によっては、重大な事故を引き起こすリスクもあり、外国人労働者と会社の双方にとって不利益が生じてしまいます。
外国人労働者とのコミュニケーション問題を解決するには?
外国人労働者とのコミュニケーション問題を解決するためには、双方の歩み寄りが重要になります。
具体的には、言語だけでなく日本文化やマナーの教育を行ったり、日本人社員に異文化理解の研修を実施したりするなどの方法が考えられます。
また、コミュニケーションを円滑にするための環境整備も欠かせません。
言語のみでなく日本文化やマナーの教育も行う
日本語教育を行うのはもちろんですが、日本文化やマナーを理解するための研修を実施することも大切です。
一方的に日本の価値観を押し付けるのではなく、外国人の価値観に理解を示しつつ、会社の理念として学んで欲しい日本文化や守ってほしいマナーを伝えましょう。
相互を尊重し合う態度で接すれば、外国人も価値観の押し付けとは感じず、協力関係の構築につながるはずです。
日本人社員に異文化への理解に向けた研修をする
外国人だけでなく、日本人社員にも、外国人に対して差別や偏見を持たないように、異文化への理解を促すような研修を行うことが重要です。
外国人が海外で働く苦労や難しさに対して、理解をして、積極的に協力できるような意識を持たせることが、コミュニケーション問題の解決につながるでしょう。
また、コミュニケーションの方法についても、できるだけ外国人に伝わりやすくする工夫を、日本人社員に身につけてもらう必要があります。
例えば、遠回しな言い方を避けたり、ゆっくりと結論から話したりという工夫を行うよう教育するといった方法です。
コミュニケーションを円滑にするための環境を整える
コミュニケーションが円滑に行えるよう、職場の労働環境を整えることも求められます。
例えば、言語の壁を少しでも取り除くように翻訳アプリを導入したり、必要に応じて通訳を介すなど母国語のサポート体制を整えたりすることが有効でしょう。
また、採用後に日本語教育を受けられる体制を整えることも大切です。
例えば、日本語学校へ通わせたり、企業内で教育システムを構築したりして、外国人の日本語学習をサポートする方法です。
外国人労働者のコミュニケーション問題は外国人と日本人双方の教育が大切
外国人労働者とのコミュニケーション問題を解決するためには、外国人労働者に対する日本語教育や日本文化・マナーの研修に加え、日本人社員への異文化理解の教育も欠かせません。
また、翻訳アプリの導入や通訳の活用など、コミュニケーションを円滑にするための環境整備も重要です。
外国人労働者と日本人社員が互いの文化や価値観を尊重し合い、理解を深め合うことで、コミュニケーション問題の解決につながるでしょう。
企業には、外国人労働者の定着と活躍のために、双方に対する教育と環境整備に積極的に取り組むことが求められています。