
日本と海外では、働き方や労働環境に大きな違いがあります。
日本では終身雇用制度や年功序列型の賃金体系、新卒一括採用などが特徴的ですが、海外にもそれぞれの国や地域によって独自の働き方があるのです。
本記事では、日本と海外の働き方の違いについて詳しく解説していきます。
目次
日本と海外の働き方の違いとは?
日本と海外の働き方には、大きな違いがあります。
日本では終身雇用制度や年功序列型の賃金体系など、長期的な雇用を前提とした働き方が主流ですが、海外では国や地域によって多様な働き方が存在します。
ここでは、日本と海外の働き方の特徴について詳しく見ていきましょう。
日本の働き方の特徴
日本の働き方では、終身雇用制度や年功序列型の賃金体系、新卒一括採用などが特徴的です。
これらの制度は、高度経済成長期に確立されたもので、長期的な雇用を前提としています。
日本の働き方の特徴について、具体的に見ていきましょう。
終身雇用制度
終身雇用制度は、日本の働き方の大きな特徴の一つです。
この制度では、従業員は定年まで同じ会社で働き続けることが前提とされます。
令和4年就労条件総合調査によると、定年制度を導入している企業は94.4%にも上ります。
終身雇用制度は、1960年代の高度経済成長期に、優秀な人材を確保するために考案されました。
日本では、労働者も終身雇用を望む人が多い傾向です。
しかし、終身雇用制度は勤続年数の長い従業員の人件費がかさむため、日本経済の低迷とともに維持が困難になっており、減少傾向にあります。
年功序列型
年功序列型の賃金体系では、年齢や勤続年数によって従業員の昇進や賃金が決まります。
この制度は、安定的で長期的な勤務を推奨するためのものですが、近年では成果主義や能力主義を導入する企業も増加傾向にあります。
新卒一括採用
新卒一括採用は、日本特有の採用システムです。
毎年同じ時期に企業説明会が開催され、学生は卒業後の就職先を決定します。
就職活動には1〜2年を費やすことも一般的です。
企業は新卒者を一括で採用し、入社後に研修を行って戦力として育てていきます。
新卒者に即戦力を求められることは少ないのが特徴です。
残業の恒常化
日本では、残業が当たり前になっている職場が少なくありません。
遅くまで働く社員が評価されやすいという状況が、残業の恒常化を後押ししています。
上司が残っていると部下は帰りづらくなります。
また、上司の側でも、部下が残っているのに先に帰ることも良くないと、帰りづらさを感じることがあるでしょう。
残業によって長時間労働になると、過労死やメンタルヘルスの問題が発生しかねません。
厚生労働省は2019年から働き方改革を施行し、働きすぎを防ぐよう努めています。
労働基準法では、残業の上限を月45時間、年360時間と定めています。
海外の働き方の特徴
海外の働き方は、国や地域によって大きく異なります。
アメリカやドイツ、オランダ、タイなど、それぞれの国や地域で独自の働き方があるのです。
ここでは、主要な国の働き方の特徴について見ていきましょう。
アメリカの場合
実はアメリカ人の平均労働時間は、サービス残業を含まない場合、日本人よりも長くなっています。
アメリカでは成果主義・実力主義が主流で、即戦力が求められる傾向です。
新卒や中途採用の区別はなく、インターンシップ制度が盛んなため、学生時代から社会人経験やスキルを積み上げておく必要があります。
アメリカには終身雇用制度がなく、定時になったら帰宅するのが一般的です。
また、決められた範囲の仕事しかしない傾向があります。
ランチやスナックの無料提供を行う企業も多く、子どもや家族が病気の日は急遽テレワークができるようにしたり、学校が休みの日には子ども同伴の出勤を許可するなど、柔軟に対応する職場もあります。
ドイツの場合
ドイツでは、与えられた時間内に仕事をこなせる人が評価される傾向です。
仕事の量ではなく質が重視され、1日10時間以上の労働は罰則の対象になります。
ドイツでは、「デュアルシステム」という、学生時代に仕事を学べる制度が導入されています。
小学4年生で高校進学、職人、実技取得のいずれかを選択するため、転職が比較的少ないのが特徴です。
また、インターンシップ制度が盛んで、どの企業も学生向けに制度を取り入れており、職務経験を積んで仕事のやり方を覚える環境が整っています。
オランダの場合
オランダは、柔軟な労働制度と休暇制度が充実している国です。
育児休暇は子どもが8歳になるまで取得可能で、産前産後休暇や父親休暇は所得の100%が保証されます。
また、配偶者が出産後、4週間のうち2日の育児休暇が法律で認められています。
オランダでは、フレキシブルワークが進んでおり、週3勤務やテレワークなども珍しくありません。
非正規雇用と正規雇用の扱いも同等の水準です。
理想的なワークライフバランスを実現しやすい環境であるといえるでしょう。
タイの場合
タイでは、労働時間、環境、仕事観を含むHWP指標を導入している企業が多くあります。
HWP指標とは、Happy Workplace Programの略で、職場での従業員の健康促進やQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上を目的とする指標です。
タイでは勤務中の自由度が高く、食べながら、スマートフォンを見ながら、プライベートの電話をしながらといった「ながら仕事」も許容されています。
勤務時間が明確に決まっておらず、自分の仕事が終われば帰るのが一般的です。
働き方の違いによる影響について
日本と海外の働き方の違いは、効率性や生産性、ストレスなどの健康への影響、ワークライフバランスへの影響など、さまざまな点で影響を及ぼします。
ここでは、働き方の違いによる影響について詳しく見ていきましょう。
効率性や生産性
日本では長時間労働が一般的ですが、長時間労働は過労やストレスなどにより効率性が低下しやすく、生産性が落ちる可能性があります。
一方、海外では効率性や生産性を重視する働き方が主流で、与えられた時間内に質の高い仕事をこなすことが求められます。
ストレスなどの健康への影響
日本では長時間労働や残業が多いため、ストレスがかかりやすく、心身の健康被害が出やすい傾向にあります。
一方、海外では労働時間が短く、休暇制度が充実している国も多いため、ストレスが少なく、健康的に働ける環境が整っています。
ワークライフバランスへの影響
日本では長時間勤務が推奨されやすく、ワークライフバランスを実現しづらい傾向です。
有給休暇の取得率も世界水準より低く、休暇を取っても仕事から離れにくいケースもあります。
外国人にとって最優先事項が家族という人も多いですが、日本ではワークライフバランスが取りづらく、家族を犠牲にして会社に尽くす人も少なくありません。
一方、海外では休暇制度が充実しており、仕事と家庭の両立が可能な環境が整っている国も多くあります。
日本と海外の働き方の違いを把握して外国人雇用時のトラブルを回避しよう
日本と海外では、働き方や労働環境に大きな違いがあります。
日本では終身雇用制度や年功序列型の賃金体系、残業の恒常化などが特徴的ですが、海外ではそれぞれの国や地域によって独自の働き方があるのです。
働き方の違いは、効率性や生産性、ストレスなどの健康への影響、ワークライフバランスへの影響など、さまざまな点で影響を及ぼします。
外国人を雇用する際は、日本と海外の働き方の違いを把握し、トラブルを回避することが重要です。
外国人が働きやすい環境を整えるためには、柔軟な働き方の導入や休暇制度の充実、ストレスマネジメントなどが必要不可欠です。
日本と海外の働き方の違いを理解し、外国人が活躍できる職場づくりを進めていくことが求められています。