就労ビザの申請期間は、本人や会社の状況、申請内容、出入国在留管理庁の繁忙期などさまざまな要因によって変動します。
申請から取得までの期間を把握し、早めに準備することが重要です。
この記事では、就労ビザの申請にかかる期間の目安や影響する要因、企業が理解しておくべきポイントを詳しく解説します。
目次
就労ビザの申請にかかる期間は一定ではない
就労ビザの申請期間は、さまざまな要因によって変動します。
本人や会社の状況、申請内容、出入国在留管理庁の繁忙期などが影響を与えるため、一定ではありません。
本人や会社の状況が影響する
就労ビザの申請期間は、本人や会社の状況によって変わります。
例えば、過去に本人が日本国内で問題を起こしている場合です。
追加資料を必要とするなどして審査期間が長くなる傾向があります。
また、本人を受け入れる会社も、外国人が安全かつ安心して就労や生活ができるよう、安定性や継続性が求められます。
本人の素養や状況だけでなく、働く会社の経営状況なども審査の対象となるため、人によって申請から発給までにかかる期間は異なるのです。
出入国在留管理庁の繁忙期が影響する
出入国在留管理庁の繁忙期も、就労ビザの申請期間に影響を与える要因です。
通常、毎年2月から5月までは、外国人の在留資格更新や申請が多くなるため、審査期間が長くなる傾向にあります。
審査手続きは順次行われるため、周りの申請者が数週間程度で審査が完了しても、自分の申請は1ヵ月以上音沙汰がないというケースもタイミングによってはありえます。
出入国在留管理庁の繁忙期を考慮して、余裕を持って申請を進めることが大切です。
就労ビザの申請でかかる期間の目安
就労ビザの申請にかかる期間は、さまざまな要因によって変動しますが、おおよその目安を知っておくことは大切です。
ここでは、平均的な申請期間と、令和5年の申請期間の平均について解説します。
平均1~3ヵ月
就労ビザの申請にかかる期間の目安は、1ヵ月から3ヵ月です。
ただし、申請内容や繁忙期などによって大きく変動するため、3ヵ月かかると想定して申請を進めることが重要です。
個々のケースによって審査期間は異なるため、余裕を持って計画を立てることをおすすめします。
令和5年の申請期間の平均は?
令和5年上半期の在留資格証明書の申請にかかる期間の平均は、以下の表のとおりです。
職種の種類 | 在留審査処理期間(日数) | ||
第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | |
教授 | 34.8 | 26.5 | 25.9 |
芸術 | 43.0 | 43.3 | 49.7 |
宗教 | 68.1 | 80.2 | 93.5 |
高度専門1号イ | 33.4 | 31.5 | 30.2 |
高度専門1号ロ | 27.4 | 26.0 | 17.8 |
高度専門1号ハ | 85.2 | 64.6 | 40.3 |
経営・管理 | 82.4 | 94.9 | 90.5 |
法律・会計業務 | 45.3 | データなし | 16.0 |
医療 | 44.3 | 55.6 | 49.8 |
研究 | 40.5 | 36.6 | 49.9 |
教育 | 39.9 | 36.2 | 38.9 |
技術・人文知識・国際業務 | 50.2 | 53.0 | 59.8 |
企業内転勤 | 41.0 | 34.8 | 40.2 |
介護 | 64.9 | 45.4 | 51.0 |
興行 | 29.8 | 30.6 | 27.5 |
技能 | 67.9 | 74.7 | 81.6 |
特定技能1号 | 70.7 | 61.7 | 62.1 |
技能実習1号イ | 23.6 | 29.2 | 24.8 |
技能実習1号ロ | 22.8 | 24.2 | 22.4 |
技能実習2号ロ | 25.8 | 26.7 | 22.7 |
技能実習3号イ | 25.0 | 28.3 | 21.7 |
技能実習3号ロ | 23.3 | 25.8 | 25.8 |
文化活動 | 25.4 | 23.7 | 26.3 |
留学 | 61.4 | 60.6 | 42.1 |
研修 | 23.0 | 27.0 | 24.3 |
家族滞在 | 53.1 | 59.6 | 70.8 |
日本人の配偶者等 | 57.9 | 64.5 | 72.6 |
永住者の配偶者等 | 60 | 74.4 | 85.8 |
定住者 | 64 | 72.5 | 81.5 |
ただし、これはあくまでも平均であり、申請時期によって変化することもあるため注意が必要です。
繁忙期や個々の事情によって、審査期間が長くなるケースもあります。
就労ビザの申請期間について企業が理解しておくべきポイント
企業が外国人労働者を雇用する際、就労ビザの申請期間について理解しておくべきポイントがあります。
ここでは、有効期限への注意と書類作成の期間の必要性について解説します。
更新をする際は有効期限に気を付ける
就労ビザの更新申請は、必ずビザの有効期間内に終わるようにしなければなりません。
有効期間が過ぎた状態で外国人を働かせてしまうと、不法就労助長罪に問われる可能性があります。
不法就労助長罪の罰則は、三年以下の懲役または三百万円以下の罰金と非常に重いものです。
有効期間が過ぎていたことを知らなかったとしても処罰の対象となるため、企業は十分に注意が必要です。
書類作成の期間も必要
就労ビザの申請期間を管理する際は、書類作成に要する期間も考慮に入れて行動することが大切です。
特に、採用する外国人が多い場合は、在留資格の種類ごとに必要となる書類の量が異なるため、計画的に進める必要があります。
また、職場が変わったり、活動内容等に変化があった場合も、審査に時間がかかることを忘れてはいけません。
外国人労働者と人事担当者や経営者が協力して、申請期間を管理していくことが重要です。
就労ビザの申請期間を把握して早めに準備しよう
就労ビザの申請期間は、本人や会社の状況、申請内容、出入国在留管理庁の繁忙期などさまざまな要因によって変動します。
平均的な申請期間は1〜3ヵ月ですが、余裕を持った早めの準備が大切です。
企業は、外国人労働者のビザ有効期限に気を付け、書類作成の期間も考慮して計画的に申請を進める必要があります。
不法就労助長罪の罰則は重く、有効期間が過ぎた状態で外国人を働かせてしまわないよう注意が必要です。
就労ビザの申請期間を把握し、余裕を持って準備を進めることで、外国人労働者の雇用をスムーズに進めることができます。
企業と外国人労働者が協力して、適切な申請期間の管理を行っていきましょう。