特定技能は、一定以上の能力を持つ外国人を採用できる制度です。
国内産業の人手不足解消を目的とし、プラスチック成形を行う一部製造業も対象となっています。
本記事では、特定技能でプラスチック成形を行う業種と業務内容、特定技能の取得方法について解説します。
目次
特定技能でプラスチック成形を行う業種とは
特定技能でプラスチック成形を行う業種は、製造業分野の「機械金属加工」「電気電子組立て」「金属表面処理」の3つです。
特定技能ビザを取得すると、区分内のすべての業務に従事することができます。
以下で、各業種の具体的な業務内容を見ていきましょう。
機械金属加工
機械金属加工では、以下の業務に従事できます。
- 鋳造
- ダイカスト
- 金属プレス加工
- 工場板金
- 鍛造
- 鉄工
- 機械加工
- 仕上げ
- プラスチック成形
- 溶接
- 塗装
- 電気機器組立て
- 機械検査
- 機械保全
- 工業包装
自動車部品や家電製品、日用品など、私たちの生活に欠かせない製品の製造に 携わる中で、プラスチック成型を行います。
電気電子組立
電気電子組立では 、以下の業務に従事できます。
- 機械加工
- 仕上げ
- プラスチック成形
- 電気機器組立て
- 電子機器組立て
- プリント配線板製造
- 機械検査
- 機械保全
- 工業包装
電子機器や電気製品の筐体やパーツは細やかなため、プラスチック成型は欠かせない技術です。
金属表面処理
金属表面処理で従事できるのは、めっきやアルミニウム陽極酸化処理といった表面処理業務、プラスチック成形業務です。
プラスチック成形品に対して、めっきや塗装などの表面処理を施すことで、耐久性や意匠性を高めることができます。
アルミニウム陽極酸化処理は、アルミニウム製品の表面に酸化皮膜を形成する処理です。
関連業務
特定技能外国人は、本来の業務以外にも関連業務に付随的に従事することができます。
ただし、関連業務のみを継続して行うことはできません。
関連業務には主に以下4つが含まれます。
- 原材料・部品の調達・搬送作業
- 各職種の前後工程作業
- クレーン・フォークリフト等運転作業
- 清掃・保守管理作業
これらの関連業務は、基本的に同じ業務に従事する日本人も行っている作業です。
特定技能外国人も、本来の業務に支障がない範囲で、これらの作業を行うことが認められています。
特定技能でプラスチック成形業務に従事させるためには
特定技能でプラスチック成形業務に外国人材を従事させるためには、いくつかの要件を満たさなければなりません。
ここからは、製造分野特定技能1号と2号の違いや、それぞれの要件について説明します。
製造分野特定技能1号になる
製造分野特定技能1号は、指導者の指示を理解し、または自らの判断により、業務区分内の作業に従事できる技能レベルを指します。
特定技能1号の在留期間は、1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとに更新が必要です。
更新を含めて、通算で5年までが在留期間の上限となっています。
また、業務に関する知識や技術だけでなく、生活や業務に必要な日本語能力を試験などで確認することも必要です。
製造分野特定技能2号になる
特定技能2号を取得するには、長年の実務経験などにより身につけた熟練した技能を持っていることが条件です。
例えば、自らの判断で高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、または監督者として業務を統括しながら熟練した技能で業務を遂行できる水準が求められます。
特定技能2号の在留期間は、3年、1年または6ヵ月ごとの更新が必要です。
製造分野特定技能の取得方法
製造分野特定技能の取得方法は、1号と2号でかなり異なります。
また1号と2号それぞれに2パターンの取得方法があるので、状況に応じて適したほうを選択すると良いでしょう。
以下で、製造分野特定技能の取得方法について詳しく紹介します。
特定技能1号の場合
特定技能1号の取得方法には、試験ルートと技能実習からの移行ルートの2種類があります。
それぞれの要件は以下のとおりです。
出典:製造業における 特定技能外国人材の受入れについて|経済産業省
上から順に各要件を満たすことで、特定技能1号の在留資格を申請できます。
特定技能2号の場合
特定技能2号の取得方法には、特定技能2号評価試験ルートと技能検定ルートの2種類があります。
それぞれの要件は以下のとおりです。
特定技能2号評価試験ルート
特定技能2号評価試験ルートの場合には、以下の三つを全て満たすことが求められます。
- ビジネス・キャリア検定3級取得
(生産管理プランニング区分もしくは生産管理オペレーション区分) - 製造分野特定技能2号評価試験の合格
(機械金属加工区分、電気電子機器組立て区分、金属表面処理区分のいずれか) - 日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における3年以上の実務経験を有すること
※2号評価試験の申し込み時に必要となる
技能検定ルート
技能検定ルートの場合には、以下の二つを全て満たすことが求められます。
- 技能検定1級取得
(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、工業包装のいずれか) - 日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における 3年以上の実務経験を有すること
※出入国在留管理庁への届出の際に必要となる
特定技能1号よりも高い能力が求められる点と、どちらのルートでも実務経験が必要な点に注意しましょう。
プラスチック成形を担う特定技能者を取得して人材不足を補おう
特定技能制度は、製造業における深刻な人手不足を解消するための重要な施策です。
プラスチック成形をはじめとする幅広い業務で外国人材を活用できるため、生産体制の維持・強化に大きく貢献するでしょう。
また、特定技能1号と2号では求められる技能レベルが異なり、2号では一定期間以上の実務経験が必要です。
1号取得に関して、技能実習からのキャリアアップルートも用意されているため、外国人材の長期的な定着が期待できます。
人手不足に悩んでいる製造業の事業者は、特定技能制度の活用による優秀な外国人材の確保も検討してみてはいかかでしょうか。