
日本で働く外国人労働者は年々増加しており、企業にとって欠かせない戦力となっています。
しかし、母国とは異なる雇用制度や賃金体系に、戸惑う外国人労働者もいるでしょう。
企業は外国人労働者の給料について正しく理解し、適切に支払うことが求められます。
目次
日本における外国人労働者の平均賃金は?
厚生労働省の令和5年の調査によると、日本で働く外国人労働者の平均月額給与は約232,600円(平均年齢約33歳)です。
ただし、給与額は職種により大きく異なります。
以下の表で、職業別の「きまって支給する現金給与額」を比べてみましょう。
職種 | きまって支給する現金給与額 |
管理的職業従事者 | 681,000円 |
専門的・技術的職業従事者 | 370,100円 |
事務従事者 | 301,900円 |
販売従事者 | 251,100円 |
サービス職業従事者 | 234,500円 |
保安職業従事者 | – |
農林漁業従事者 | 204,100円 |
生産工程従事者 | 239,200円 |
輸送・機械運転従事者 | 290,800円 |
建設・採掘従事者 | 231,000円 |
運搬・清掃・包装等従事者 | 210,500円 |
参照:外国人雇用実態調査 / 令和5年外国人雇用実態調査 調査結果の概況
「きまって支給する現金給与額」とは、労働契約、労働協約または事業所の就業規則などで事前に定められている支給条件、算定方法により9月分として支給された現金給与額です。
手取り額でなく、所得税や社会保険料などを控除する前の額を指します。
職業別の「きまって支給する現金給与額」を見てみると、「管理的職業従事者」の681,000円が最も高く、次いで「専門的・技術的職業従事者」、「事務従事者」となっています。
一方で、「農林漁業従事者」は204,100円と金額が低い傾向です。
企業は職種や業務内容に応じた、適切な給与設定をしましょう。
法律から見る外国人労働者の給料
外国人労働者の給料を考えるうえで、労働基準法について理解しておく必要があります。
労働基準法は、国籍に関わらずすべての労働者に適用されます。
つまり、外国人労働者も日本人労働者と同様に、法律で定められた権利を有し、雇用主は法律に基づいた適切な処遇を行わなければなりません。
以下では、外国人労働者の給料に関わる主な法律について見ていきましょう。
最低賃金
日本では、すべての労働者に対して最低賃金以上の賃金を支払うことが労働基準法で定められており、これは国籍や在留資格に関わらず、外国人労働者にも適用されます。
最低賃金には、都道府県ごとに定められる「地域別最低賃金」と、特定の産業に適用される「特定最低賃金」の2種類があります。
外国人を含む労働者に支払う賃金が、これらの最低賃金を下回らないよう、企業は注意が必要です。
同一労働同一賃金
「同一労働同一賃金」とは、同じ仕事をしている労働者には、雇用形態に関わらず同じ賃金を支払うべきという考え方です。
正社員とパートタイム労働者の、不合理な待遇差を解消することを目的としたガイドラインとして、政府が推進しています。
外国人労働者についても、日本人労働者と同じ仕事内容であれば、国籍を理由に賃金や待遇に差をつけてはいけません。
企業は社内の賃金体系を点検し、不合理な格差がないか確認することが求められます。
在留資格
外国人労働者の賃金は、在留資格によっても異なる傾向があります。
令和5年に行われた厚生労働省の調査によると、在留資格別の平均月額給与は以下のとおりです。
在留資格 | 平均給与 |
専門的・技術的分野 | 296,700円 |
特定技能 | 198,000円 |
身分に基づくもの | 264,800円 |
技能実習 | 181,700円 |
その他(特定活動および留学以外の資格外活動) | 231,300円 |
専門的・技術的分野の外国人労働者は高度な知識や技術を持っているため、比較的高い賃金となっています。
一方で、技能実習生は実務経験が浅く、賃金も低い傾向にあります。
外国人労働者に給料を支払う際の注意点
外国人労働者に適切な給料を支払う際には、いくつかの点に気をつけなければなりません。
日本の労働法令や制度に不慣れな外国人労働者に対しては、特に丁寧な説明と配慮が必要です。
相場を参考に適切な給与額を設定する
外国人労働者の給与は、日本人労働者と同様に、同業種や類似した仕事内容の相場を参考に設定します。
前述の「同一労働同一賃金」の考え方に基づき、国籍や雇用形態に関わらず、同じ仕事であれば同じ賃金を支払うことが原則です。
外国人労働者だからといって安易に賃金を低く設定したり、逆に必要以上に高い賃金を提示したりすることは避けなければなりません。
適正な水準の賃金を設定することが、外国人労働者の定着やモチベーション向上につながります。
天引きされる額について詳しく説明をする
日本の給与は、毎月の総支給額から所得税や社会保険料などが差し引かれ、手取り額が支払われるのが一般的です。
しかし、母国にこうした制度がない外国人労働者にとっては、給与明細を見てもよくわからないというケースが少なくありません。
企業は、外国人労働者に対して、給与や賞与の仕組み、天引きされる金額の内訳や目的について、わかりやすく丁寧に説明することが大切です。
税金や社会保険料が将来的な生活の安定につながることを伝え、不安や疑問を解消するよう努めましょう。
在留資格を明確に把握しておく
外国人労働者を雇用する際は、事前に在留カードなどで在留資格や就労可能な範囲を確認しておく必要があります。
在留資格で認められた活動以外の仕事をさせると不法就労となり、企業も責任を問われるリスクがあります。
また、在留期限が切れて不法滞在となっていないか、定期的にチェックすることも大切です。
労働者本人の申告に頼るだけでなく、在留カードの有効期限を直接確かめるようにしましょう。
福利厚生の制度について説明する
福利厚生も、外国人労働者のモチベーションを高める重要な要素です。
住宅手当や食事手当、社宅や社員食堂の提供など、生活面でのサポートがあれば、外国人労働者は安心して働き続けることができます。
ただし、福利厚生の内容や利用方法が正しく理解されていない場合もあります。
企業は外国人労働者に制度の説明を尽くし、日本人労働者と同様に公平に利用できる環境を整えることが必要です。
適切に給料を払って外国人労働者と働こう
外国人労働者が日本の職場で力を発揮するには、適正な水準の給与と、福利厚生の提供が欠かせません。
企業は法律や制度を正しく理解し、外国人労働者に対してきちんとした説明を行うことが大切です。
適切な給与の支払いは、その第一歩といえるでしょう。
また、母国を離れ、言葉や文化の違いに戸惑いながらも懸命に働く外国人労働者に対し、企業はできる限りのサポートを行いましょう。
外国人労働者が活躍できる職場環境を整備することは、企業の成長と多様性の確保につながります。
ルールに則った給与の支払いを大前提に、外国人労働者との信頼関係を築いていきましょう。