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外国人労働者も年末調整は必要?実施の流れと注意点について解説

近年、日本で働く外国人労働者が増加傾向にある中、総務や経理などの年末調整担当の方々からよく聞かれるのが、「外国人従業員の年末調整はどうすれば良いのか」という疑問の声です。

外国人労働者の年末調整は、国内の従業員と同じように行う必要がある場合もありますが、在留資格や居住状況によって対応が異なります。

本記事では、外国人労働者の年末調整について、実施が必要なケースや具体的な手順、注意点までわかりやすく解説します。

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外国人労働者に年末調整は必要?

外国人労働者に年末調整は必要?

外国人労働者の年末調整の必要性を判断するためには、まず納税義務の区分を理解する必要があります。

所得税法では、外国人労働者を「居住者」「非永住者」「非居住者」の3つに区分しており、この区分によって年末調整の要否が変わってきます。
それぞれの区分について詳しく見ていきましょう。

年末調整の対象となる外国人労働者

外国人労働者であっても、一定の条件に該当する場合は日本人従業員と同様に年末調整が必要となります。
具体的には、1年間継続して勤務している従業員や、年の途中で転職し年末時点で勤務している従業員が対象です。

また、年の途中で退職した場合でも、以下に該当する人は年末調整の対象となります。

  1. 死亡により退職した人
  2. 心身の障害のために退職し、年末までに再就職が見込まれない人
  3. 12月分の給与受け取り後に退職した人
  4. 1年間の給与支払額が103万円以下である人
  5. 年の途中で海外の転勤により非居住者となった人

さらに、給与が海外払いであっても、国内に送金するなど国内で所得がある駐在員なども年末調整の対象です。

納税義務の区分による違い

外国人労働者の納税義務は、その居住状況や日本での滞在期間によって3つに区分されます。
それぞれの区分によって課税対象となる所得の範囲が異なるため、適切な年末調整を行うためには、従業員がどの区分に該当するのかを正確に把握することが重要です。

居住者

居住者とは、日本国内に生活の本拠となる住所を持ち、1年以上居住している人です。
この区分に該当する外国人労働者は、国内外すべての源泉所得に対して所得税が課税されます。
そのため、前述の年末調整の対象条件に当てはまる場合は、年末調整を実施する必要があります。

非永住者

非永住者は、日本国籍を持たず、過去10年間のうち日本での居住期間が5年以下の外国人労働者を指します。
この区分に該当する場合、国内の源泉所得に加えて、国外源泉所得のうち日本国内に送金された部分が課税対象です。

年末調整の対象となる条件に該当する場合は、居住者と同様に年末調整を行う必要があります。

非居住者

非居住者とは、上記の居住者の定義に当てはまらない外国人労働者を指します。
つまり、入国後1年未満で、国内に住所を持たない場合です。

この区分に該当する場合は、国内の源泉所得にのみ一律20.42%の税率で課税されます。
源泉徴収だけで課税額が確定するため、年末調整は不要となります。

外国人労働者の年末調整の流れ

外国人労働者の年末調整の流れ

外国人労働者の年末調整も、基本的な流れは日本人従業員と同じです。
ただし、海外に扶養親族がいる場合など、追加で必要となる書類や確認事項があるため、計画的に進めることが求められます。

申告書の配布・回収

年末調整の第一歩は、申告書の配布と回収です。
一般的な配布時期は10月中旬頃で、11月下旬頃までに回収できるようにスケジュールを組みます。

外国人労働者の場合、言語の問題や制度の理解不足などにより申告書の記入に戸惑う可能性もあるため、記入方法の説明や記載内容の確認は特に丁寧に行う必要があります。

年末調整の計算

回収した申告書をもとに、本来納めるべき所得税額を計算し、すでに徴収した源泉徴収税額との差額を確定させます。
外国人労働者の場合、特に国外扶養親族に関する控除の計算には注意が必要です。
正確な計算のために、必要に応じて追加書類の提出を求めることもあります。

法定調書の作成・提出

年末調整の計算が完了したら、以下の法定調書を作成します。

  1. 支払調書
  2. 法定調書合計表
  3. 源泉徴収票
  4. 給与支払報告書

これらの書類は、給与支払いが確定した翌年度の1月末までに、税務署に提出する必要があります。
源泉徴収税額が不足している場合は、追加納付も忘れずに行いましょう。

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外国人労働者の年末調整に必要な書類

外国人労働者の年末調整には、以下のような書類が必要です。

  • 扶養控除等申告書
  • 基礎控除申告書
  • 配偶者控除等申告書
  • 年末調整に係る定額減税のための申告書
  • 所得金額調整控除申告書
  • 保険料控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書

特に注意が必要なのは、国外に居住する親族に対して配偶者控除または障害者控除を受ける場合です。
この場合、通常の申告書類に加えて、以下の2書類が必要となります。

  1. 親族関係書類
  2. 送金関係書類

これらの追加書類は、翻訳や各種証明書の取得に時間がかかる可能性があるため、早めの準備を心がけましょう。

外国人労働者の年末調整における注意点

外国人労働者の年末調整を正確に行うためには、いくつかの重要な確認事項があります。
特に注意すべき点について、詳しく解説していきます。

区分を確認する

年末調整を始める前に、まず対象となる外国人労働者が税法上どの区分(居住者、非永住者、非居住者)に該当するかを確認しましょう。
この確認を怠ると、年末調整が必要な従業員を見落としたり、逆に不要な従業員に対して年末調整を実施してしまったりする可能性があります。

日本での居住期間や生活実態を正確に把握し、適切な区分判定を行うことが重要です。

控除の有無を確認する

外国人労働者特有の注意点として、国外扶養親族の存在があります。
扶養控除を受けることができる場合でも、必要な証明書類の準備に時間がかかるため、早めに制度の説明と必要書類の案内を行うことが重要です。

外国人労働者の年末調整は早めに準備しよう

外国人労働者の年末調整では、納税義務の区分確認から、必要書類の準備、計算、法定調書の提出まで、通常以上の準備が必要となります。
特に国外扶養親族がいる場合は、親族関係書類や送金関係書類など、追加の証明書類が必要となるため、書類の準備に予想以上の時間がかかる可能性があります。

また、言語の違いによる意思疎通の問題もあるため、早めに制度の説明を行い、必要書類の案内をすることが重要です。
外国人労働者とのコミュニケーションを密に取りながら、スケジュールに余裕を持って年末調整の準備を進めていきましょう。

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