
特定活動の在留資格を持つ外国人を雇用する際には、指定書の内容を理解することが重要です。
指定書には、外国人が従事できる業務内容や条件が明記されており、これに違反すると不法就労となってしまいます。
外国人材の力を適切に活用するためにも、指定書の見方や種類について正しい知識を身につけましょう。
目次
特定活動における指定書とは?
特定活動の在留資格で入国した外国人労働者が従事できる仕事の範囲は、指定書に明記されています。
雇用者は、指定書の内容以外の業務に外国人を就かせることはできません。
そのため、特定活動の在留資格を持つ外国人を雇用する際は、必ず指定書を確認し、雇用の可否を判断する必要があります。
指定書の内容を理解し、適切な雇用管理を行うことが求められるのです。
特定活動指定書の見方
指定書はパスポートに添付されているので、まずは在留カードとの照合を行います。
氏名、国籍、地域が一致しているか確認しましょう。
また、指定書下部のスタンプの日付と最新の在留カードの発行日が同じであることも重要なポイントです。
次に、指定書に記載されている活動範囲が、雇用予定の業務内容と合致しているかを確かめます。
これらを丁寧にチェックすることで、適切な雇用管理につなげることができるでしょう。
特定活動別の指定書の種類
特定活動の在留資格には、目的や条件に応じてさまざまな種類があります。
ワーキングホリデーや帰国困難者、難民認定申請中の外国人など、それぞれの指定書の内容を把握しておく必要があるでしょう。
以下では、主な特定活動の指定書について詳しく解説します。
特定活動(ワーキングホリデー)
ワーキングホリデーは、休暇や旅行目的での日本入国と、滞在資金を補うための就労を認める在留資格です。
滞在期間は6ヵ月か1年で、更新は認められないものの、その間は就労が可能となっています。
指定書には、訪日目的と働ける職種について記載されており、例えば以下のような文章が見られます。
「一定期間の休暇・旅行に必要な資金を補うために、必要な報酬を受けるための就労可能。風俗営業等の従事を除く」
ワーキングホリデーで入国した外国人の雇用を検討する際は、指定書の内容を十分に確認することが大切です。
特定活動(帰国困難者)
特定活動(帰国困難者)は、留学生や技能実習生などが帰国準備を整えるまでの間に発行される在留資格です。
就労可能と不可能の2種類があり、指定書には本来の在留資格や出国までの労働条件が明記されています。
例えば、以下のような記載が見られるでしょう。
「【留学】(または【技能実習】など)の在留資格をもっていた者が出国するための間に必要な報酬を受ける活動が可能(1週間で28時間を上限とする)。風俗営業等の従事を除く」
帰国困難者の雇用に際しては、指定書の内容を熟読し、適切な労働環境を提供することが求められます。
特定活動(難民認定申請中)
特定活動(難民認定申請中)は、自国で迫害を受けるおそれがある人や、武力紛争や人権侵害から逃れるために入国する外国人に対して発行される在留資格です。
難民認定申請中の在留資格には就労可能と不可の2種類があり、在留カードや指定書の確認が不可欠となります。
指定書には、以下のような文章が記載されています。
「難民認定申請または審査請求を行っているため、日本国内での報酬を受ける活動が可能。風俗営業等の従事を除く」
難民認定申請中の外国人の雇用については、指定書の内容を十分に理解し、適切な対応を心がけましょう。
告示外特定活動(就職活動中)
告示外特定活動(就職活動中)の在留資格を持つ外国人は、基本的に就労することはできません。
指定書には、以下のように記載されています。
「就職活動および当該活動にともなう日常的な活動(収入をともなう事業を運営する活動または報酬を受ける活動を除く)」
ただし、資格外活動許可を受けている場合は、週28時間以内で風俗営業等以外であれば就労可能です。
在留カード裏面の確認を忘れずに行いましょう。
特定活動46号(留学生)
特定活動46号(留学生)は、日本語能力に優れた留学生に与えられる在留資格で、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格よりも幅広い仕事に就くことができます。
ただし、指定書には就労先の企業名や就労場所が明記されており、指定された場所以外での就労は認められていません。
また、転職の際は都度在留資格変更許可申請が必要となるため、気軽にどこでも働けるわけではないことに注意が必要です。
特定活動9号(インターンシップ)
特定活動9号(インターンシップ)は、海外の大学生が日本企業で就労体験を行う際に発行される在留資格です。
指定書には在留資格の期間について記載があり、例えば以下のような文章が見られます。
「外国の大学の学生が日本の企業との契約に基づき報酬を受ける活動が可能。ただし、1年を超えない期間で、通算して大学の就業年限の1/2を超えない期間とする」
インターンシップ目的の外国人雇用では、指定書の内容を熟知し、適切な期間設定を行うことが重要です。
特定活動の種類を理解し適切な対応を進めよう
特定活動の在留資格にはさまざまな種類があり、それぞれ指定書の内容が異なります。
外国人材の力を適切に活用するためには、指定書の見方や種類について正しい知識を身につけ、適切な雇用管理を行うことが不可欠です。
ワーキングホリデーや帰国困難者、難民認定申請中の外国人など、在留資格に応じた対応を心がけましょう。
指定書の内容を十分に理解し、違法労働を避けた安全な就労環境を外国人に提供することが、企業の責任者として求められています。