日本では少子高齢化の影響により、多くの産業で人手不足が深刻化しています。
そんななか、特定技能「飲食料品製造業」への注目が高まっているのをご存じでしょうか。
本記事では、特定技能「飲食料品製造業」の概要や需要、業務内容などについて解説します。
目次
特定技能「飲食料品製造業」とは
特定技能「飲食料品製造業」とは、飲食料品の製造分野での活躍が期待できる特定技能を持つ外国人に在留資格を与える制度のことです。
現在の日本ではあらゆる産業で少子化における労働力不足が進行していますが、飲食料品製造業の欠員率は他の製造業と比較して2倍以上高くなっています。
この結果は2017年度のもので、現在はより欠員率が高くなっていることも予想できます。
こうした労働力不足に対応するために、外国人の受け入れを積極的に行っているのです。
特定技能「飲食料品製造業」の需要が高まっている
特定技能「飲食料品製造業」は、現在非常に高い需要があります。
その背景には、少子高齢化による人手不足や、農林漁業の6次産業化などの影響があると考えられます。
ここからは、特定技能「飲食料品製造業」の需要について、より詳しく見ていきましょう。
特定技能「飲食料品製造業」の受け入れ人数
特定技能「飲食料品製造業」の受け入れ人数は、令和5年12月時点で61,095人となっています。
これは日本における全特定技能在留外国人数の29.3%に達しており、最も人数が多い分野です。
同年6月時点での飲食料品製造業における特定技能外国人数が53,282人なので、わずか半年で約8,000人もの増員がなされている状況です。
このように、特定技能「飲食料品製造業」への需要は非常に高まっているといえるでしょう。
技能実習2号からの移行が増加
特定技能「飲食料品製造業」は、技能実習2号からの移行が多い傾向があります。
技能実習とは、外国人が日本で培われた技能や技術、知識などを日本で雇用されながら学び、帰国後にそれを開発途上地域に伝えることで、経済発展を担う人づくりに寄与する国際協力推進活動のことです。
技能実習には1号と2号があり、1号は1年間、2号は2年間の在留が認められます。
また、1号から2号へ移行することができ、日本で就業した1号実習生が企業との双方同意のもと、さらなる習熟をめざして実習期間を延長できる仕組みになっています。
技能実習生として一定の経験を積んだあとは、技能試験と日本語試験の両方に合格することで特定技能外国人として働くことも可能です。
特定技能「飲食料品製造業」で就労する外国人は、この2号実習生から特定技能に移行するケースが多いといえます。
特定技能「飲食料品製造業」需要増加の背景
特定技能「飲食料品製造業」の需要増加の背景には、労働力不足だけでなく、6次産業化の影響もあります。
6次産業とは農業や漁業の「一次産業」と、加工などの工業を行う「二次産業」、モノを販売流通する「三次産業」を一つの事業者が行うことを指します。
最近では、農家や漁師が生産・漁獲したものを自身で加工し、販売するケースが見られるようになりました。
第一産業の所得向上や地域活性などのさまざまなメリットがある反面、業務が多角化することで人手不足におちいることもあります。
このような事象を解決するために、海外からの人材採用に活路を見出す動きが活発になっているのです。
特定技能「飲食料品製造業」の業務内容
特定技能「飲食料品製造業」の業務内容は、以下のような食料品製造業に関わる業務を行います。
- 飲食料品製造全般の製造・加工および安全衛生の確保
- 飲食料品製造業務の管理
また、上記以外にも業務運用に必要であれば、飲食料品製造業に従事する日本人が行う通常業務と同様に以下にも従事できます。
- 原料の調達
- 製品の納品
- 事務所の管理作業
ただし、酒類の加工は認められていないので注意が必要です。
特定技能「飲食料品製造業」を取得するには
特定技能「飲食料品製造業」を取得するためには、以下の試験に合格する必要があります。
- 飲食料品製造業技能測定試験
- 「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」
飲食料品製造業に関する専門的な知識を有したうえで、一定以上の日本語力も求められます。
特定技能「飲食料品製造業」の外国人を雇用するための要件
特定技能「飲食料品製造業」の外国人を雇用する企業は、食品産業特定技能協議会の構成員になることが必要です。
構成員にならないと、特定技能外国人の受け入れは認められません。
この協議会は実際に外国人を受け入れる企業や、法務省・警察庁・農林水産省など全12の構成員によって組織されている機関です。
外国人受け入れの優良事例を周知したり、人権上の問題への配慮、法令順守の啓発などを行っています。
特定技能「飲食料品製造業」は人気の資格!採用のポイント
特定技能「飲食料品製造業」に従事したいと思う外国人は、そもそも多いのが現状です。
現在日本で働く特定外国人のなかで一番多いので、人材を見つけることは他の事業よりも難しくないでしょう。
ただし、厳しい採用競争が存在することも事実であり、勝ち抜くためには寮など住環境を整備しておくことをおすすめします。
外国人は住居を借りるのが非常に大変なので、社宅や寮があると他の求人と差別化できるでしょう。
特定技能「飲食料品製造業」は重要な労働力
少子高齢化が進む日本では、飲食料品製造業をはじめとする多くの分野で人手不足が深刻化しています。
その解決策の一つとして注目されているのが、特定技能「飲食料品製造業」での外国人材の活用です。
現在、特定技能「飲食料品製造業」の外国人就労者数は6万人を超えており、全特定技能外国人の約3割を占めています。
また、技能実習2号からの移行組も多く、すでに一定の知識と経験を持った即戦力となる人材が多いのが特徴です。
今後、6次産業化のさらなる進展とともに、特定技能「飲食料品製造業」への需要はますます高まっていくことが予想されます。
日本の食料品製造業の発展と競争力強化のためには、外国人材の積極的な活用が不可欠といえるでしょう。