特定技能は、日本で働くことを目的とした在留資格の一つです。
特定技能の在留資格を取得するためには、いくつかの条件を満たし、申請手続きを行う必要があります。
そこで、特定技能の在留資格申請の流れや必要書類、注意点などについて詳しく解説していきます。
目次
特定技能のビザ申請の流れ
特定技能の在留資格を申請するためには、以下のようなステップを踏む必要があります。
- STEP1. 技能実習2号を修了するか試験に合格する
- STEP2. 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
- STEP3. 1号特定技能外国人支援計画を策定する
- STEP4. 在留資格認定証明書・変更許可を申請する
- STEP5. ビザ申請・在留資格変更する
- STEP6. 就労を開始する
それでは、各ステップについて詳しく見ていきましょう。
STEP1. 技能実習2号を修了するか試験に合格する
特定技能のビザを申請するためには、まず当該外国人が技能実習2号を修了するか、特定技能・日本語検定などの試験に合格することが必要です。
特定技能1号と2号は、それぞれ以下の条件を満たすことで取得が可能となります。
- 特定技能1号:日本語検定合格に加え、特定技能試験に合格もしくは技能実習2号を良好に修了する
- 特定技能2号:指定された実務経験日数を積み、特定技能2号試験に合格する
上記の条件を満たし、まずは特定技能外国人として認められることが不可欠です。
STEP2. 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
当該外国人が特定技能試験合格などを経て特定技能外国人としての条件を満たせば、実際に雇用契約を結びます。
条件に合う特定技能外国人を探す場合は、自社ホームページやハローワークなどを通じて採用活動を行いましょう 。
実際に雇用契約を締結した際は、企業側は14日以内に地方出入国在留管理局または電子システムを通じて、特定技能所属機関による特定技能雇用契約に関する書類を提出する必要があります 。
また特定技能外国人の報酬等雇用条件は、日本人と同等でなければならず 、福利厚生の加入も求められます。
上記の条件が守られていないと、在留資格申請の審査に通らないので注意しましょう。
STEP3. 1号特定技能外国人支援計画を策定する
1号特定技能外国人を受け入れる場合は、1号特定技能外国人支援計画の提出が必要です。
1号特定技能外国人支援計画は、当該外国人が円滑に活動できるようにするための、支援内容や実施方法などをまとめた書類を指します。
支援計画には以下の記載が必要です。
- 責任者の氏名と役職
- 10項目の支援内容・実施方法
- 委託する場合は登録期間や委託先住所など
STEP4. 在留資格認定証明書・変更許可を申請する
雇用予定の外国人が日本にいない場合は、在留資格認定証明書を提出する必要があります。
当該外国人に代わり、受け入れ職員側で代理申請を行います。
申請は無料で行えますが、処理時間はおおむね1ヵ月~3ヵ月かかるため注意が必要です。
すでに日本国内に外国人がいる場合は、在留資格変更許可を申請します。
地方出入国在留管理局またはオンラインを通じて、申請を行います。
申請は外国人本人が行うことが原則ですが、法定代理人や地方局長からの承認があれば代理人でも可能です。
外国語で書類を作成している場合は、和訳を添えることが必要なので早めに準備しましょう。
STEP5. ビザ申請・在留資格変更する
在留資格認定証明書を受け取ったあとは、他の書類とともに在外公館へ提出してビザ申請を行いましょう。
ビザが発給されたら、3 ヵ 月以内に日本へ入国します。
すでに国内におり在留資格を持っている場合は、在留資格変更が許可されたあとに手数料の4,000円を支払います。
これにより、在留資格が特定技能1号または特定技能2号に変更されます。
STEP6. 就労を開始する
すべての手続きが完了したあとは、実際に就労を開始します。
しかし、就労し始めの外国人は生活基盤が整っていないこともあるので、注意が必要です。
支援計画に則って口座開設や手続きのサポートなどを行うことが大切です。
また3ヵ月に1回、特定技能外国人の受け入れ状況や支援計画の実施状況に関する届出なども出す必要があるので注意しましょう。
特定技能のビザ申請に必要な提出書類
特定技能のビザを申請する際には、さまざまな書類の提出が必要となります。
在留資格認定証明書と在留資格変更許可申請書では、提出する書類が異なるので注意しましょう。
特定技能に関する申請書
まずは特定技能に関する以下のような申請書の提出が必要です。
- 特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧表
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 在留資格変更許可申請書
- 1号特定技能外国人支援計画書
- 登録支援機関との支援委託契約に関する説明書
- 二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類(※)特定の国籍のみ提出が必要
「登録支援機関との支援委託契約に関する説明書」は、支援計画の実施の全部を登録支援機関に委託する場合に限り提出が必要となります。
また、「二国間取決において定められた遵守すべき手続に係る書類」は、カンボジア・タイ・ベトナムの3 ヵ 国の場合に必要です。
参考:「特定技能1号」に係る提出書類一覧表 (在留資格認定証明書交付申請用)
技能水準・日本語能力に関する書類
技能水準や日本語能力に関する書類は、特定技能の資格を取得するタイミングで必要となります。
書類 | 説明 |
特定技能評価試験合格証明書 | 各分野ごと定められた方法で発行手続きを行う |
日本語能力に関する書類 | 「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)N4以上」の合格証 |
労働条件に関する書類
労働条件に関する書類には、以下が必要です。
- 特定技能外国人の報酬に関する説明書
- 特定技能雇用契約書の写し
- 雇用条件書の写し
- 賃金の支払
- 雇用の経緯に係る説明書
- 徴収費用の説明書
なお、雇用の経緯に関わる説明書と徴収費用の説明書は、一定の実績があり適正な受け入れが見込まれる場合は不要となります。
参考:「特定技能1号」に係る提出書類一覧表 (在留資格変更許可申請用)
保険・税に関する書類
保険や税に関する書類も提出が必要です。
- 健康診断個人票
- 受診者の申告書
- 申請人の個人住民税の課税証明書
- 申請人の住民税の納税証明書
- 申請人の給与所得の源泉徴収票の写し
- 申請人の国民健康保険被保険者証の写し
- 申請人の国民健康保険料(税)納付証明書
- 申請人の国民年金保険料領収証書の写し
- 申請人の被保険者記録照会
- 前回申請時に履行すべきであった公的義務に係る書類
- 公的義務履行に関する誓約書
個人住民税の課税証明書から申請人の被保険者記録照会までは、過去1年以内の在留諸申請において提出済みの場合は提出不要です。
また、「公的義務履行に関する誓約書」は前回までに税金の滞納が合った場合に提出が求められます。
「前回申請時に履行すべきであった公的義務に係る書類」は、前回申請時に納税義務の履行誓約書を書いた場合に提出が必要となります。
参考:「特定技能1号」に係る提出書類一覧表 (在留資格変更許可申請用)
特定技能のビザ申請における注意点
特定技能のビザ申請に関しては、出入国在留管理庁の公式サイトでダウンロードが可能です。
申請書類の作成、提出に際しては、以下の点に注意する必要があります。
- 片面1枚ずつで印刷する
- 日本で発行されている証明書はすべて発行日から3 ヵ 月以内であること
- 技能試験や日本語検定は有効期限内のものを提出
- 外国語で作成している場合は日本語訳を添付する
- 各書類への押印は基本的に不要
- 資料の返却は基本的にない(返却を希望する場合は申し出が必要)
- 場合によっては他の書類提出も求められる
これらの注意点を守らないと、書類不備となり再度申請が必要になることもあるので気を付けましょう。
特定技能のビザ申請の流れを押さえておこう
特定技能のビザ申請には、技能実習2号の修了や試験合格、雇用契約の締結、支援計画の策定など、いくつかのステップが必要です。
また、在留資格認定証明書や在留資格変更許可申請の際には、さまざまな書類の提出が求められます。
申請にあたり必要な書類を揃える際には、注意点に気をつけることも大切です。
特定技能のビザ取得をめざす場合は、手続きに時間がかかることも覚悟しておきましょう。
適切な準備と申請を行うことで、円滑に特定技能外国人の受け入れが可能となります。