日本で働く外国人にとって、永住権の取得は大きな目標の一つです。
しかし、通常10年以上の在留期間が必要とされる永住権取得のハードルは、決して低くありません。
そこで注目されているのが、高度人材ポイント制です。
この制度を利用することで、永住権取得までの期間を大幅に短縮できる可能性があります。
本記事では、高度人材ポイント制の仕組みや、永住権申請に必要な書類について詳しく解説します。
外国人にとって、日本での長期滞在の夢を叶えるための貴重な情報となるでしょう。
目次
日本の永住権申請における高度人材ポイント制とは
高度人材ポイント制は、日本政府が優秀な外国人材の受け入れを促進するために導入した制度です。
この制度を利用することで、通常よりも短い期間で永住権を申請できる可能性があります。
では、具体的にどのような仕組みなのでしょうか。
高度人材ポイント制の概要と計算方法について見ていきましょう。
高度人材ポイント制について
高度人材ポイント制は、外国人材の活動内容を3つのカテゴリに分類し、それぞれの項目でポイントを付与する仕組みです。
高度外国人材の活動内容は、「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つに分類されます。
これらの活動に対して付与されたポイントの合計が70点以上に達した場合、高度人材として認定されます。
この制度は、2012年5月7日より導入されました。
高度外国人材の受け入れを促進するため、ポイント制を活用した出入国在留管理上の優遇措置が講じられたのです。
高度人材ポイント制の計算方法
高度人材ポイント制の計算方法は、法務省が公開しているポイント計算表に基づいています。
学歴や職歴、年収や年齢などの項目ごとに点数が設定されているのがこの計算表です。
例えば、高度学術研究活動や高度専門・技術活動において、学歴が博士号取得者の場合、付与されるポイントは30点です。
これは、高度な専門知識を持つ人材を高く評価するという、制度の趣旨を反映しています。
その他の項目についても、それぞれの実績や能力に応じて点数が加算されます。
申請者は自身の状況に応じて、各項目のポイントを合計し、70点以上をめざすことになるのです。
高度人材ポイント制で永住権の条件が緩和される
高度人材ポイント制の最大のメリットは、永住権取得までの期間が大幅に短縮されることです。
通常、永住許可には10年以上の在留歴が必要です。
しかし、この制度を利用すると、条件によっては1年から3年で永住権を申請できるようになります。
具体的には、ポイントを70点以上獲得し、高度人材外国人に認定された場合、3年で永住許可の対象となります。
さらに、ポイントが80点を超えている場合は、わずか1年以上の在留期間があれば永住権を申請することが可能です。
つまり、高度人材ポイントを70点以上獲得している場合は3年以上、80点以上獲得している場合は1年以上の在留期間で申請を行うことができるのです。
これは、通常の10年という期間と比較すると、非常に大きな優遇措置といえるでしょう。
高度人材ポイント制での永住権申請に必要な書類
高度人材ポイント制を利用して永住権を申請する際には、通常の永住権申請と同様に、さまざまな書類の提出が必要です。
ただし、ポイント数によって必要な書類や在留期間が異なります。
ここでは、80点以上のポイントを有する場合と、70点以上80点未満のポイントを有する場合に分けて、必要な書類を詳しく見ていきましょう。
80点以上のポイントを有する場合
80点以上のポイントを獲得している場合、1年以上の在留で永住権申請が可能となります。この場合に必要な書類は以下のとおりです。
まず、基本的な書類として、永住許可申請書や縦4cm×横3cmの写真が必要です。
また、永住許可を必要とする理由を記載した理由書や、申請人を含む家族全員(世帯)の住民票も提出が求められます。
さらに、直近1年分の住民税の納税証明書や全期間のねんきん定期便、1年分の国民年金保険料領収証書のコピーなども必要となります。
これらの書類は、申請者の経済的安定性や社会保険への加入状況を証明するものです。
加えて、高度専門職ポイント計算表やポイント計算の各項目に関する資料も提出しなければなりません。
これらは、申請者が実際に80点以上のポイントを獲得していることを証明するための重要な書類となります。
70点以上のポイントを有する場合
70点以上80点未満のポイントを有する場合には、3年以上の在留で永住権申請が可能です。
この場合に必要となる書類は、80点以上の場合とほぼ同様ですが、一部異なる点があります。
基本的な書類として、永住許可申請書や写真は80点以上の場合と同じく必要です。
しかし、所得や納税状況を証明する資料については、直近の過去3年分が求められます。
申請者や申請者を扶養する方の経済的安定性を、より長期的に確認するためです。
また、社会保険制度への継続的な加入を確認するため、国民年金保険料領収証書のコピーや国民健康保険料(税)納付証明書、または領収証書については、2年分を提出しなければなりません。
注意すべき点として、永住申請できる期間が短縮されても、用意する書類は通常よりも多くなる傾向があります。
短期間での永住権取得を認める代わりに、申請者の適格性をより厳密に審査するためです。
日本の永住権申請における高度人材ポイント制や必要な書類を理解しよう
高度人材ポイント制は、優秀な外国人材の受け入れを促進する制度です。
「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つのカテゴリでポイントが付与され、70点以上獲得した場合に高度人材として認定されます。
80点以上なら1年、70点以上なら3年の在留で永住権申請が可能となります。
申請には、永住許可申請書や写真、理由書、所得証明書など多くの書類が必要です。
この制度を活用する際は、ポイントを正確に把握し、必要書類を漏れなく準備しましょう。