入管法の改正が段階的に施行されることが決定し、外国人材受け入れに関わる企業の採用担当者や経営者にとって重要な情報となっています。
本記事では、令和5年と令和6年の入管法改正について、それぞれの施行時期や主な内容を詳しく解説します。
外国人材の採用をスムーズに進めるために、必要な情報を押さえ、適切な準備を整えましょう。
目次
令和5年入管法改正はいつから施行された?
令和5年に成立・交付された改正入管法は、2つの異なる時期に分けて施行されます。
外国人労働者の受け入れに関わる企業にとって、これらの変更点を理解することは非常に重要です。
それぞれの施行日に導入される制度について、詳しく見ていきましょう。
令和5年12月1日から施行された制度
令和5年12月1日から施行されたのは、補完的保護対象者の認定制度です。
この制度は、難民条約で定められた難民には該当しないものの、日本での保護が必要と認められる外国人を対象に、同等に保護する制度です。
補完的保護対象者とは、例えば戦争のような状況下で、自国に戻ると命の危険がある外国人などが該当します。
この制度により、対象者は在留資格の取得や永住許可の要件緩和などの保護を受けられます。
さらに、政府が実施する定住支援プログラムを通じて、日本語教育や生活支援などの援助を受けることも可能です。
企業にとっては、このような保護対象者の雇用機会が増える可能性があるため、注目に値する制度変更といえるでしょう。
令和6年6月10日から施行された制度
令和6年6月10日からは、入管施設への収容長期化問題に対応するため、新たな制度が施行されています。
新制度の主な変更点は以下のとおりです。
- 難民認定の申請が3回目以降の場合、強制送還が可能
- 監理人による監理の下で生活しながら、収容しないで退去強制手続きを実施
- 入管施設への収容継続の必要性を3ヵ月ごとに判断
- 退去命令に反して送還を妨害した場合に適用される刑事罰の創設
など
これらの制度変更により、在留資格を持たず国外退去を命じられた外国人の処遇が改善されることなどが期待されます。
企業としては、雇用している外国人労働者の在留資格や滞在状況を、より慎重に管理する必要が出てくるでしょう。
これらの変更点を踏まえ、適切な雇用管理と法令遵守に努めることが重要です。
令和6年入管法改正はいつから施行される?
令和6年6月14日に「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案」が成立、同年6月21日に公布されました。
この改正法は公布日から原則3年以内に施行されることになっており、令和9年頃の施行が見込まれています。
新たに改正される入管法の主な内容は、以下のとおりです。
- 技能実習の在留資格を廃止して、人材育成と人材確保を目的とする「育成就労」制度を新たに創設する
- 一定の要件を満たす場合に、外国人本人の意向による転籍を認める
- 外国人の就労に関連する機関として、これまでの監理団体に代わり監理支援機関として、要件を厳格化する
- 外国人に不法就労活動をさせるなどの不法就労助長罪の罰則を引き上げる
など
特に「育成就労」制度の導入や転籍の容認など、外国人材の採用・育成戦略に大きな影響を与える可能性がある点に、企業としては注目すべきでしょう。
入管法改正がいつから始まるかを確認して事前に準備しておこう
入管法改正の施行時期は段階的に設定されており、企業には各時期に合わせた準備が求められます。
令和5年12月1日からの補完的保護対象者認定制度、令和6年6月10日からの収容長期化問題への対応、そして令和9年頃の技能実習制度改革など、それぞれの改正内容を正確に理解し、自社の外国人採用戦略や労務管理に反映させることが重要です。
特に「育成就労」制度の導入は、外国人材の育成と活用に新たな可能性をもたらします。
今後も入管法改正の動向を注視し、最新情報を収集しながら、外国人労働者とともに成長する企業づくりをめざしましょう。