外国人を雇用する際には、さまざまな手続きが必要です。
本記事では、これから外国人を採用しようと思っているものの手続き方法がわからないという企業の担当者に向けて、外国人採用で必要な手続きと注意点を紹介します。
外国人雇用を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。
目次
外国人の入社前の確認事項・手続き
まずは、外国人労働者が入社する前の確認事項や手続きについて解説します。
在留資格(就労ビザ)の確認
大前提として、外国人労働者を日本で雇用する場合、在留資格に定められた就業範囲のいずれかに該当しなければ、働くことが許可されません。
そのため、まずは業務内容と外国人労働者の持つ在留資格の照合が必要です。
在留資格とは、外国人が日本に在留するうえで必要な資格のことです。
就労可能な職種や活動内容などが定められており、就労ビザとも呼ばれます。
在留資格は、在留カードでチェックが可能です。
「就労制限の有無」が「就労不可」となっている場合は原則就労が認められないため注意しましょう。
また、就労可能であっても、以下の区分があり就労の範囲には制限があります。
- 「在留資格に基づく就労活動のみ可」
- 「指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可」
- 「指定書により指定された就労活動のみ可」
なお、就労不可であっても、カードの裏面に以下のいずれかの記載がある場合は制限付きで就労が可能です。
- 「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」
- 「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」
雇用契約の締結
在留資格を確認し、外国人労働者に内定を出したら、次は雇用契約書を作成します。
在留資格(就労ビザ)の許可には、雇用契約書等の提出が必要となるためです。
雇用契約書には、業務内容、雇用期間、勤務地、労働時間、賃金などの労働条件を明記します。
外国人労働者にとって、母国語ではない言語で書かれた契約書を理解するのは容易ではありません。
そのため、できるだけわかりやすい表現を心がけ、必要に応じて母国語での補足説明を付け加えるなどの配慮も大切です。
外国人労働者入社後の手続きと必要書類
次に、外国人労働者入社後に必要な手続きと書類を解説します。
外国人雇用状況届出書の届出
外国人労働者を雇用した場合、「外国人雇用状況の届出」を提出します。
この届出を忘れると、30万円以下の罰金が科せられる可能性があるため注意が必要です。
届出は、入社後に行います。
必要事項を記入し、所轄のハローワークに提出してください。
雇用保険加入の手続き
外国人労働者を雇用した場合、条件を満たしたら雇用保険の加入手続きが必要です。
手続きを行うのは雇用主の義務となります。
加入手続きは、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに行う必要があります。
雇用保険被保険者資格取得届を、所轄のハローワークに提出してください。
外国人労働者の雇用保険の加入条件は、以下のとおりです。
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
健康保険・厚生年金加入の手続き
健康保険と厚生年金も、条件を満たせば加入の手続きが必須となります。
手続きの期限は、入社から5日以内です。
加入手続きでは、被保険者資格取得届の提出が必要です。
あわせて、マイナンバーを有しておらず、一度も本人確認を行っていない場合は、以下の本人確認書類の提出が求められます。
短期在留の場合は、以下の書類が必要です。
- 旅券の身分事項のページの写し
- 以下、1~3いずれかの写し
1.旅券の資格外活動許可証印のページ
2.資格外活動許可書
3.就労資格証明書
長期で居住している場合は、運転免許証、パスポート、公的機関で発行された資格証明書の写しが必要となります。
在留資格の更新
外国人労働者は、永住者を除いて定期的な在留資格の更新が必要です。
更新の手続きは、在留期間の満了する3ヵ月前から行うことができます。
在留期間の満了日を確認し、更新の手続きを計画的に進めましょう。
必要書類を準備し、入管署に申請してください。
在留資格更新許可申請書については、出入国在留管理庁のウェブサイトからダウンロードが可能です。
在留資格の更新は、外国人労働者の継続雇用に欠かせない手続きです。
漏れのないように対応しましょう。
外国人雇用の手続きに関する注意点
外国人の雇用に際しては、いくつかの注意点があります。
スムーズに雇用を進めるために、以下の点に気を付けましょう。
在留資格で認められていない業務に従事させない
先述したとおり、外国人労働者には、在留資格で認められた範囲の業務しか担当させることができません。
資格外活動に当たる業務に従事させると、不法就労となる可能性があります。
不法就労が発覚した場合、外国人労働者本人だけでなく雇用主にも罰則が科せられる場合があります。
在留資格の内容をしっかりと確認し、適切な業務に従事してもらうようにしましょう。
同一労働同一賃金・最低賃金を遵守する
外国人労働者にも、日本人と同一の労働条件を適用する必要があります。
同一労働同一賃金の原則に基づき、国籍による差別のない賃金体系を整備しましょう。
また、最低賃金法は外国人にも適用されます。
地域別・業種別に定められた最低賃金額を下回る賃金で外国人を雇用することはできません。
労働関連法規を遵守し、適切な労働条件を整えることが求められます。
手続きに気をつけながら外国人雇用を活用しよう
外国人労働者を雇用する際に必要な手続きと注意点を紹介しました。
外国人雇用の際には、各種手続きの期限を守り、抜け漏れのないように対応することが大切です。
ルールを守り、適切な雇用管理を行いながら、外国人雇用を活用していきましょう。