医療機関での人手不足が深刻化するなか、外国人材の活用が注目されています。
看護師をサポートする看護助手として外国人労働者を採用するためには、介護系の在留資格の取得が必要です。
介護系の在留資格を取得すると、介護職員のほか看護助手として働くことが可能になるのです。
本記事では、外国人が看護助手として働くうえで必要なビザの種類や取得条件、実際に従事できる業務内容、さらに受入れ企業側の要件についても詳しく解説していきます。
目次
外国人が看護助手として働くうえで必要なビザ
看護助手は看護師をサポートする職種で、看護の専門的判断を必要とせず、資格不要で働くことができます。
外国人が看護助手として病院で就労するためには、いくつかある介護系の在留資格のうち、いずれかの取得が必要です。
それぞれの在留資格には特徴があり、取得条件や在留期間が異なります。
なお、「永住者」や「定住者」などの身分や地位に応じた在留資格を持っている場合は日本人と同様、制限なく就労可能です。
以下では、主な3つのビザについて詳しく説明していきます。
技能実習「介護」
技能実習制度は、開発途上国への技能移転による国際貢献を目的とした制度です。
技能実習「介護」の在留資格を得て来日する実習生は、一定期間に限って病院や介護施設で実践的な技能を学びながら働くことができます。
資格取得には日本語能力試験N4以上の合格が求められ、年齢制限や帰国後の就労予定などの要件も定められています。
特定技能「介護」
中小企業などの人手不足解消を目的として創設された特定技能制度では、一定の専門性を持つ外国人材の受入れが可能です。
介護分野においては「特定技能1号」の在留資格で、最長5年間の滞在が認められています。
在留資格「介護」
「介護」の在留資格は、介護福祉士の国家資格を持つ外国人材が取得できるビザです。
在留期間は状況に応じて5年、3年、1年、または3ヵ月が設定されます。
このビザの特徴は、介護福祉士という国家資格の保持が必須条件となっている点です。
外国人が看護助手になるために必要な特定技能「介護」の取得条件
特定技能「介護」の取得には、専門的な知識と日本語能力の両方が求められます。
具体的には、以下の2つの試験に合格することが必要です。
- 介護技能評価試験
- 日本語試験(国際交流基金日本語基礎テストまたは日本語能力試験N4以上および介護日本語評価試験)
介護技能評価試験
介護技能評価試験は、基礎的な介護の知識と実践力を評価するためのテストです。
コンピューターを使うCBT方式で実施され、60分の時間内に学科試験40問と実技試験5問の合計45問に解答します。
学科試験では介護の知識を、実技試験では実際の介護現場で必要となる判断力や技術力を問われます。
日本語試験
日本語能力の証明には、以下の2種からいずれか試験への合格が必要です。
- 国際交流基金日本語基礎テスト:
日本語でのコミュニケーションを通して日常生活が支障なく実施できるか確認する試験(日本語能力試験N4以上でも可能) - 介護日本語評価試験:
介護分野における日本語能力を確認する試験
特定技能外国人が従事できる看護助手の業務
特定技能外国人の看護助手は、入浴介助や食事介助、排泄介助などの日常生活支援が主な業務となります。
また、レクリエーションの実施補助や機能訓練の補助的な業務も担当可能です。
施設内の掲示物管理や物品の補充・管理なども業務範囲に含まれますが、訪問介護などの訪問系サービスは認められていません。
外国人を看護助手として受入れる企業の条件
外国人材を看護助手として受入れる場合、病院側にもさまざまな要件が設けられています。
制度によって条件が異なるため、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。
特定技能制度の場合
特定技能制度で外国人材を受入れる場合、企業側には適切な雇用環境の整備が求められます。
まず、雇用契約において日本人と同等以上の待遇を確保することが必要です。
さらに、外国人材のための支援体制を整えることや、具体的な支援計画の策定も必須となっています。
技能実習制度の場合
技能実習生を受入れる場合、より詳細な要件が設定されています。
介護福祉士または看護師などの資格を持つ技能実習指導員の配置が必須で、実習生5名につき1名以上の割合で選任しなければなりません。
また、開設後3年以上経過した事業所であることや、夜勤業務実施時には利用者の安全確保などのために必要な措置を実施することなども求められます。
看護助手として外国人労働者を雇用することは可能
外国人材を看護助手として雇用する際に必要なビザは、技能実習「介護」、特定技能「介護」、在留資格「介護」の3つのいずれかです。
それぞれのビザには固有の取得条件や在留期間が設定されており、企業側の受入れ要件も異なります。
採用を検討する際は、施設の体制や求める人材像に合わせて、最適な制度を選択することが重要です。