
外国人介護士の派遣雇用は、在留資格「介護」を持つ場合のみ例外的に認められています。
一方、特定技能外国人やEPA候補者、技能実習生については派遣が認められていません。
外国人を受入れる際は、在留資格ごとに定められた適切な雇用形態で雇用することが求められます。
この記事では、外国人介護士を派遣で雇用できる制度、できない制度について理由と合わせて解説します。
目次
在留資格「介護」なら外国人を派遣形態で雇用できる
キャプチャ引用:外国人介護人材受入れの仕組み
2016年の入管法改正で創設された在留資格「介護」は、日本で介護福祉士の資格を取得した外国人を対象としています。
この資格保持者は原則として直接雇用が推奨されますが、派遣雇用も例外的に認められています。
派遣での雇用が可能な理由は、在留資格「介護」の活動目的が介護業務に特化しているためです。
派遣形態でも、介護業務の適正な遂行が確保されていれば法的には問題ありません。
この在留資格を取得した外国人は、介護福祉士として就業することが想定されています。
介護福祉士国家試験の受検資格は、日本の介護福祉士養成学校に留学して学ぶか、介護現場で3年以上の実務経験を積むことが条件です。
外国人介護士を派遣形態で雇用できない制度
在留資格「介護」以外で、外国人介護士を雇用する方法は3つありますが、どれも派遣形態での雇用は認められていません。
それぞれの制度の概要や、派遣形態が認められていない理由を解説します。
特定技能外国人
特定技能1号を取得している外国人は、原則としてフルタイムか正社員での雇用と決められています。
これは、特定技能外国人を安定的に雇用し、日本での生活を支援するためです。
農業分野と漁業分野に限っては、例外的に特定技能外国人を派遣として雇用することが認められています。
この例外措置が設けられた理由は、農業や漁業では地域や季節によって繁忙期と閑散期があるためです。
介護分野には基本的に繁忙期や閑散期がないため、特定技能外国人を派遣雇用することは認められていません。

EPA外国人介護福祉士候補者
EPA(Economic Partnership Agreement)は、特定の国同士での貿易や投資を促進するため、規制や関税の緩和・撤廃、環境整備などを実施する条約のことです。
日本語では経済連携協定とも呼ばれています。
日本は、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヵ国とEPAを締結しており、相手国の人材が日本の国家資格「介護福祉士」の取得をめざすことを目的とした受入れ制度を導入しています。
EPA外国人介護福祉士候補者は、受入れ施設が直接雇用し、計画的な研修や実務経験を提供することが求められており、派遣労働は制度の趣旨に反するため認められていません。
外国人技能実習制度
技能実習制度は、外国人が日本の企業などで技能を習得し、母国の発展に寄与することを目的としています。
この制度では、受入れ企業が直接雇用を行い、計画的かつ継続的に技能を指導する責任を負います。
そのため技能実習生は受入れ企業で直接雇用されることが求められ、技能実習生を労働者派遣の形態で雇用することが禁止されているのです。
外国人労働者と協力して介護業種を充実させよう
外国人を介護職の派遣で雇う際には、その在留資格に注意しなければなりません。
特定技能第1号のように派遣で雇ってはいけないと規定された在留資格があるため、入職する前に外国人労働者がどのような在留資格を保持しているのかを確認する必要があるのです。
外国人労働者自身もきちんと法律を理解していないケースもあるため、採用者側も確認を怠らないようにしましょう。
外国人労働者の資格や働き方に関する法律を正しく理解し、適切な雇用形態で受入れることが重要です。