就労ビザの申請は、外国人が日本で働くために欠かせないステップです。
この申請手続きでは、外国人本人と受け入れ企業の双方でさまざまな書類を準備する必要があります。
なかでも理由書は、就労ビザ申請後の審査にプラスの影響を与える可能性のある書類です。
外国人側と企業側で作成を行う理由書のいずれも基本的に任意となりますが、就労の適合性をアピールし、申請を円滑に進めるためにも提出しておきましょう。
本記事では、就労ビザ申請時に提出する理由書の書き方を、例文とともに解説します。
ポイントを押さえて効果的な理由書を作成し、就労ビザ申請に役立ててみてください。
目次
就労ビザ申請に必要な理由書とは
就労ビザの申請時に必要な書類のなかでも理由書は、申請の意図や背景を詳しく説明し、審査官の理解をうながす重要な役割を果たします。
就労ビザ申請に関わる理由書は、外国人本人が作成するものと、受け入れ企業が用意する雇用理由書の大きく2種類です。
それぞれの書類の内容や特徴を見てみましょう。
雇用企業が作成する「雇用理由書」
雇用理由書は、就労ビザの申請者である外国人を採用した企業が、その人材の必要性や適合性を説明するための書類です。
就労ビザ申請者である外国人を雇用する具体的な理由、任せたい業務内容などを明示する必要があります。
雇用理由書の提出は任意であり、出入国在留管理庁でもフォーマットは用意されていません。
しかし、雇用理由書によって、その他の書類では説明が不十分な情報を補足できるだけでなく、その人材が自社の業務に適していることを積極的にアピールできます。
企業側が自主的に作成し、必須の書類とともに提出すると、審査をスムーズに進めやすくなるでしょう。
外国人本人が作成する「理由書」
就労ビザ申請者の外国人本人が作成する理由書は、必須の提出書類だけでは伝わりにくい内容を補足するための書類です。
この理由書には、就労ビザが必要な理由や従事する業務への適性などを明示します。
雇用理由書と同様に、理由書の提出も任意ですが、審査官が求める情報を提供することで、申請後の処理が円滑になるでしょう。
なお、すでに日本に在留している外国人が就労ビザへの変更申請を行う場合は「就職理由書」、これから来日してビザを得る場合には「入国理由書」と使い分けることも可能です。
雇用企業が作成する「雇用理由書」の例文
雇用理由書を作成するのは、就労ビザ申請者の外国人を受け入れたい企業です。
雇用理由書の例文と、作成のポイントを見てみましょう。
例文
以下は、製造業で外国人を受け入れる企業を想定した雇用理由書の例文です。
企業の概要や就労ビザ申請者の情報、業務内容、入社後に期待される役割などを把握できる内容になっています。
この例文を参考に、説得力のある雇用理由書を作成しましょう。
雇用理由書を作成する際のポイント
雇用理由書では、以下2つのポイントが重要になります。
- 入国管理局が知りたい内容を書く
- わかりやすく記載する
外国人の就労ビザ申請をサポートするため、企業はこれらのポイントを押さえたうえで雇用理由書の作成を進めてみてください。
入国管理局が知りたい内容を書く
雇用理由書を作成する際は、入国管理局の審査で必要となる情報を意識しましょう。
具体的には、企業の安定性や業務内容、申請者である外国人の学歴・経歴、関連性などは重要視されやすい要素です。
これらの情報を雇用理由書の内容に盛り込むことで、審査官が申請の妥当性を判断しやすくなります。
ただし、事実と異なる内容で書類を作成してしまうと、在留資格の不正取得を助けたとして、企業も罰則の対象になりかねません。
特に注意したいのが、外国人の学歴・経歴と従事させたい業務内容の合致です。
これらが合致していなければ、外国人の就労ビザ申請は不許可となる可能性がありますが、虚偽の内容を記載するのは避けましょう。
予定している業務内容に、外国人の専門性や経験がどのように活かされるか、具体的かつ正確に説明します。
わかりやすく記載する
雇用理由書は、審査官にとってわかりやすい内容であることも重要です。
審査官が企業の事業・業務内容に詳しいとは限らないため、専門用語や業界特有の表現は避け、できるだけ平易な言葉で説明するよう心がけましょう。
ただし、理解を得たいがために説明文が長くなると、冗長な印象を与えかねません。
審査官に伝えるべき要点をふまえたうえで、簡潔な文章で作成するよう意識してみてください。
外国人本人が作成する「理由書」例文
就労ビザを申請する外国人本人の理由書は、在留資格の要件を満たし、適切な業務に従事することを前提に作成しましょう。
ここからは、外国人が作成する理由書の例文とポイントを紹介します。
例文
以下は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得し、製造業での就職を希望している外国人を想定した理由書の例文です。
理由書では、申請者である外国人自身の経歴や日本での就職を希望する理由、業務内容と在留資格の関連性などを示しましょう。
理由書を作成する際のポイント
就労ビザ申請にあたって外国人が理由書を作成する際、まず重要視したいのが、在留資格の要件や業務内容を十分に理解していることです。
申請する資格と職務に該当性があり、主張が一貫していれば、審査官は外国人の就労に対する意欲を判断しやすくなります。
また、理由書を日本語で作成する場合、日本語能力もアピールできるでしょう。
作成に自信がない方は、在留許可申請に関わる手続きに対応した行政書士事務所など、信頼できる場所にサポートを依頼するのも一つの方法です。
理由書の文章量は、長ければ良いというものでもありません。
意図が明確に伝わるよう、わかりやすさを意識したうえで、審査官が求めているであろう情報を提供するのがポイントです。
例文を参考に理由書を書いて就労ビザの申請をしよう
就労ビザ申請時に提出できる理由書は、外国人と企業の双方にとって重要な書類です。
必ずしも理由書の提出が求められるわけではありませんが、申請後の審査をスムーズに進めるためにも、必須の提出書類とともに用意しておくと良いでしょう。
外国人が作成する理由書のほか、企業側でも雇用理由書の作成が可能です。
それぞれの立場から、日本での就労の必要性や適合性を明確に示し、虚偽の情報が含まれないよう注意します。
本記事で紹介した例文を参考に、適切な理由書を作成し、就労ビザの申請を円滑に進めるための助けとしてみてください。