外国人や外国人材を活用する企業の担当者は、出入国在留管理庁への届出や報告に関する手続きで悩むこともあるでしょう。
近年、これらの手続きを簡素化するシステムが導入され、手続きの負担が軽減されています。
本記事では、出入国在留管理庁電子届出システムについて詳しく解説します。
システムの概要やメリット、注意点などがわかりやすくまとまっているので、ぜひ最後までお読みください。
目次
出入国在留管理庁電子届出システムとは
出入国在留管理庁電子届出システムは、出入国管理及び難民認定法上の特定の届出や報告をインターネット経由で行うことができる便利なシステムです。
このシステムを利用することで、出入国在留管理官署の窓口に出向く必要がなくなり、手続きの効率化が図れます。
具体的には、以下の届出や報告が対象です。
- 中長期在留者による届出
- 中長期在留者の所属機関による届出
- 特定技能所属機関・登録支援機関の届出
- 日本語教育機関の告示基準に基づく報告
これらの手続きをオンラインで完結できるため、時間と手間を大幅に節約することができます。
ただし、注意すべき点として、このシステムは在留申請自体を行うものではありません。
在留申請は別のシステムや手続きが必要となりますので、混同しないよう注意が必要です。
出入国在留管理庁電子届出システムの対象となる届出
出入国在留管理庁電子届出システムでは、主に4種類の届出や報告が対象となっています。
それぞれの対象者や届出内容について、詳しく見ていきましょう。
中長期在留者による届出
中長期在留者は、在留資格に関わる所属機関や身分関係に変更があった場合、14日以内に出入国在留管理庁長官に届け出る必要があります。
この届出を電子的に行えるのが、本システムの大きな特徴の一つです。
中長期在留者とは、以下の特定条件に当てはまらない外国人を指します。
- 「3月」以下の在留期間が決定された人
- 「外交」または「公用」の在留資格が決定された人
- 特別永住者
- 「短期滞在」の在留資格が決定された人
- 「特定活動の在留資格が決定された、台湾日本関係協会の本邦の事務所もしくは駐日パレスチナ総代表部の職員またはその家族
- 在留資格を有しない人
例えば、3ヵ月以下の在留期間の方や特別永住者、短期滞在の方などは、中長期在留者には含まれません。
中長期在留者に該当する方は、所属機関や身分変更の手続きを電子届出システムを通じて行うことができ、手続きの簡素化と時間短縮が可能となります。
中長期在留者の所属機関による届出
中長期在留者を雇用または受け入れている所属機関も、本システムを利用して届出を行うことができます。
所属機関には、当該中長期在留者の受け入れ開始およびその終了、または受け入れ状況に関する事項を届け出る義務があります。
具体的には、受け入れを開始または終了した14日以内に、以下のような中長期在留者の個人情報や受入れ状況、活動内容などを届け出ることが必要です。
- 中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地および在留カード番号の共通記載事項
- 中長期在留者の受入れを開始または終了した年月日
- 中長期在留者が行う活動の内容
これらの情報を適切に管理し、期限内に届け出ることで、法令遵守と円滑な外国人雇用を実現できます。
システムの活用によりオンラインで完了できれば、担当者の負担軽減にもつながるでしょう。
特定技能所属機関・登録支援機関の届出
在留資格「特定技能」を有する外国人を受け入れている所属機関や登録機関も、本電子届出システムを利用して届出を行うことができます。
対象には随時届出と定期届出があり、それぞれ定められた期間内に行うことが必要です。
- 特定技能所属機関による随時届出(法第19条の18第1項)
- 特定技能所属機関による定期届出(法第19条の18第2項)
- 登録支援機関による随時届出(法第19条の27第1項、法第19条の29第1項、法施行規則第19条の23第2項)
- 登録支援機関による定期届出(法第19条の30第2項)
随時届出は事由発生から14日以内、定期届出は四半期ごとに翌四半期の初日から14日以内に行うよう定められています。
四半期の区分は年間を4つに分けて設定されており、それぞれの期限を守ることが重要です。
- 第1四半期 : 1月1日から3月31日まで
- 第2四半期 : 4月1日から6月30日まで
- 第3四半期 : 7月1日から9月30日まで
- 第4四半期 : 10月1日から12月31日まで
届出の不履行や虚偽の届出には罰則が設けられています。
適切な届出を行い、法令を遵守することが必要です。
日本語教育機関の告示基準に基づく報告
日本語教育機関も、本システムを利用して告示基準に基づく報告を行うことができます。
通学している生徒の退学や出席率の低下、課程修了の認定、機関の適合性点検結果など、さまざまな事由に基づいた報告をシステム経由で行えます。
以下の事由に該当する場合、随時または定期的に届出を行わなければなりません。
- 生徒が退学した
- 1ヵ月の出席率が5割を下回った生徒がいた
- 各年度の課程修了の認定を受けた者について
- 日本語教育機関の告示基準への適合性の点検結果
- すべての生徒の6ヵ月間の出席率および当該期間における個々の生徒の出席状況
本システムにより迅速かつ正確な報告が可能となり、日本語教育機関の適切な運営をめざすことができるでしょう。
出入国在留管理庁電子届出システムを利用するメリット
出入国在留管理庁電子届出システムには、利用者にとって多くのメリットがあります。
具体的なメリットとして挙げられるのは、以下のとおりです。
- 窓口に行かずオンラインで届出や報告が可能
- 利用料金がかからない
- 24時間365日利用できる
移動時間や待ち時間を大幅に削減でき、時間を気にすることなく手続きできる点が大きな魅力です。
夜間や休日でも届出が可能であるため、業務の効率化にもつながります。
これらのメリットにより、利用者の負担が大きく軽減されることが期待できます。
出入国在留管理庁電子届出システムを利用する際の注意点
出入国在留管理庁電子届出システムは非常に便利なツールですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。
具体的な注意点としては、主に以下のような点が挙げられます。
- 基本的に日本語入力しかできない
- 申請前に利用者情報登録が必要
本システムは基本的に日本語入力にのみ対応しており、外国人本人が届出を行う際は、ある程度の日本語能力が必要となります。
日本語に不安がある場合は、所属機関や支援者の方のサポートを受けることがおすすめです。
次に、申請前には利用者情報登録が必要となりますが、外国人本人と所属機関で登録方法が異なる点に注意しなくてはなりません。
外国人本人の場合はオンラインで登録が完了しますが、所属機関の場合は窓口か郵送での申請が必要です。
事前の準備を怠らないようにしましょう。
出入国在留管理庁電子届出システムを活用して楽に手続きしよう
出入国在留管理庁電子届出システムは、外国人や所属機関にとって非常に便利なツールです。
窓口に行く必要がなく、24時間365日利用できるため、時間と労力を大幅に節約できます。
中長期在留者、特定技能所属機関、日本語教育機関など、さまざまな立場の方々が利用できるこのシステムは、手続きの簡素化と効率化に大きく貢献します。
ただし、日本語での入力が基本となることや、事前の利用者情報登録が必要であることなどには注意が必要です。
これらの特徴を理解し、適切に活用することで、スムーズな手続きが可能となります。
出入国在留管理庁電子届出システムを積極的に利用し、より効率的な届出・報告を実現しましょう。