特定技能外国人材の雇用期間について、5年後も継続して雇用できるのか、無期限での雇用は可能なのかと、疑問を抱えている企業担当者も多いでしょう。
本記事では、特定技能外国人の5年後の就労可能性や、無期限雇用を実現するための方法について詳しく解説します。
特定技能制度の概要から、長期雇用のための具体的な選択肢まで、幅広い情報をお届けします。
目次
特定技能人材は5年後も無期限で働けるのか?
特定技能制度では、外国人材の在留期間に制限が設けられています。
しかし、特定の条件を満たすことで、5年以上の就労が可能になる場合があります。
ここでは、特定技能1号と2号の違いや、外国人が無期限で働くための要件について詳しく見ていきましょう。
特定技能2号は5年の制限がなく無制限で働ける
特定技能で働くことができる在留資格は、特定技能1号と特定技能2号の2種類があります。
特定技能1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
一方、特定技能2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格となっています。
特定技能1号で認められる在留期間は通算5年ですが、特定技能2号の在留期間は、更新を続ける限り上限はありません。
つまり、特定技能2号であれば無制限で働くことが可能なのです。
このため、長期的な人材確保をめざす企業にとっては、特定技能2号への移行を検討することが重要となります。
特定技能2号の対象業種
特定技能2号の対象業務には、高度な知識・技能を必要とするものが多く、日本の産業を支える重要な役割を担うといえます。
現在、以下の業種が特定技能2号の対象です。
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 自動車整備
- 建設業
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分すべて
これらの業種で働く外国人材は、特定技能2号へ移行することで、より長期的な就労が可能となります。
ただし、各業種で求められる技能水準や経験年数などの要件を満たす必要があるため、事前に十分な確認が必要です。
特定技能2号への切り替え以外に5年以上働く方法
特定技能2号への移行が難しい場合でも、外国人材が5年以上日本で働き続けるための方法は存在します。
ここでは、特定技能2号以外の選択肢について詳しく解説していきます。
長期的な就労を希望する外国人材や、そうした人材の雇用を検討している企業にとって、参考となる情報です。
長期滞在用のビザを取得する
就労や長期滞在を目的とする場合、以下のようなビザの取得を検討できます。
- 高度専門職ビザ
- 就業ビザ
- 一般ビザ
- 特定ビザ
- 起業(スタートアップ)ビザ
- 外交ビザ
- 公用ビザ
これらのビザは、それぞれ異なる目的により設けられており、条件が定められています。
取得条件が厳しいものや、ビザの更新に一定の条件が定められているものもあるため、注意が必要です。
例えば、高度専門職ビザは、高度な学歴や職歴、年収などの条件を満たす必要があります。
一方、起業ビザは、事業計画の審査や資金要件など、独自の基準があります。
自身の状況や目的に最も適したビザを選択し、必要な準備を進めることが重要です。
日本人の配偶者になる
日本人と入籍し、配偶者ビザ(正式名称は「日本人の配偶者等」)を取得することができれば、最大で5年間の在留期間が与えられます。
また、期限の3ヵ月前から更新手続きも可能です。
配偶者ビザは、在留資格の種類のなかでは就労制限がなく、好きな仕事に就いたり、起業したりすることが自由です。
また、永住権の取得がしやすくなるという特徴もあります。
ただし、配偶者ビザの取得には注意点があります。
まず、審査が厳しいため、ビザの取得自体が困難な場合が考えられます。
また、離婚すると配偶者ビザが失効してしまうため、安定的な在留資格とはいえません。
真摯な婚姻関係を前提とし、将来的なリスクも考慮したうえで検討する必要があるでしょう。
在留資格「介護」を取得する
在留資格「介護」を取得することで、5年後も働くことが可能になります。
在留資格「介護」は、在留期間が最長5年であり、ビザの更新回数に制限がないため、永続的に就労できます。
特定技能人材として介護の仕事につき、実務経験を3年以上積んだうえで、介護福祉士資格を取得すれば、在留資格「介護」に移行することが可能です。
この方法は、介護分野での長期的なキャリアを考えている外国人材にとって、有効な選択肢となるでしょう。
ただし、介護福祉士資格の取得には、一定の日本語能力と専門知識が求められます。
また、実務経験の積み重ねも必要となるため、計画的なキャリア形成が重要です。
介護分野での長期就労をめざす場合は、早い段階から資格取得に向けた準備を始めることをおすすめします。
特定技能外国人が5年間働いたあとの流れを確認しよう
特定技能外国人材の5年後の就労継続には、いくつかの選択肢があります。
特定技能2号への移行は、無期限での就労を可能にする最も直接的な方法です。
ただし、対象業種が限られているため、すべての特定技能1号保有者が特定技能2号へと移行できるわけではありません。
その他の選択肢としては、長期滞在用のビザ取得や日本人との結婚による配偶者ビザの取得、在留資格「介護」への移行などがあります。
これらの方法は、それぞれ異なる条件や特徴があるため、個々の状況に応じて最適な選択をすることが必要です。
企業側は、優秀な外国人材を長期的に確保するために、これらの選択肢を理解し、従業員のキャリアプランをサポートすることが重要となります。
一方、特定技能外国人材自身も、自らのキャリア目標に合わせて、早い段階から将来の選択肢を検討し、必要な準備を進めることが大切です。