多くの企業で人員不足が課題となっている現在、特定技能外国人を雇うか否かで悩んでいる企業の担当者は多いのではないでしょうか?
特定技能外国人を雇うためには支援環境を整える必要がありますが、登録支援機関に依頼して支援を受けるという選択肢のほか、「自社支援」があります。
この記事では、自社支援の役割や行うための要件、必要な書類などについて詳しく解説します。
目次
特定技能外国人の自社支援とは
特定技能外国人を雇用する際、事業者自身が法令で定められた支援を行うことを「特定技能の自社支援」と呼びます。
つまり、登録支援機関に頼らず、受け入れ企業自身で外国人の支援を行うことです。
ある程度の組織規模があり、外国人支援の責任者や担当者を配置できたり、法務部門などを持っていたりする場合は、自社支援を検討しても良いでしょう。
特定技能の自社支援が可能な要件
特定技能の自社支援を行うためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
以下の要件が整っているかを確認して、自社支援を行うかどうかを判断しましょう。
- 外国人労働者を受け入れた実績がある
- 直近2年以内に外国人の生活相談を行った職員または役員が在籍している
- 支援計画書に記載した内容がすべて実施でき、支援の実施状況を報告する体制が整えられている
- 外国人労働者がスムーズに理解できる言語でのコミュニケーションが取れる職員または役員が在籍している
特定技能の自社支援に必要な書類
特定技能の自社支援を行うためには、以下の書類を揃えることが必要不可欠です。
必要となる書類 | 内容 |
支援計画の変更に係る届出書 参考様式第3-2号 |
自社で支援を行う際に発生する、支援計画が変更となる旨を記載した書類 |
新しい支援計画書 参考様式第1-17 |
新しい支援計画を記載した書類 |
特定技能所属機関概要書 参考様式第1-11号 |
外国人を受け入れる企業の概要を説明した書類 |
受け入れ企業の組織図 | 特定技能の支援担当と業務上の指導者が別であることを証明するための書類 ※必須ではないが、ほぼ提出が求められる |
特定技能所属機関による支援委託契約に係る届出 参考様式3-3-2 |
委託支援を終了する旨を報告する書類 ※これまでに委託していた支援機関がある場合 |
上記の書類を揃えて、出入国在留管理庁に提出することが求められています。
特定技能の自社支援には「支援計画書」が必要
特定技能の自社支援を行う際には、支援計画書を再度作成する必要があります。
特に以下の内容については、必ず支援計画に盛り込むことが求められています。
- 入国前の情報提供
- 出入国する際の送迎
- 適切な住居の確保に係る支援・生活に必要な契約に係る支援
- 入国後の情報提供
- 公的手続きの支援
- 日本語学習の機会の提供
- 苦情・相談の対応
- 外国人と日本人との交流の促進に係る支援
- 必要に応じた転職支援
- 定期的な面談の実施
支援計画書の作成は、自社支援を行ううえで極めて重要なプロセスといえるでしょう。
自社支援ですべき支援の内容
支援計画書に記載すべき10の支援項目には、義務的支援と任意的支援があります。
詳しくは以下の表を参考にしてください。
支援内容 | 義務的支援の例 | 任意的支援の例 |
事前ガイダンス | 本邦において行うことができる活動の内容 | 本国から持参すべきものやしてはならないものの情報提供 |
出入国の送迎 | 1号特定技能外国人の入国の際の、飛行場と特定技能所属機関の事業所の間の送迎 | 技能実習2号等から特定技能1号へ在留資格を変更した外国人が、本邦に在留している場合の入国時の送迎 |
住居に関わる支援 | 居室の広さは、一人あたり7.5平方メートル以上を満たすこと | 同等の業務を行う日本人と同等の処遇を確保すること |
入国後の情報提供 | 金融機関における、口座の開設や携帯電話の利用に関する契約などの書類の提出や案内 | 生活に関する契約途中の、内容の変更や解約の際の書類の提出や案内 |
公的手続き | 税に関する手続き | なし |
日本語学習の機会提供 | 就労・生活する地域の日本語教育機関に関する情報の提供、必要に応じて入学手続き支援 | 日本語能力に係る試験の受験支援 |
苦情・相談の対応 | 遅滞なく適切に応じ、必要に応じて助言や指導 | 相談窓口を一覧にして手渡す |
外国人と日本人との交流促進 | 生活する地域の行事に関する案内、必要に応じて現地での補助 | 1号特定技能外国人と日本人が相互理解できるための交流の場をつくること |
必要に応じた転職支援 | 1号特定技能外国人が求職活動を行うために有給休暇を付与すること | なし |
定期的な面談 | 1号特定技能外国人の労働状況や生活状況を確認するために、監督担当者は定期的に対面での面談を実施 | 1号特定技能外国人が自ら通報を行いやすくするため、関係行政機関の窓口情報一覧を手渡す |
任意的支援まで含めてすべてを自社で行うのは難しいケースもあるため、場合によっては一部を外部に委託するのも選択肢の一つといえます。
特定技能外国人は自社支援もできる!
特定技能外国人を雇用する際、事業者自身が法令で定められた支援を自社で行うことを「特定技能の自社支援」と呼びます。
自社支援が可能な要件としては、外国人労働者の受け入れ実績や、外国人の生活相談に対応可能な担当者の存在などがあげられます。
自社支援を行う際には、支援計画書の作成や各種届出書類の提出が必要不可欠です。
また、支援内容には義務的支援と任意的支援があり、すべてを自社で行うのが難しい場合は一部を外部委託するのも一つの方法でしょう。
適切な支援体制を整えることで、特定技能外国人がより働きやすい環境づくりにつながるはずです。
外国人材の活用に意欲的な企業は、自社支援の可能性についても検討してみてはいかがでしょうか。