特定技能制度は、国内で人材不足に陥りやすい産業分野で、一定の技術や知識を持った外国人を受け入れようとする制度です。
特定技能1号と2号に分かれており、本記事では特定技能2号について詳しく解説します。
特定技能2号は、特定技能制度のなかでも熟練した技能・専門性が必要とされる在留資格です。
受け入れ体制を整えるために、内容を確認しておきましょう。
目次
特定技能2号とは?
特定技能2号は、特定技能制度のなかでも、熟練した技能や専門性のある業務に従事する外国人が対象の在留資格です。
熟練した技術とは、自身の判断で高度かつ専門的な業務を遂行できることや、監督者として業務を統括できるスキルなどを指します。
令和5年12月時点で、特定技能2号在留外国人数は37名です。
特定技能1号との違い
特定技能1号は、特定の産業分野に属する相当程度の知識や経験が必要な技術に関わる業務が対象の在留資格です。
基本的には、一定レベルの業務を遂行できれば、受け入れが認められます。
ただし、2号に比べて在留期間に上限があったり、家族の帯同ができなかったりなど待遇の差があります。
さらに、特定技能2号では免除される「日本語能力を測る試験」への合格が必要です。
特定技能2号の在留期間
特定技能2号の在留期間には、上限がありません。
3年、1年または6ヵ月ごとの更新が必要ですが、更新回数の制限がないため、雇用され続けている間は実質的に永住が可能です。
在留期間の更新は、会社の所在地を管轄する出入国在留管理庁で手続きをします。
申請の案内は、分野によって異なるので事前に確認しておきましょう。
特定技能2号の技能や日本語能力水準
特定技能2号は、分野所管行政機関が定める試験などで技能水準を確認します。
日本語能力の水準については、特に試験などを受ける必要はありません。
詳しい条件や試験内容は後述します。
特定技能2号の家族の帯同可否
特定技能2号を取得すると、家族の帯同も要件を満たせば許可されます。
ただし、帯同が認められる家族の範囲は、配偶者と子供までです。
帯同した家族のビザは「家族滞在」という扱いになります。
特定技能2号への支援
特定技能2号では、受入れ機関や登録支援機関の支援の対象外となっています。
特定技能1号の場合は、受入れ機関や登録支援機関の支援が必須で、支援計画の作成や実施を義務付けられています。
特定技能2号の分野一覧
特定技能2号の外国人が従事できる対象分野は、下記の11種類です。
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
元々は建設分野と、造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象でした。
しかし、令和5年6月9日の閣議決定で残りの9分野と、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分が追加されました。
特定技能2号を取得するための条件
特定技能2号を取得するための主な条件は、下記のとおりです。
- 18歳以上であること
- 健康状態が良好であること
- 従事しようとする業務に必要な熟練した技能を有していることが、試験やその他の評価方法で証明されていること
- 退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
- 保証金の徴収等をされていないこと
- 外国の機関に費用を支払っている場合は、額・内訳を十分に理解して機関との間で合意していること
- 送出し国で遵守すべき手続きが定められている場合は、その手続きを経ていること
- 食費や居住費など外国人が定期に負担する費用について、その対価として供与される利益の内容を十分に理解したうえで合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること
- 技能実習生の場合は、本国への技能移転に努めるものと認められること
- 分野に特有の基準に適合していること(※分野所管省庁の定める告示で規定)
最後の「分野に特有の基準」を満たしているかは、試験と技能経験で判断されます。
試験は、分野ごとの専門知識や技術を持っているかを判断するもので、各産業分野によって内容が異なります。
特定技能1号では日本語能力の試験もありますが、2号では不要です。
特定技能2号の技能試験とは
特定技能2号の技能試験は、業種によって試験内容が異なります。
例えば、以下のような内容の試験が出題されます。
●ビルクリーニング分野の特定技能試験
学科試験:
- 現場責任者として必要な身につけるべき知識の真偽
- 組み合わせおよび多肢択一による試験
実技試験:
- 現場責任者として必要な清掃業務、業務管理、人材管理および財務管理の能力を問う、多肢択一、並び替え、論述および計算による試験
●外食業特定技能測定試験
学科試験:
- 衛生管理、飲食物調理、接客全般および店舗運営に係る知識
実技試験: - 図やイラストなどを用いた状況設定において正しい行動などを判断する(判断試験)
- 所定の計算式を用いて必要となる作業の計画を立案する(計画立案試験 )
試験は、CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式か、ペーパー方式で行われています。
CBT方式とは、テストセンターでコンピュータを使用して出題、解答するものです。
受験者は、コンピュータ画面にて出題される問題をもとに、画面上で解答します。
特別技能試験には、学科試験と実技試験の2種類があります。
業種によっては実技試験のみの場合もありますが、以下の業種は学科試験と実技試験の2つの試験に合格しなければなりません。
- ビルクリーニング
- 素材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 飲食料品製造業
- 外食業
試験の実施回数は、国土交通省・厚生労働省などの所轄庁が決定し、公表しています。
実施場所については、試験によって国内だけでなく、国外でも受験可能です。
国内では、東京・大阪・福岡・宮城・北海道などを中心に、さまざまな地域で受験会場が設けられています。
実施回数や試験場所についても業種ごとに異なるので、事前に確認しておきましょう。
まとめ
特定技能2号とは、熟練した技能や専門性のある業務に従事する外国人に向けた在留資格です。
特定技能1号との違いは在留期間や家族の帯同、日本語能力試験の要否などがあります。
特定技能2号の対象分野は令和5年6月に大幅に拡大され、11分野が対象となっています。
特定技能2号の取得は、18歳以上、健康状態が良好であることなどが条件です。
それに加えて、従事する業務に必要な熟練した技能を有していることが試験などで証明されていることも必要とされています。
特定技能2号は、人手不足に悩む産業分野で、即戦力となる外国人材を受け入れるための重要な在留資格として理解しておきましょう。