特定技能制度は、一定の技術や知識を持った外国人が、日本で働くための制度です。
特定技能は1号と2号に分かれています。
本記事では、特定技能1号について詳しく解説していきます。
目次
特定技能1号とは?
特定技能1号は、特定の分野に属する相当程度の知識や経験の技能を必要とする業務に従事する外国人に向けた在留資格です。
ここでは、以下のような具体的な内容について解説します。
- 特定技能2号との違い
- 特定技能1号の在留期間
- 特定技能1号の技能や日本語能力水準
- 特定技能1号の家族の帯同可否
- 特定技能1号への支援
特定技能2号との違い
特定技能2号は、特定技能制度のなかでも熟練した技能・専門性が必要な在留資格です。
1号と比べて、より高度な技能を求められるため、人数も少なくなっています。
以下は、2023年12月時点での在留者数です。
特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|
208,425人 | 37人 |
また、特定技能1号は特定の産業分野に対して、一定レベルの業務を遂行できれば認められます。
そのため、2号に比べて在留期間に上限があったり、家族の帯同ができなかったりなど、待遇の差があるのが特徴です。
特定技能1号の在留期間
特定技能1号の在留期間は、1年を超えない範囲で法務大臣が個々に指定します。
また、通算で5年間までと上限が決められています。
上限に達するまでは、期間ごとに更新が必要 になるので、忘れないように注意が必要です。
特定技能1号の技能や日本語能力水準
特定技能1号を取得するには、技能と日本語能力の2軸で一定水準を満たす必要があります。
具体的な要件や試験内容は後述しますが、両方とも指定の試験を受けて合格することが取得条件です。
ただし、技能実習2号を良好に修了した外国人はどちらも免除されます。
特定技能1号の家族の帯同可否
特定技能1号では、家族の帯同は基本的に認められていません。
しかし、もともと留学中の方の妻や子供がすでに「家族滞在※1」の資格を有している場合、在留資格を「特定活動※2」への変更が認められる場合があります。
特定技能2号は、要件を満たせば家族帯同可能で、範囲は配偶者と子供までとなっています。
※1:就労資格等で在留する外国人の配偶者、子
※2:外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー等
特定技能1号への支援
特定技能1号を取得している外国人を採用するにあたって、受け入れ機関は日本で生活するためのさまざまな支援をすることが義務化されています。
受け入れ機関や、それを援助する登録支援機関は、受け入れに際し「支援計画」を作成してそれに基づいた支援をします。
具体的な支援内容は、以下の10項目です。
- 事前ガイダンス
- 出入国時の送迎
- 住居確保、生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続き等への同行
- 日本語学習の支援
- 相談、苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談、行政機関への通報
特定技能1号の職種
特定技能外国人が従事できる対象分野は、下記の12種類です。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
上記のなかで「介護分野」は、特定技能1号のみが対象の分野となっています。
また、その他の11分野においては、特定技能2号でも受け入れが認められています。
特定技能1号を取得するための要件
前提として、特定技能は18歳以上でないと取得できません。
特定技能1号を取得するためには、特定産業分野の試験と日本語試験の2つの試験に合格することが必要条件です。
ただし前述のとおり、技能実習2号を良好に修了した技能実習生の場合は、試験が免除されます。
日本語能力の試験
特定技能取得にあたっての日本語能力試験は、以下のどちらかに合格することが条件となっています。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic )
- 日本語能力試験(JLPT )N4以上
※介護分野については「介護日本語評価試験」の合格も必要とされています。
上記の試験は、日本国内だけ でなく、海外での受験も可能です。
技能試験
技能試験は、従事するうえで必要とされる知識や技術、能力があるかを確認するための試験です。
試験の内容は、各産業分野によって異なります。
試験の形態は、学科試験と実技試験を設けている産業分野もあり 、内容の難易度も業種によってさまざまです。
試験会場や日程は、業種ごとに異なるため注意が必要です。
また、管轄する省庁も異なるため、試験情報を調べる際は注意しましょう。
まとめ
特定技能1号は、一定の技術や知識を持った外国人を受け入れるための在留資格です。
特定技能2号との違いは、在留期間、必要な技能や日本語能力水準など、取得のために満たすべき要件にあります。
対象となる職種は12分野あり、取得には技能試験や日本語能力試験の合格が必須となっています。
特定技能1号の外国人を雇用する際は、企業側にも一定の支援が義務付けられているのが特徴です。
特定技能1号は、日本で働きたいと考える外国人にとって、彼らの技能向上や技能移転を促進することにもつながるでしょう。