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日本語能力試験N1とは?求められる日本語能力や難易度について解説

日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人を対象とした、日本語能力を測るための試験です。
そのなかでもN1は最も難易度が高く、高度な日本語能力が求められるレベルとなっています。
本記事では、N1の概要や求められる能力、難易度などについて詳しく解説します。

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日本語能力試験(JLPT)N1とは

日本語能力試験(JLPT)N1とは

日本語能力試験は、日本国内外において、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し、認定する試験です。
日本語能力試験は、言語知識、読解、聴解の3つの側面から日本語能力を測定します。

日本語能力試験のレベル

日本語能力試験には、N1からN5までの5つのレベルがあります。
N1が最も難しく、N5が最もやさしいレベルとなっています。

  • N1: 幅広い場面で使われる日本語を理解できる
  • N2: 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解できる
  • N3: 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる
  • N4: 基本的な日本語を理解できる
  • N5: 基本的な日本語をある程度理解できる

各レベルには、求められる語彙数や漢字数、文法事項などが設定されています。
レベルが上がるにつれ、より高度な日本語能力が求められます。

N1レベルに求められる日本語能力

N1レベルは、日本語能力試験の最上位レベルです。
このレベルに合格するためには、高度な言語知識、幅広い読解力、高度な聴解力が必要とされます。

高度な言語知識

N1レベルでは、以下のような高度な言語知識が求められます。

  • 約2,000字の漢字を理解し、読み書きできる
  • 約10,000語の語彙を理解し、適切に使用できる
  • 複雑な文法構造を理解し、正しく使用できる

これらの能力を身につけるためには、単語帳や類義語辞典などを活用して語彙力を強化したり、文法書や問題集などを活用して文法事項をしっかりと身につけたりすることが必要です。

幅広い読解力

N1レベルでは、以下のような幅広い読解力が求められます。

  • 新聞社説、論説、評論など、論理的に複雑な文章や抽象度の高い文章を理解できる
  • 学術論文、専門書など、専門的な内容を含む文章を理解できる
  • 文学作品など、多様なジャンルの文章を理解できる

読解力を高めるためには、毎日少しずつでも良いので長文の文章を読んだり、わからない単語や文法をすぐに調べたりすることが大切です。
読解問題集や模擬試験を活用することも効果的でしょう。

高度な聴解力

N1レベルでは、以下のような高度な聴解力が求められます。

  • 自然なスピードの会話、ニュース、講義などを理解できる
  • 専門用語を含む複雑な内容の聴解を理解できる
  • 複数の話者の発言を聞き分け、理解できる

聴解力を向上させるには、リスニング教材の活用やラジオ、テレビ番組といった日本語メディアを聞くことが有効です。
これらを通して、N1合格に必要な聴解力を身につけましょう。

N1の試験概要

N1は、他のレベル(N2、N3、N4、N5)と比べて、試験内容がより高度であるだけでなく、試験時間も長くなっています。
N1の試験科目と試験時間は以下のとおりです。

試験科目 言語知識(文字・語彙・文法)読解 聴解
試験時間 110分 55分

このように、N1は「言語知識・読解」と「聴解」の2つのセクションに分かれており、合計165分(2時間45分)の試験時間となっています。

日本語検定との違い

日本語能力試験と混同されやすいのが、日本語検定です。
どちらも日本語能力を測る試験ですが、対象者や試験内容などに違いがあります。

日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人の日本語能力を測ることを目的とした試験です。
一方、日本語検定は、日本語を使用するすべての人を対象としており、日本語を母語とする人や、母語としない人でも日本語能力が相当程度の人が受験します。

   日本語能力試験(JLPT) 日本語検定
目的 日本語を母語としない人の日本語能力を測る 日本語能力を証明する
対象者 日本語を母語としない人 日本語を母語とする人、または日本語を母語としない人であっても日本語能力が相当程度の人
試験内容 言語知識・読解・聴解 漢字、語彙、文法、敬語、表記、言葉の意味
実施回数 年に2回(7月・12月) 年に2回(6月・11月頃)
実施場所 世界各地 日本国内

日本語能力試験におけるN1と1級の違い

以前は、日本語能力試験の最上位レベルは1級と呼ばれていました。
しかし、2010年から新しい日本語能力試験が始まり、1級からN1へと名称が変更されました。

現在は、公式名称も試験問題もすべて「N1」に統一されています。
そのため、1級というレベルは古い試験の情報に基づいている可能性があるため注意が必要です。
ただし、最上位レベルを指す呼び方が変わっただけで、試験内容自体に変更はありません。

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日本語能力試験N1の難易度は?

日本語能力試験N1は、日本語を母語としない人向けの日本語能力試験のなかで、最も難易度が高いレベルです。
過去5年間のデータを見ると、N1の認定率(合格率)はおおむね30%〜35%程度となっています。

   2019(12月) 2020(12月) 2021(12月) 2022(12月) 2023(12月)
受験者数(人) 127,828 80,237 89,537 80,518 121,554
認定者数(人) 39,312 36,270 30,926 24,782 37,553
認定率 30.8% 45.2% 34.5% 30.8% 30.9%

このように、N1の合格率は3割程度と難易度の高いレベルとなっています。
N1に合格することで、高度な日本語能力を有することが証明され、日本語を用いるさまざまな場面で活躍できる可能性が広がります。

N1認定を受けた外国人を採用するときの注意点

N1認定を受けた外国人を採用するときの注意点

企業が日本語能力試験N1に合格した外国人を採用する際には、いくつかの点に注意が必要です。
N1は高度な日本語能力を有することを証明するものですが、実際のコミュニケーション能力までを保証するものではないからです。

実際の会話力まではわからない

N1のレベルであれば、日常生活に必要な会話はある程度問題なく行えると予想できます。
しかし、ビジネス上の会話力を完全に判断することはできません。

なぜなら、日本語能力試験は言語知識(文字・語彙・文法)・読解と聴解の試験であり、スピーキングの能力を直接測るテストは含まれていないためです。
実際の会話力を判断するには、面接で直接話をしたり、スピーキングテストの結果を確認したりする必要があります。

採用後も日本語教育の場を提供する必要がある

企業側が資格のチェックや面接を行ったとしても、採用時に外国人の日本語能力を完全に把握することは難しいものです。
もし採用後、日本語能力が不足していた場合、業務効率の低下やコミュニケーション不全などの問題が生じる可能性があります。

そのため、企業は採用後も継続的に日本語教育の機会を提供できる体制を整えておくことが重要です。
社内での日本語研修の実施や、外部の日本語学校との提携など、外国人社員の日本語能力を向上させるための取り組みを検討しておきましょう。

日本語能力試験N1について正しく理解しよう

日本語能力試験N1は、日本語を母語としない人の日本語能力を測る試験の最上位レベルです。
N1に合格するためには、高度な言語知識、幅広い読解力、高度な聴解力が求められます。
過去の合格率は30%前後と難易度の高いレベルですが、合格により高度な日本語能力を証明できます。

ただし、N1は読解や聴解の能力を測る試験であり、実際の会話力を保証するものではありません。
N1合格者を採用する際は、面接やスピーキングテストで実際のコミュニケーション能力を確認しましょう。
また、採用後も継続的に日本語教育の機会を提供し、外国人社員の日本語能力向上をサポートすることが求められます。

日本語能力試験N1について正しく理解し、適切に活用することで、グローバル人材の採用と育成に役立てていきましょう。

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執筆者について

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