就労ビザの取得をめざす外国人にとって、会社側のサポートは非常に重要です。
会社側がしっかりと対応することで、スムーズに就労ビザを取得できるでしょう。
この記事では、就労ビザの申請において会社側が対応すべき内容を詳しく解説します。
目次
就労ビザの申請で会社側が対応すること
就労ビザの申請においては、会社側の適切な対応が求められます。
ここでは、海外にいる外国人を招聘して雇用する場合と、日本にいる外国人を雇用する場合に分けて解説します。
就労ビザ取得の費用は会社側が負担するケースもあるため、あわせて確認しておきましょう。
海外にいる外国人を招聘して雇用する場合
外国人が海外にいる場合、採用担当者が代理で就労ビザの申請手続きを行えます。
ここでは、海外にいる外国人を招聘して雇用する際の対応内容を解説します。
以下の表は、就労ビザ申請のフローです。
手順 | 内容 |
---|---|
1 | 就労ビザの取得が可能か確認する |
2 | 雇用契約書を締結する |
3 | 在留資格認定証明書の交付を申請する |
4 | 交付された認定証明書を外国人に郵送して在外公館でビザを申請する |
5 | 在留カード発行後14日以内に住民登録を済ませる |
就労ビザの取得が可能か確認する
就労ビザの申請手続きを始める前に、内定を出している外国人が就労ビザを取得可能かどうかを確認しましょう。
外国人の学歴や実務経験を調べ、ビザ取得の可能性を見極めます。
また、会社の事業内容や従事してもらう業務内容に対して、適切な在留資格があるかどうかも確認が必要です。
雇用契約書を締結する
就労ビザの取得は、雇用契約を締結したあとでなければ申請できません。
ただし、就労ビザの取得が難しいケースもあるため、雇用契約書に「就労ビザの取得が難しい場合は、雇用契約を無効とする」旨を加えておくと、トラブルの回避につながります。
在留資格認定証明書の交付を申請する
外国人を雇用する会社は、出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付を申請する必要があります。
在留資格認定証明書とは、海外にいる外国人が在留資格による入国が許可されていることを証明する書類です。
申請にあたっては、必要書類を揃えて提出しましょう。
交付された認定証明書を外国人に郵送して在外公館でビザを申請する
在留資格認定証明書が交付されたら、雇用する外国人に郵送します。
在留資格認定証明書を在外公館に持参しビザの申請を行うのは、外国人本人です。
ビザ申請の際は、パスポートや写真、申請書などの必要書類を準備する必要があります。
在留カード発行後14日以内に住民登録を済ませる
ビザの発給後に外国人が入国すると、空港で在留カードが発行されます。
在留カードを受け取ったら、14日以内に住所地のある市区町村の役場で住民登録を済ませなければなりません。
住民登録の手続きを怠ると、在留資格に関するトラブルに発展する恐れがあるため注意が必要です。
日本にいる外国人を雇用する場合
外国人が日本国内にいる場合は、就労ビザの申請手続きを外国人本人が行う必要があります。
ここでは、日本にいる外国人を雇用する際の対応内容を解説します。
就労ビザの申請は以下のような流れです。
手順 | 内容 |
---|---|
1 | 在留資格の確認 |
2 | 雇用契約書を締結する |
3 | 在留資格変更許可の申請をする |
在留資格の確認
日本国内にいる外国人を雇用する際は、現在保有している在留資格と従事してもらう仕事内容に齟齬がないことを確認しましょう。
特に留学生を採用する場合は、後述する在留資格変更許可の申請が必要となります。
在留資格の確認を怠ると、不法就労助長罪などにつながる恐れがあります。
雇用契約書を締結する
海外から外国人を招聘する場合と同様に、日本国内にいる外国人を雇用する際も雇用契約書の締結が必要です。
ビザの申請が通らない可能性があるため、雇用契約書には「ビザの申請が通らない場合は雇用契約を破棄できる」旨を明記しておくと良いでしょう。
在留資格変更許可の申請をする
留学生を採用する場合や、転職により在留資格の範囲外の業務に従事する場合は、出入国在留管理庁に在留資格変更許可を申請する必要があります。
在留資格変更許可の申請には、必要書類を揃えて提出しなければなりません。
転職先の業務内容が在留資格の範囲内に含まれるかどうか確認したい場合は、就労資格証明書を申請すると良いでしょう。
就労ビザに関して会社側が用意する書類
就労ビザの申請には、会社側が用意しなければならない書類があります。
会社側が用意するべき書類は次のような内容のものです。
- 会社の事業内容を示す書類
- 外国人に従事させる職務内容を示す書類
- 会社の財務状況を示す書類
それぞれの書類について具体的に解説します。
会社の事業内容を示す書類
外国人を受け入れる会社は、どのような事業を行っているかを示す必要があります。
法務局で登記事項証明書を取得し、提出しましょう。
また、会社のパンフレットやホームページをプリントアウトしたものも、出入国在留管理局に提出する必要があります。
外国人に従事させる職務内容を示す書類
外国人にどのような仕事に従事させるかを詳しく説明するために、雇用契約書や採用理由書を提出します。
雇用契約書には、給与や雇用期間、労働時間、就業場所などを記載しましょう。
採用理由書では、外国人が会社のどの部門に配属され、どのような知識を活かすのかなど、外国人人材を雇用する理由を詳しく示す必要があります。
会社の財務状況を示す書類
事業の安定性を証明するものとして、直近年度の決算報告書(貸借対照表、損益計算書)を提出しましょう。
設立して間もない会社の場合は、決算書がないため事業計画書を提出します。
また、会社の規模を証明する書類として、給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表のコピーを提出する必要があります。
就労ビザに関して会社側が注意するポイント
就労ビザの申請において、会社側が注意したいポイントが2つあります。
ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。
就労ビザ取得に関する期限に注意する
在留資格認定証明書の有効期限はわずか3ヵ月です。
外国人が3ヵ月以内にスムーズに入国できるよう、会社側のフォローが必要不可欠となります。
また、一度取得した就労ビザも期限が来ると更新が必要です。
更新手続きは期限の3ヵ月前から可能なため、期限が来る前に早めの更新を意識しましょう。
不法就労にならないか確認する
外国人雇用に関する知識が乏しいと、意識しないうちに不法就労をさせてしまう可能性があります。
外国人に従事してもらう業務内容が、在留資格の範囲内であるかどうかを慎重に確認する必要があります。
また、在留資格や在留期間を会社側が把握しておくことも重要です。
不法就労が発覚した場合、会社側は不法就労助長罪に問われる恐れがあります。
外国人の適切な雇用管理を行い、不法就労を防ぐことを意識してください。
就労ビザを取得するために会社側は外国人をしっかりフォローしよう
就労ビザの取得において、会社側の適切な対応は非常に重要です。
外国人が就労ビザを円滑に取得できるよう、必要書類の準備や申請手続きのサポートを行いましょう。
また、就労ビザの期限管理にも気を配り、更新漏れのないよう注意が必要です。
外国人の受け入れにあたっては、入管法や労働法規を遵守し、適切な雇用管理を行うことが求められます。
会社側がしっかりとフォローすることで、外国人の就労がスムーズになるでしょう。