外国人材の採用において、就労ビザの申請は避けて通れない重要なプロセスです。
申請にあたっては、身元保証人の必要性やその責任範囲について、不安を感じる企業担当者も少なくないでしょう。
この記事では、就労ビザの身元保証人に関する重要なポイントを、採用担当者向けにわかりやすく解説していきます。
目次
就労ビザを申請するときに身元保証人は必要?
就労ビザを取得する際に「身元保証人が必要なのか?」と疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、就労ビザ取得に必要な条件や、身元保証人が必要なビザについて分かりやすく解説します。
スムーズにビザを申請するためのポイントを押さえ、手続きの不安を解消しましょう。
身元保証人は不要
結論からいうと、就労ビザには身元保証人が必要ありません。
身元保証人が必要となるのは、「身分や地位に応じた在留資格」の申請や更新時のみです。
日本での在留資格は、大きく分けて以下の2種類があります。
- 日本で行う活動内容に応じた在留資格(就労・留学・家族滞在など)
- 身分や地位に応じた在留資格(永住者・配偶者など)
永住者などの在留資格を持つ外国人従業員がいる場合は、身元保証人としての関わりが求められる可能性があります。
必要なのは「招へい人」
就労ビザの申請時には、「身元保証人」ではなく「招へい人」が必要です。
招へい人は、外国人労働者を日本に招く企業や個人を指し、労働者の日本での活動や滞在を保証します。
具体的には、労働契約の締結や滞在期間中の生活支援、場合によっては帰国時の責任を負います。
また、招へい人は申請書類の一部として、労働者の採用目的や業務内容を説明し、適正な雇用を証明しなくてはなりません。
外国人労働者の内定が決まったら、「在留資格認定証明書」を地方出入国在留管理官署へ申請します。
証明書を発行してから、3ヵ月以内に入国しなければ無効となってしまう点にも注意しましょう。
ビザの身元保証人の責任範囲
そもそも身元保証人には、以下の3つの重要な責任範囲があります。
- 滞在費の保証
- 帰国旅費の保証
- 法令遵守の保証
出入国在留管理庁の定義によると、身元保証人は外国人が日本で安定的に生活できるよう、経済的保証と生活指導を行うことを約束する立場です。
法的な強制力はありませんが、保証事項を履行しない場合、今後の入国・在留申請において身元保証人としての適格性を失う可能性があります。
また、出入国在留管理庁による、身元保証人の定義・責任は以下のとおりです。
入管法における身元保証人とは、外国人が我が国において安定的に、かつ、継続的に所期の入国目的を達成できるように、必要に応じて当該外国人の経済的保証及び法令の遵守等の生活指導を行う旨を法務大臣に約束する人をいいます。 身元保証書の性格について、法務大臣に約束する保証事項について身元保証人に対する法的な強制力はなく、保証事項を履行しない場合でも当局からの約束の履行を指導するにとどまりますが、その場合、身元保証人として十分な責任が果たされないとして、それ以降の入国・在留申請において身元保証人としての適格性を欠くとされるなど社会的信用を失うことから、いわば道義的責任を課すものであるといえます。
引用:出入国管理庁 出入国審査・在留審査Q&A Q52.提出書類に身元保証書がありますが、「身元保証人」とはどのようなものでしょうか。また、身元保証した際の責任はどうなっているのでしょうか。
そのため、単なる名義貸しにとどまるのではなく、外国人従業員が経済的困難やトラブルに遭遇した際には、適切なサポートを提供する必要があります。
身元保証人が必要なビザは?
前述のとおり、「身分や地位に応じた在留資格」の取得申請をする場合には身元保証人がいなくてはなりません。
具体的には、以下の4つの在留資格を申請・更新する場合には、身元保証人が必要です。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
就労ビザの取得に身元保証人は不要
就労ビザの取得において、一般的には身元保証人は必要ありません。
申請者が就労する企業が雇用契約書や事業内容を提示し、受け入れ企業としての責任を果たすことが求められます。
ただし、ビザ申請の一環として、受け入れ企業が「招へい人」として申請手続きに協力する場合があります。
この場合、企業が申請者の雇用状況や滞在目的を証明することが必要です。
したがって、身元保証人ではなく、企業の協力や適正な雇用契約が重視される点を理解しておきましょう。
また、必要書類の準備や手続きを円滑に進めるためにも、事前に十分な理解を深めておくことをおすすめします。