農業分野での人手不足が深刻化するなか、外国人技能実習生の受け入れが注目を集めています。
本記事では、農業経営者に向けて、外国人技能実習生が対応できる業務内容、受け入れ可能な人数、そして実際の受け入れ方法について詳しく解説します。
外国人材の活用を検討されている方々にとって、有益な情報となるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
目次
農業分野で外国人技能実習生が対応できる業務
農業分野に限らず、外国人技能実習生は、単なる労働力ではありません。
彼らは農業に関する技能を修得するために来日した研修生です。
そのため、従事できる業務内容は厳格に定められています。
農業分野で外国人技能実習生が対応できる主な作業は以下のとおりです。
職種名 | 作業名 |
耕種農業 | 施設園芸 |
畑作・野菜 | |
果樹 | |
畜産農業 | 養豚 |
養鶏 | |
酪農 |
これらの作業には、それぞれ必須業務・関連業務・周辺業務が設定されています。
特に必須業務は、外国人技能実習生が必ず行わなければならない業務です。
近年、技能実習生が携わることのできる業務範囲は拡大傾向にあります。
2017年9月からは、果物を原料としたジュースやジャムの製造、牛乳を原料としたチーズの製造なども対象となりました。
農業経営者は、これらの業務内容を踏まえたうえで、自身の農園や牧場でどのように技能実習生を活用できるか検討することが重要です。
業務内容を適切に設定することで、技能実習生の能力を最大限に引き出すことができるでしょう。
農業分野における外国人技能実習生の人数
農業分野で受け入れられる外国人技能実習生の数には、組織規模ごとに上限が設けられています。
この上限は、受け入れ側の常勤職員数によって決定されます。
以下が、常勤職員数に応じた受入上限数です。
常勤職員数 | 受入上限数 |
301人以上 | 常勤職員数の1/20 |
201人以上300人以下 | 15人 |
101人以上200人以下 | 10人 |
51人以上100人以下 | 6人 |
41人以上50人以下 | 5人 |
31人以上40人以下 | 4人 |
30人以下 | 3人 |
これらの上限を遵守することで、適切な研修環境を維持し、技能実習生の安全と権利を守ることができます。
農業経営者は、経営規模に合わせて適切な人数を受け入れるよう計画を立てましょう。
近年の農業分野での外国人材数の推移を見ると、増減を繰り返しながらも全体的には増加傾向にあることがわかります。
年 | 令和3年12月 | 令和4年6月 | 令和4年12月 | 令和5年6月 | 令和5年12月 |
人数 | 24,522人 | 28,902人 | 27,318人 | 28,310人 | 30,171人 |
注目すべきは、令和元年から始まった特定技能外国人の受け入れです。
特定技能外国人の増加ペースは技能実習生を上回っており、今後の農業分野における外国人材活用の新たな選択肢として注目されています。
農業経営者は、これらの動向を踏まえつつ、自身の経営に最適な外国人材の活用方法を検討することが大切です。
農業分野で外国人技能実習生を受け入れる方法
農業分野で外国人技能実習生を受け入れるには、特定の手順と規則に従う必要があります。
まず重要なのは、農業者や農業法人が直接技能実習生を受け入れることはできないという点です。
必ず監理団体を通して受け入れ手続きを行わなければなりません。
この監理団体とは、主に農業協同組合や事業協同組合を指します。
これらの団体が技能実習生の受入手続きを代行しますが、ただ団体であれば良いというわけではありません。
監理団体として認められるには、主務大臣の許可が必要です。
許可を受けた監理団体は、厳格な規則のもとで運営されます。
もし違反行為があった場合、その許可が取り消される可能性があります。
さらに重要なのは、一度許可が取り消されると、その団体は5年間にわたって許可申請ができなくなることです。
このような厳しい規制があるため、監理団体は法令遵守と適切な運営に細心の注意を払うことになります。
これらの団体を通じて、適切な手続きを踏んで技能実習生を受け入れることで、法的トラブルを避け、円滑な農業経営の支援を受けることができるでしょう。
農業経営者にとって、信頼できる監理団体を選択し、その団体を通じて技能実習生を受け入れることが、スムーズで適法な受け入れプロセスの鍵です。
したがって、外国人技能実習生の受け入れを検討している農業経営者は、まず地域の信頼できる農業協同組合や事業協同組合に相談することから始めるのが良いでしょう。
農業分野で外国人技能実習生を受け入れるための情報を確認しておこう
外国人技能実習生の受け入れには、適切な準備が不可欠です。
まず、実習生が従事できる具体的な業務内容を把握し、自身の農園での活用方法を明確にしましょう。
次に、常勤職員数に基づく受入上限人数を確認し、適切な人数を決定します。
そして、信頼できる監理団体を通じて、正しい手続きを行うべきです。
これらの情報を十分に理解し準備することで、技能実習生の受け入れを成功させ、農業経営に新たな可能性をもたらすことができるでしょう。