ワーキングホリデービザを持つ外国人の雇用には、採用のしやすさや一時的な人手不足の解消など、さまざまなメリットがあります。
しかし、ワーキングホリデービザは滞在期間が限られているため、雇用する際には注意が必要です。
本記事では、ワーキングホリデービザの概要や、雇用する際のメリットと注意点について詳しく解説します。
企業の人事担当者や経営者の方々にとって、有益な情報となるでしょう。
目次
日本で働くためのワーキングホリデーのビザについて
ワーキングホリデービザは、外国人が日本に一定期間滞在し、働きながら休暇を楽しむことができる在留資格です。
ここでは、ワーキングホリデービザの取得条件と、雇用する際の注意点についてご紹介します。
ワーキングホリデービザの取得条件
ワーキングホリデービザを取得するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
必要な条件は以下のとおりです。
- 相手国・地域に居住する国民・住民であること
- 一定期間、主に休暇を過ごす意図があること
- 査証申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること
(オーストラリア・カナダ・韓国・アイルランドでは18歳以上25歳以下、アイスランドでは18歳以上26歳以下の方が申請可能) - 子または被扶養者を同伴しないこと
- 有効な旅券と帰りの切符を所持していること
- 滞在中に生計を維持できる資金を所持していること
- 健康であること
- ワーキングホリデービザを使用したことがないこと
これらの条件をすべて満たしていれば、ワーキングホリデービザの取得が可能です。
ただし、国や地域によってビザの発給要件が異なります。
日本のワーキングホリデーについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
ワーキングホリデービザで雇用できる期間
ワーキングホリデービザで雇用できる期間は原則1年間です。
この期間内であれば、雇用条件に特別な制限はありません。
しかし、ワーキングホリデービザの延長はできず、在留資格の変更も原則、一定の国以外は認められていません。
期限が来たら必ず出国しなければならないのです。
滞在期間を超えて雇用すると、外国人だけでなく企業側も罰せられる可能性があるため注意が必要です。
雇用期間の管理を徹底しましょう。
日本で働くワーキングホリデーの外国人を雇用するメリット
企業側がワーキングホリデーの外国人を雇用するメリットは、採用のしやすさと、職種の柔軟性などがあります。
ワーキングホリデービザは、「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などよりも、雇用しやすい在留資格です。
なぜなら、ワーキングホリデービザはこれらの在留資格に比べて、雇用手続きが比較的簡単で、規則が柔軟だからです。
風俗営業以外であれば、どのような職種でも働くことができます。
職種や労働時間の制限が少ないため、企業のニーズに合わせた労働条件を提示できるのも、ワーキングホリデーの外国人を採用する魅力の一つです。
短期的に忙しい業界では、繁忙期に合わせて柔軟に雇用できるため、効率的な人員配置ができるでしょう。
日本で働くためのワーキングホリデービザが切れたら?
ワーキングホリデービザの滞在期間は1年間で、原則このビザの延長や在留資格の更新はできません。
滞在期間が過ぎると、そのビザでの滞在や就労は認められなくなります。
もしも滞在期間を過ぎて雇用していた場合は、入管法第七十条より、外国人と企業側のどちらにも、三年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金が科せられます。
そのため、外国人はビザの期限が切れる前に帰国する必要があるのです。
企業側は、ビザの期限を把握、管理し、不法滞在にならないように充分注意しましょう。
日本で働くワーキングホリデーの外国人を正社員雇用できる?
ワーキングホリデービザは雇用形態の制限がないため、本人と企業側が望めば正社員雇用が可能です。
しかし前述したように、在留期間が1年と短いため、正社員雇用には不向きとされています。
そのため、長期的な雇用を考える場合は、ワーキングホリデービザの在留資格「特定活動」から、長期雇用が可能な就労ビザに変更するのが望ましいでしょう。
ただし、就労ビザを取得するには学歴要件を満たしている必要があるのに加え、仕事内容が専門科目と一致している必要があります。
企業がワーキングホリデーの外国人の正社員雇用を検討する場合には、対象となる外国人の資格や経験を事前に確認し、ビザ変更の可否をしっかりと確認しましょう。
正社員雇用を検討する際は、これらの点を踏まえて慎重に判断することが重要です。
日本で働くワーキングホリデーの外国人を正社員雇用する際の注意点
ワーキングホリデーの外国人を正社員として雇用する際には、主に以下の3つの注意点があります。
- 単純労働や単純作業は認められない
- 給与は日本人と同等かそれ以上にしなければならない
- 在留資格変更の手続きは余裕をもって行う
まず、在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などは従事できる仕事が決まっており、単純労働や単純作業は認められません。
そのため、ワーキングホリデービザで働いていたときの業務に従事できない場合があります。
自社で行う業務が、就労ビザで雇用できるのか確認が必要です。
また、外国人労働者に支払う報酬は、日本人と同等かそれ以上にしなければなりません。
外国人だからという理由で低賃金で雇用するのは違法行為です。
さらに、在留資格の変更にはおおむね2週間から1ヵ月近くかかるといわれています。
在留資格の変更は約3ヵ月前から手続きができるため、ビザの有効期限が切れる前に余裕をもって行いましょう。
日本で働くワーキングホリデーの外国人の理解を深めて雇用しよう
ワーキングホリデービザは、他の就労ビザと比べて雇用要件が少ないため、採用しやすいという特徴があります。
特に繁忙期がある業界では、一時的な人手不足を解消できることもあるでしょう。
しかし、ワーキングホリデービザで滞在できるのは1年間で、滞在期間の延長や在留資格の変更は、原則として認められていません。
ただし、長期雇用が可能な就労ビザに変更すれば、長期的な雇用ができる場合もあります。
外国人労働者の権利を尊重しつつ、法令を遵守して雇用しましょう。