就労ビザには有効期間があり、種類によって期間が異なるため、事前に確認することが大切です。
就労ビザの有効期間を把握しておかないと、期限切れになってしまい、不法滞在となるリスクがあります。
本記事では、就労ビザの種類ごとの有効期間や、有効期間の決まり方について解説します。
また、就労ビザの更新手続きについても触れていきますので、外国人労働者の雇用を検討している企業の担当者の方はぜひ参考にしてください。
目次
就労ビザには有効期間がある
就労ビザには、外国人が日本に在留できる期間を示す有効期間が設定されています。
有効期間は就労ビザの種類によって異なり、1種類の就労ビザに対して複数の有効期間が設定されているケースもあります。
就労ビザの有効期間は、最長で5年です。
また、「興行」のみが最短30日で、基本は最短3ヵ月となっています。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の期間は、5年、3年、1年または3ヵ月です。
企業が外国人労働者を雇用する際は、必要な就労ビザの種類と有効期間を事前に確認しておく必要があります。
就労ビザは更新できるため、もともとの在留期間が決められていた外国人でも、更新申請が許可されればそれ以上の在留も可能です。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、更新回数に制限はありません。
就労ビザごとの有効期間
就労ビザの種類ごとに有効期間を見ていきましょう。
多くの就労ビザでは、最長5年の有効期間が設定されています。
以下の表は主な就労ビザの種類と有効期間をまとめたものです。
就労ビザの種類 | 有効期間 |
教授、芸術、宗教、報道、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、介護 | 5年、3年、1年または3ヵ月 |
経営・管理 | 5年、3年、1年、4ヵ月または3ヵ月 |
企業内転勤 | 5年、3年、1年または3ヵ月 |
興行 | 3年、1年、6ヵ月、3ヵ月または30日(※) |
技能 | 5年、3年、1ヵ年または3ヵ月 |
特定技能1号 | 1年、6ヵ月または4ヵ月 |
特定技能2号 | 3年、1年または6ヵ月 |
技能実習1号イ及びロ | 法務大臣が個々に指定する期間(1年を超えない範囲) |
高度専門職、特別高度人材 | 5年 |
高度人材 | 5年、3年、1年 ※条件ごと異なる |
出典:就労や長期滞在を目的とする場合|外務省
※興行ビザは、2023年8月1日より15日から30日に要件緩和
外国人労働者の雇用に必要な就労ビザの種類と有効期間を事前に確認し、円滑な雇用計画を立てることが大切です。
就労ビザの有効期間の決まり方
就労ビザの有効期間は、外国人労働者本人に関連する基準と、就労先の企業に関連する基準の2通りに分けて決定されます。
以下で、それぞれの基準について詳しく見ていきましょう。
企業に関連する基準
就労ビザの有効期間を決めるうえで、企業側の基準は大きく3つあります。
それぞれの基準について詳しく解説します。
企業の規模
就労ビザの有効期間は、外国人労働者が所属する企業の規模によって大きく左右されます。
就労ビザ取得を予定している外国人が所属する企業は、主に4つのカテゴリに分類されます。
例えば、カテゴリ1に該当する上場企業の場合、外国人労働者は5年の有効期間を取得できる可能性が高いです。
一方、カテゴリ3以下の企業の場合、5年の有効期間が認められないケースもあります。
就労を予定している期間
外国人労働者の就労予定期間も、就労ビザの有効期間を左右する要素の一つです。
一般的に、外国人労働者が5年の有効期間を取得するためには、期限の定めのない雇用契約を結ぶなど、長期雇用である必要があります。
就労ビザの有効期間と就労予定期間の関係を見ると、有効期間が3年の場合は就労予定期間が1年以上であるケースが多く、有効期間が1年の場合は就労予定期間が1年未満であることが多いです。
業務内容
就労ビザの有効期間は、外国人労働者が就労先で従事する業務内容とも関連しています。
外国人労働者が1年の就労ビザを取得するためには、業務内容と本人のスキルや知識がある程度一致している必要があります。
就労ビザの申請時には、業務内容と外国人労働者のスキルが一致していることを証明する書類の提出が求められます。
企業は、外国人労働者の業務内容とスキルのマッチングを十分に検討し、必要な書類を用意することが大切です。
外国人労働者本人に関連する基準
就労ビザの有効期間は、外国人労働者本人に関連する基準によっても変わります。
素行の問題
就労ビザの更新時には、外国人労働者の在留期間中の素行がチェックされます。
例えば、外国人労働者が取得した就労ビザでは認められていない仕事をして報酬を得ていた場合、素行不良と判断されるリスクがあります。
素行不良と判断された場合、就労ビザの更新時に有効期間が短くなる可能性があります。
外国人労働者は、就労ビザで認められた範囲内で適切に働くことが大切です。
届出や納税状況
外国人労働者が日本に在留するためには、各種届出の提出や納税の義務を果たす必要があります。
納税をしていない場合、就労ビザの更新時に消極的な要素と判断されるリスクがあります。
特に、高額な税金の滞納や長期間にわたる滞納があった場合、就労ビザの有効期間に影響を及ぼす可能性が高いです。
外国人労働者は、届出の提出と納税を適切に行うことが求められます。
就労ビザの取得にかかる期間
就労ビザの取得にかかる期間は時期によっても異なり、平均1~2ヵ月程度といわれていますが、最大で3ヵ月程度かかることもあります。
2月から5月は申請の種類が多くなる時期なので、審査機関は長くなる傾向があります。
就労ビザの取得や更新、変更には一定の時間を要するため、企業は余裕をもって手続きを進めることが大切です。
就労ビザの有効期間を更新するタイミング
就労ビザの有効期間を更新するためには、在留期間満了の前に在留期間更新許可申請が必要です。
一般的に、在留期間満了の3ヵ月前から更新手続きが可能です。
また、入院や長期出張など特別な事情がある場合は、3ヵ月以上前から申請を受け付けてもらえる可能性があります。
新しい就労ビザの有効期間は、現在の就労ビザの満了日の翌日から起算されます。
円滑に就労ビザを更新するために、余裕を持って手続きを進めましょう。
就労ビザの有効期間が切れた場合の注意点
就労ビザの有効期間が切れた場合、外国人労働者には大きなリスクがともないます。
ここでは、有効期間が切れた場合の注意点を3つ紹介します。
不法滞在となる
就労ビザの有効期間が過ぎたまま働き続けたり日本に滞在したりすると、外国人労働者は不法滞在者として扱われます。
不法滞在は犯罪であり、その外国人を雇用していた企業は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
外国人労働者と企業の双方が、就労ビザの有効期間を適切に管理することが重要です。
特例期間がある
就労ビザの更新申請を有効期間満了前に行ったにも関わらず、期限までに結果が出ないケースでは、特例期間が適用されます。
この特例期間では、満了日から2ヵ月を経過する日まで在留期間が自動的に延長されます。
ただし、そもそもの就労ビザの有効期間が30日以下の場合は、特例期間が適用されません。
特例期間の適用の有無は、就労ビザの有効期間によって異なることを理解しておきましょう。
就労ビザは有効期間が切れる前の更新に配慮しよう
就労ビザには必ず有効期間が設定されており、期限が切れてしまうと外国人労働者は不法滞在者となってしまいます。
就労ビザの有効期間の上限は種類によって異なるため、外国人労働者と企業の双方が確認を怠らないようにしましょう。
また、就労ビザの有効期間は、外国人労働者本人や就労先の企業に関連するさまざまな基準によって変動します。
円滑な就労ビザの更新のために、外国人労働者と企業が協力して早めに準備を進めることが大切です。
就労ビザの有効期間管理は、外国人労働者の適法な在留と就労を維持するうえで欠かせません。
本記事を参考に、就労ビザの有効期間について正しく理解し、適切な更新手続きを行いましょう。