アルバイトや社員が集まらず、外国人労働者を雇用しようか悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
外国人労働者を雇用する際は、在留資格を念入りに確認しなければいけません。
在留資格の確認に時間がかかる、あるいは知識がないからといってチェックせずに雇用してしまうと、会社責任者や人事担当が罪に問われる可能性があります。
この記事では、在留資格についてや確認するべきポイントを紹介しています。
外国人労働者の採用時に確認するべき項目を理解し、正しい手順で労働力を確保しましょう。
目次
外国人労働者雇用時に確認したい在留資格とは
外国人労働者を雇用する際には、在留資格の確認が必要です。
留資格にそぐわない仕事を与えてしまうと、雇用主が罪に問われる恐れがあります。
在留資格は日本国籍を持たない外国人が日本に滞在する許可を受けた証で、全29種類あり、以下の3つに分類できます。
- 制限ありで就労できる在留資格
- 就労に制限がない在留資格
- 就労できない在留資格
在留資格の種類によっては雇用できないケースがあるため、各種類について理解しておきましょう。
制限ありで就労できる在留資格
制限付きで就労が認められている在留資格は20種類あります。
- 外交
- 公用
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能
- 技能実習
- 特定活動
20種類のなかでも、一般的に雇用するケースが多い種類と業種は以下の4種類です。
- 介護:介護福祉士
- 技術・人文知識・国際業務:機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者など
- 企業内転勤:外国の事業所からの転勤者
- 技能:外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人など
制限ありで就労できる在留資格の外国人を雇用する際は、与える仕事内容と在留資格がマッチしているか確認しましょう。
就労に制限がない在留資格
就労に制限がない在留資格は4種類あります。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
上記の在留資格をもって在留する外国人の方は、制限なく就労できます。
就労できない在留資格
基本的に就労できない在留資格は5種類あります。
- 文化活動
- 短期滞在
- 留学
- 研修
- 家族滞在
留学、家族滞在の在留資格を持っている場合は、地方入国管理局で「資格外活動の許可」を受ければ就労できます。
就労する際の条件は以下のとおりです。
- 1週28時間まで
- 留学の在留資格の場合、在籍する教育機関の長期休業期間などは1日8時間まで可能
雇用する事業主は、パスポートの資格外活動許可証印や資格外活動許可書を確認してください。
上記の条件を満たしていても、風俗営業には従事できません。
在留資格のない外国人労働者を雇用すると罪に問われる
在留資格を持っていない外国人労働者は不法就労者となり 、雇っている雇用主は「不法就労助長罪」に問われます。
在留資格の活動範囲外の業務を与えた場合や、在留期間の更新手続きを忘れた場合にも、不法就労助長罪が適用されてしまうのです。
在留資格の知識がなく、仕事内容が限定されていると知らなかったといっても、処罰は免れられません。
不法就労助長罪が適用されると、最長3年の懲役、最大300万円の罰金または両方を科せられ ます。
外国人を雇用しようと考えている雇用主の方は、在留資格の正しい知識を学び、法律を守り労働力を増やしましょう。
在留資格の確認方法
在留資格の確認は、在留カードやパスポートでできます。
令和2年3月以降の「外国人雇用状況の届け出」には在留カード番号の記載が必要 なので、基本的には在留カードでの在留資格の確認が必要です。
在留カードは、3ヵ月以上の中長期在留者に対し交付されます。
在留カードでの在留資格の確認方法は、以下のとおりです。
- 就労制限の有無
- 在留カードの有効期限
- 在留資格
- 資格外活動許可の有無
- 在留カードの偽変造の確認
- 在留カード番号の失効確認
順番に説明していきます。
在留カードの有効期限
在留カードの下部には有効期限が書かれており、有効期限が切れている場合は不法滞在の可能性があります。
有効期限が切れている場合は採用を見送りましょう。
就労制限の有無
在留カードの中央辺りには、就労制限の有無が記載されています。
記載内容と採用可否の判断は下表のとおりです。
記載内容 | 採用可否の判断 |
---|---|
就労制限なし | 採用可能 |
在留資格に基づく就労活動のみ可 | 在留資格の指定範囲内の仕事内容であれば採用可能 |
指定書記載機関での在留資格に基づく就労活動のみ可 | 採用不可(認定機関に限り採用可能) |
指定書により指定された就労活動のみ可 | パスポートに添付している指定の範囲内であれば採用できる |
就労不可 | 原則採用不可 裏面の資格外活動許可欄に記載されている条件下であれば採用可能 |
記載内容ごとに、外国人滞在者を採用できるかどうかは変わります。
なかでも「在留資格に基づく就労活動のみ可」は、指定範囲内の仕事内容でなければいけません。
十分に検討し採用を決めましょう。
在留資格
就労可能と判断できたら、在留資格を確認します。
在留資格ごとに許可されている業務内容が、採用後の仕事内容と一致しているか判断してください。
在留資格が留学・家族滞在でも働ける場合があります。
在留資格が留学・家族滞在の方が就労の応募に来た場合は、次項の資格外活動許可の有無を確認しましょう。
資格外活動許可の有無
在留資格が留学・家族滞在でも、資格外活動の許可を受けていれば就労できます。
資格外活動許可を受けている外国人は、在留カードの裏面に「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」または「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」の記載があります。
在留カードの偽変造の確認
スマートフォンを使えば、在留カードの偽変造の確認ができます。
スマートフォンに、出入国在留管理庁が提供しているアプリをダウンロードしてください。
アプリに在留カード番号を入力し、在留カードをスマートフォンにかざすだけです。
スマートフォンに表示された在留カードと外国人が提出したカードを比較して、間違いがないか確認します。
在留カードを見比べ、偽変造された形跡がなければ本物の在留カードといえます。
在留カード番号の失効確認
出入国在留管理庁のWebページで、在留カードの番号が失効していないか確認できます。
在留カードの番号と在留カードの有効期間を入力すると調べられます。
在留カード番号が有効なものだとしても、正しい番号とカード有効期間を記載した偽造カードも存在するため、失効していないからといって偽造カードではないとはいい切れません。
次項で紹介する複数の確認項目をチェックし、慎重に判断しましょう。
目視による偽変造防止対策の確認
出典:「在留カード」及び 「特別永住者証明書」の見方在留カードには、特殊技術で在留カード表面に5つの偽変造防止対策が施されています。
在留カードには、特殊技術で在留カード表面に5つの偽変造防止対策が施されています。
- 在留カードを上下に傾けると「MOJ」の絵柄がオレンジからグリーンに変化する
- 在留カードを上下に傾けると左端がグリーンからピンクに変化する
- 在留カードを左右に傾けると証明写真に印字されたMOJのホログラムが3D的に左右に動く
- 証明写真の下部の文字が見る角度を90度変えると文字の白黒が反転する
- 暗い場所でカードの表から光を当て、裏側から見るとMOJの透かし文字が見える
上記5点を目視で確認し、偽変造されたカードではないことを確認してください。
外国人労働者を雇用する際は在留資格をチェックしよう
外国人を雇用する際は、在留資格のチェックが必須です。
雇用主の知識不足や確認不足で不法労働者を雇ってしまうと、「不法労働助長罪」に問われ、最長3年の懲役、最大300万円の罰金または両方を科せられます。
今回紹介した方法を参考に、自社で就労できる資格なのかや偽変造された在留カードではないことを確認してください。