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特定技能「建設」の業務区分再編で変わったことは?業務内容も解説

特定技能1号「建設」の業務区分は、過去に再編が行われています。
もともと建設分野は19の業務区分に分けられていましたが、従事できる業務の範囲が限られることで就業先の選択肢が狭まってしまうなどの問題点がありました。

再編成により業務区分は大きく3つに統合され、現在では特定技能外国人がより幅広い業務に従事できるようになっています。
それと同時に、人手不足状態にある建設現場でも、外国人材を採用・配置しやすくなりました。

本記事では、特定技能の建設分野における業務区分再編の背景や変更点、再編後の業務内容について解説します。

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特定技能「建設」の業務区分が再編された

特定技能「建設」の業務区分が再編された

2022年8月、建設分野の特定技能の業務区分が大きく変更されました。
それまで19に細かく分けられていた業務区分は、現在3つに統合されています。

業務区分再編の背景

建設分野の特定技能は、もともと19業務区分に分類されていました。
再編が行われたのは2022年の8月です。

再編前の業務区分は細分化されており、外国人材がいずれかの特定技能を取得したとしても、働き方や就業先の選択肢が限られてしまうのがデメリットでした。
また、建設分野は技能実習制度の対象であるにも関わらず、技能実習から特定技能1号には移行できない業務区分が存在するなど、不整合もありました。

業務区分の再編は、こうした問題の解消が主な目的となっています。

業務区分再編によって変わったこと

建設分野の特定技能の再編により、19あった業務区分は3つに統合されました。
細かく分けられていた業務区分を、「土木」「建築」、そして「ライフライン・設備」の大きく3区分に分類し直しています。

これの再編により、特定技能外国人が従事できる仕事の範囲が広がり、柔軟な働き方ができるようになりました。
また、特定技能外国人を受け入れる建設現場でも、人材を効率的に配置しやすくなったといえるでしょう。

再編前に取得した特定技能の業務範囲は変わらずそのまま従事でき、さらに再編後の区分で認められているその他の業務にも携わることが可能です。

特定技能「建設」の業務区分

再編成後の特定技能「建設」の業務区分は、土木、建築、ライフライン・設備の3つです。各業務区分で認められている業務内容を見てみましょう。

業務区分「土木」の業務内容

業務区分「土木」では、道路や公園のような土木施設の新設、改築、修繕などの作業に従事できます。
主な業務内容は、以下のとおりです。

  • 型枠施工
  • コンクリート圧送
  • トンネル推進工
  • 建設機械施工
  • 土工
  • 鉄筋施工
  • とび
  • 海洋土木工

このほか、土木建設に必要となる原材料・部品の調達や搬送、足場の組み立てなどの業務も対象となっています。
再編後の土木区分では、土木工事に関わる幅広い作業に従事できるのが特徴です。

業務区分「建築」の業務内容

業務区分「建築」では、さまざまな建築物の新築や改築、修繕などに従事できます。
主な業務内容は、以下のとおりです。

  • 型枠施工
  • 左官
  • コンクリート圧送
  • 屋根ふき
  • 土工
  • 鉄筋施工
  • 鉄筋継手
  • 内装仕上げ
  • 表装
  • とび
  • 建築大工
  • 建築板金
  • 吹付ウレタン断熱

建設区分では、床や天井、ドアの取り付けなど、建物の施工に必要不可欠な作業に携われるのが特徴です。
また、土木区分と同様に、原材料の調達や足場の組み立てといった関連作業も業務内容に含まれます。

業務区分「ライフライン・設備」の業務内容

業務区分「ライフライン・設備」では、ガス・水道・電気のようなライフラインの整備業務などに従事できます。
新設の工事だけでなく、既存設備に対する修理や撤去工事なども対象です。

  • 電気通信
  • 配管
  • 建築板金
  • 保温保冷

これらの工事にともなう足場の組み立てや設備の掘り起こし、清掃なども、ライフライン・設備区分の業務とされています。
また、消火栓やスプリンクラーの設置をはじめとした消防設備工事にも携わることが可能です。

特定技能「建設」の業務区分と建設業許可の関係

建設分野の特定技能外国人を日本企業で受け入れる場合、従事してもらいたい業務内容と外国人材の所持している業務区分が対応していなければなりません。

業務区分 従事できる業務の種類
土木 さく井工業
舗装工事業
しゅんせつ工事業
造園工事業
大工工事業
とび・土工工事業
鋼構造物工事業
鉄筋工事業
塗装工事業
防水工事業
石工事業
機械器具設置工事業
業務区分 従事できる業務の種類
建築 大工工事業
とび・土工工事業
鋼構造物工事業
鉄筋工事業
塗装工事業
防水工事業
石工事業
機械器具設置工事業
内装仕上工事業
建具工事業
左官工事業
タイル・れんが・ブロック工事業
清掃施設工事業
屋根工事業
ガラス工事業
解体工事業
板金工事業
熱絶縁工事業
管工事業
業務区分 従事できる業務の種類
ライフライン・設備 板金工事業
熱絶縁工事業
管工事業
電気工事業
電気通信工事業
水道施設工事業
消防施設工事業

業務内容に対応した業務区分が2つ以上ある場合、外国人材には、どちらか一方もしくは両方の区分で特定技能認定を受けてもらう必要があります。
なお、外国人材が所持している業務区分の範囲内であれば、複数の作業に従事させても問題ありません。

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特定技能「建設」の業務区分と従事可能な作業現場

特定技能「建設」の業務区分再編は、外国人材に従事させる業務の性質に基づいたものであり、作業現場の種類で分けられているわけではありません。
つまり、特定技能外国人の業務区分に認められた作業内容であれば、どのような作業現場でも問題なく雇用できます。
例えば、ライフライン・設備区分の特定技能には水道施設工事が認められていますが、就業場所の選択肢は土木現場や建築現場などさまざまです。

作業現場のニーズに応じて、外国人材を柔軟に受け入れましょう。

特定技能「建設」の業務区分と技能試験

特定技能「建設」の業務区分と技能試験

外国人材が建設分野の特定技能を取得するには、業務区分ごとに定められた試験への合格が必要です。
また、建設分野の特定技能には1号と2号があり、取得要件が異なります。

特定技能1号

建設分野で特定技能1号の在留資格を得るには、次の要件を満たす必要があります。

  • 業務区分ごとに行われる「特定技能1号評価試験」あるいは「技能検定3級」に合格
  • 日本語試験に合格

評価試験には実技試験と学科試験があり、いずれもコンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式で実施されます。
外国人材が日本の建設分野で働くために必要な、一定の技能と知識があるかを測る試験です。

日本語試験では、「国際交流基金日本語基礎テスト」か「日本語能力試験(N4以上)」のいずれかに合格しなければなりません。
ただし、技能実習2号(または技能実習3号)を良好に修了している場合、技能評価試験と日本語試験は免除されます。

特定技能2号

建設分野で特定技能2号を取得するための要件は、以下のとおりです。

  • 業務区分ごとに行われる「建設分野特定技能2号評価試験」あるいは「技能検定1級」に合格
  • 班長としての実務経験1~3年以上(大工は0.5年以上)

特定技能2号でも、技能試験として実技試験と学科試験が実施されます。
試験はコンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式です。
特定技能2号は一定の日本語能力を持っていることを前提に評価されるため、日本語試験の受験は必要ありません。

一方で、より高い専門性が必要となるぶん、建設現場における班長としての実務経験が一定以上求められます。

技能実習から移行可能な特定技能「建設」の業務区分

技能実習2号を修了した外国人材が特定技能の在留資格を得たい場合、どの業務区分でもスムーズに移行できるわけではありません。
修了した技能実習2号の種類によって、試験免除となる特定技能1号の業務区分は決められています。

特定技能1号 試験免除となる技能実習2号
土木 さく井
型枠施工
鉄筋施工
とび
コンクリート圧送施工
ウェルポイント施工
建設機械施工
鉄工
塗装
溶接
建築 建築板金
建具製作
建築大工
型枠施工
鉄筋施工
とび
石材施工
タイル張り
かわらぶき
左官
内装仕上げ施工
表装
サッシ施工
防水施工
コンクリート圧送施工
築炉
鉄工
塗装
溶接
ライフライン・設備 建築板金
冷凍空気調和機器施工
配管
熱絶縁施工
溶接

参考:運用要領(ガイドライン)別表6-1(建設)

例えば、型枠施工やコンクリート圧送施工を技能実習で学んだ外国人材は、土木区分と建築区分どちらの特定技能1号へ移行するとしても、試験が免除されます。
鉄筋施工やとびの技能実習生も同様に、土木区分、建築区分が移行先として選択できます。

一方、型枠施工の技能実習生がライフライン・設備区分などの移行対象ではない特定技能1号を取得したい場合、該当区分の技能試験に合格しなければなりません。
技能実習生の受け入れを行う企業側でも、移行可能な業務区分について確認しておくことが大切です。

特定技能「建設」の業務区分の再編を確認しよう

特定技能「建設」の分野では、2022年に業務区分の再編が行われました。
19あった業務区分が3区分に統合されたことにより、従事できる業務内容の幅が広がり、外国人材は自身のスキルを最大限活かして活躍できるようになりました。
また、外国人材を臨機応変に配置できるようになったため、受け入れ企業にとっても業務区分の再編は有益なものといえるでしょう。

建設分野の特定技能1号・2号は、いずれも試験合格などの要件を満たすことで認定を受けられます。
技能実習からの移行ルールも理解したうえで、建設現場の人手不足解消のために特定技能制度を活用してみてはいかがでしょうか。

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