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外国人技能実習生の受け入れを検討している企業にとって、彼らの安全と健康を守ることは重要な責務です。
そのなかで、外国人技能実習生総合保険は大きな役割を果たします。
本記事では、この保険の概要や補償内容、加入義務の有無、費用負担について詳しく解説します。
外国人採用を検討中の経営者や人事担当者に必要な情報を、わかりやすくまとめました。
目次
外国人技能実習生総合保険とは
外国人技能実習生総合保険は、日本で働く外国人技能実習生の安全と健康を守るための重要な保険制度です。
この保険は、技能実習生が日本での生活や就労中に直面する可能性のある、さまざまなリスクをカバーします。
法律上の加入義務はありませんが、技能実習生の安全な労働環境と快適な生活を確保するために、多くの受け入れ企業が加入を選択しています。
広く知られているのは、JITCOが提供する「JITCO保険」で、技能実習生の在留期間中、包括的な補償を受けることが可能です。
補償範囲
外国人技能実習生総合保険の補償範囲は、技能実習生の日本滞在期間全体をカバーするように設計されています。
ただし、補償内容は時期によって異なることがあるため、注意が必要です。
以下、外国人技能実習生総合保険・特定技能外国人総合保険 (JITCO保険)を例に、その補償範囲を確認しましょう。
時系列 | 出国~ | 100%補償期間後~帰国 | 再入国~帰国 |
期間 | 治療費用 100%補償期間 (加入時に15日・1ヵ月・2ヵ月から選択) |
治療費用30%補償期間 | 治療費用30%補償期間 |
死亡時の補償 【日常生活】 |
死亡保険金(一時金) | 死亡保険金(一時金) | |
後遺障害の補償 【日常生活】 |
後遺障害保険金(一時金) | 後遺障害保険金(一時金) | |
傷害、疾病治療費 【日常生活】 |
治療費用の 100%補償期間 (公的保険の補償がある場合は、調整される可能性あり) |
国民健康保険、協会けんぽ、組合管掌健康保険(70%給付)
※健康保険の被保険者になっていない場合などは、負担金額の30% |
国民健康保険、協会けんぽ、組合管掌健康保険(70%給付)
※健康保険の被保険者になっていない場合などは、負担金額の30% |
第三者への損害賠償 【日常生活】 |
損害賠償金、訴訟費用 等 | 損害賠償金、訴訟費用 等 | |
死亡、危篤時への 救援者費用 |
救援者(ご家族)の往復交通費、ホテル宿泊費 等 | 救援者(ご家族)の往復交通費、ホテル宿泊費 等 |
JITCO保険では、母国の出国から日本への入国、帰国までの期間を大きく3つに分けて、補償範囲を定めています。
公的保険の資格取得時期を考慮し、入国前後の一定期間は補償が厚く設定されています。
この期間は、加入時に「15日・1ヵ月・2ヵ月」の3パターンから選択することが可能です。
まず、出国から100%補償期間終了までは、治療費用の補償は全額です。
100%補償期間終了後から帰国までは、治療費用の30%が補償されます。
再入国した場合、さらに帰国まで同様に30%の補償が続きます。
全期間を通じて、死亡保険金、後遺障害保険金、第三者への損害賠償、救援者費用などもカバーされる設計です。
これにより、技能実習生は安心して日本での生活と労働に専念できるのです。
補償内容
外国人技能実習生総合保険の具体的な補償内容は、主に以下の4つの項目から構成されています。
- 傷害治療費用保険金、傷害死亡・後遺障害保険金
- 疾病治療費用保険金、疾病死亡保険金
- 賠償責任保険金
- 救援者費用等保険金
これらの補償により、事故によるケガや病気の治療費、不幸にも死亡した場合の保険金、他人への損害賠償、緊急時にご家族を呼び寄せるための費用などがカバーされます。
ただし、歯科疾病、既往症の治療、美容整形、妊娠・早流産・出産に関連する費用、けんかや自殺行為、犯罪行為に関わるものなどは補償対象外となります。
これらの除外項目について、技能実習生にも事前に説明しておくことが重要です。
対象期間
外国人技能実習生総合保険の補償対象期間は、技能実習生の在留期間に合わせて設定されます。
通常、技能実習生の在留期間は1年間なので、保険の補償対象も基本的に1年間です。
しかし、1年以上の在留が認められている場合は、保険の再加入により最大2年間の延長が可能です。
これにより、技能実習生の滞在期間全体をカバーできます。
受け入れ企業は、技能実習生の予定滞在期間を考慮し、適切な補償期間を選択することが大切です。
また、在留期間が延長された場合は、速やかに保険の延長や再加入の手続きを行うことをおすすめします。
外国人技能実習生総合保険の加入義務
外国人技能実習生総合保険は、法律で定められた強制加入の保険ではありません。
しかし、技能実習生の安全と健康を守るために、多くの受け入れ企業が自主的に加入を選択しています。
法務省の「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」では、公的保険を補完する民間の傷害保険等への加入が技能実習生の保護に資するものとして推奨されています。
これは、毎年不慮の事故や疾病に遭遇する技能実習生が見受けられることを考慮したものです。
実習実施機関である企業には、技能実習生が万が一事故に遭遇した場合でも、迅速かつ適切に対応できる体制を整えることが求められます。
外国人技能実習生総合保険への加入は、そのための有効な手段の一つといえるでしょう。
外国人技能実習生総合保険の費用の負担
外国人技能実習生総合保険の保険料は、原則として受け入れ企業が負担します。
これは、技能実習生の安全と健康を守る責任が主に受け入れ企業にあるためです。
保険についての説明が不十分だと後々大きなトラブルに発展する可能性があるため、保険の補償内容や自己負担の可能性について、技能実習生が十分に理解できるよう、丁寧な説明を心がけましょう。
また、JITCO保険以外にもさまざまな保険商品が存在し、それぞれ補償内容が異なる場合があります。
例えば、補償後の医療費も企業側が負担する必要がある保険や、第三者への損害賠償がオプション扱いになっている保険もあります。
自社のニーズと技能実習生の保護のバランスを考慮しながら、最適な保険を選択しましょう。
外国人技能実習生総合保険を利用して技能実習生を受け入れよう
外国人技能実習生総合保険は、技能実習生の安全と健康を守る重要なツールです。
法的義務はありませんが、法務省の指針でも推奨されており、技能実習生と受け入れ企業の双方にメリットをもたらします。
保険料は主に企業が負担しますが、補償内容や自己負担の可能性について技能実習生に十分説明することが大切です。
適切な保険を選択し活用することで、技能実習生の安心と企業の社会的責任の遂行につながります。
より良い実習環境の実現に向けて、この保険の導入を前向きに検討しましょう。