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外国人労働者が日本語の勉強でつまずくポイントは?企業ができることも

日本で働く外国人労働者が年々増加するなか、受け入れ企業と外国人の双方の課題として立ちはだかるのが、言語の違いです。
外国人にとって日本語の習得は、仕事面だけでなく、より良い生活を送るためにも大きな役割を果たします。

一方で、日本語学習に難しさを感じている外国人は少なくありません。
企業側でも、外国人が直面している困難を認識したうえで、学習に必要なサポートを提供することが重要です。

本記事では、日本語を勉強する外国人がつまずきやすいポイントと、企業にできる学習の支援方法を解説します。
外国人との円滑なコミュニケーションは、職場への定着や従業員同士の信頼関係構築、業務効率化につながるでしょう。

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日本語を勉強する外国人が感じていること

日本語を勉強する外国人が感じていること

外国人労働者にとって、日本語の習得は容易ではありません。
実際に、日本で生活をする外国人のなかには、十分な日本語能力がないことで日常生活や仕事の場面で困難を経験した方が少なからずいます。
文化庁の「令和5年度 在留外国人に対する基礎調査」によると、「企業に属する在留外国人が所属機関等に相談した際の困りごと」として最も多かったのは「言語の問題で正確な意思疎通が難しい」(36.1%)でした。
また、「所属機関への相談対応で求めるもの」としては「言語」(56.7%)が最も多くなっています

ただし、「言語の問題で正確な意思疎通が難しい」ことを理由に、所属機関へ相談しない在留外国人も15.3%となっており、外国人の日本語学習に対するサポートの必要性がわかるでしょう。

外国人が日本語の勉強でつまずくポイント

日本語を勉強する外国人は、次のようなポイントで母語との違いに苦戦する場合があります。

  • 文法
  • 漢字
  • 敬語
  • 語彙の多さ
  • ニュアンスの理解
  • 発音やアクセント

日本語を使いこなすには、文法や語彙を学ぶだけでなく、言葉のニュアンスを読み取るスキルも身につけなければなりません。
企業側では、外国人が日本語学習でつまずきやすい要素をふまえて、やさしい言葉選びを意識するとともに、どのような支援ができるかを検討しましょう。

文法

日本語の学習を難しくする要因の一つに、文法があります。
特に、英語や中国語などのSVO型言語を母語とする学習者にとって、日本語のSOV型の語順は混乱しやすいポイントです。

  • 日本語:私はりんごを食べる(主語・目的語・動詞)
  • 英語:I eat an apple(主語・動詞・目的語)

日本語の語彙を多く学んだとしても、語順の理解が十分でなければ、文章として組み立てられません。
また、日本語特有の助詞の使い分けも外国人を悩ませます。
「~は」「~が」「~を」「~に」など、助詞の使い方次第で文の意味が変わってしまいますが、正しく区別できるまでには時間がかかる場合もあるでしょう。

漢字

外国人の日本語学習を難しくする要因に、ひらがな・カタカナに加えて、漢字を併用する複雑な文字体系を持つことも挙げられます。
日本の常用漢字は2,000文字以上ありますが、非漢字圏出身の学習者の場合、その一つひとつの書き方と読み方、意味を学ばなければなりません。

さらに、一つの漢字に複数の読み方(音読みと訓読み)があることも、日本語の学習を一層難しくしています。
例えば「生」は、「せい」「しょう」「い(きる)」「う(まれる)」など文脈によって読み方が変化する漢字です。
「生業(なりわい)」「生命(いのち)」のように、熟語になると特殊な読み方をするケースもあり、一朝一夕で習得できるものではありません。

漢字を調べる際も、部首や画数の知識がなければ辞書を効果的に使用できず、学習につまずきやすくなります。

敬語

ビジネスシーンに欠かせない敬語表現も、日本語を学ぶ外国人の障壁となります。
敬語は、尊敬語・謙譲語・丁寧語の大きく3種類に分類でき、それぞれ状況に応じた使い分けが必要です。

相手の立場や自分との関係性によっては、尊敬語・謙譲語を間違えることで失礼になる可能性があり、使い分けに迷う外国人も少なくありません。
例えば「行く」という同じ動詞でも、尊敬語では「いらっしゃる、おいでになる」、謙譲語では「伺う、参る」、丁寧語では「行きます」と表現が変わります。

仕事では特に敬語を求められる場面が多いものの、過度に敬語を使用すると親しみにくく、よそよそしい印象を与えがちです。
状況に合わせた敬語の使い分けは、日本に暮らす外国人が周囲と良好な人間関係を築くためにも、向き合う必要のある課題といえます。

語彙の多さ

日本語の豊富な語彙も、外国人が学習のハードルを感じやすいポイントに挙げられます。
社会生活を送るうえで必要な語彙数は約10,000語といわれており、これは日本語能力試験(JLPT)の最高難度レベルであるN1の認定目安と同程度です。

英語学習を例に比較すると、国立国語研究所『語彙の研究と教育』では、使用率上位の英単語1,000語が身についていれば、会話や文章の約80%を理解できるとしています。
さらに上位3,000語まで知っている場合、英語のカバー率は90%にまで達しますが、対する日本語は、上位3,000語を習得してもカバー率は75%程度です。

日本で働く外国人は、日常会話や業務上のコミュニケーションを円滑に行うため、膨大な語彙を学ぶことになります。
習得には時間と労力がかかり、学ぶモチベーションを保てなくなることもあるでしょう。

ニュアンスの理解

日本語のコミュニケーションでは、微妙なニュアンスから言葉の裏を読み取る場面も珍しくありません。
日本人特有の婉曲的な表現やはっきりと言葉にしない文化も、外国人の日本語学習を難しくしています。

例えば、誘いに対して「考えておきます」と答えられた場合、外国人のなかには「承諾してもらえる可能性がある」ととらえる方もいるでしょう。
しかし、日本人にとっては婉曲的な断りを意味するケースがあります。
さらに「わかりました」は了承ととらえられるのに対し、「わかっています」では反発的なニュアンスが含まれることも少なくありません。

このように、肯定や否定を直接言葉にしないという相手への配慮が、外国人とのコミュニケーションでは誤解を招く可能性があります。
本音と建前を使い分け、複雑なニュアンスを伝えるコミュニケーションは、日本の文化に根付いており、外国人がこの感覚をつかむのはなかなか難しいでしょう。

発音やアクセント

日本語のなかには、同じ読み方で異なる意味を持つ言葉が複数存在し、外国人のみならず日本人同士の会話でもすれ違いを生むことがあります。
以下は、同じ読み方でもアクセントの違いによって意味が変わる言葉の例です。

  • あめ:雨、飴
  • いがい:以外、意外
  • はし:橋、箸

外国人がこれらの違いを聞き分け、さらに正確な発音で伝えるには、実際に聞く・話す練習を重ねなければなりません。
また、国外の言語のなかには、音をつまらせて発音する「っ」という促音を持たないものもあります。
外国人の母語によっては、日本語の「きって(切手)」「きて(来て)」など促音の有無で意味が変わる言葉をうまく発音できず、習得にも時間がかかるでしょう。

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日本語を勉強する外国人社員に企業側ができること

日本語を勉強する外国人社員に企業側ができること

外国人従業員の日本語能力は、受け入れ企業にとっても気がかりな要素です。
円滑なコミュニケーションは、業務効率の向上とともに従業員同士の関係を良好に保ち、人材に定着してもらうためにも欠かせません。
雇用した外国人の日本語能力向上をめざすため、企業側にできる支援策を4つ見てみましょう。

日本語研修の実施

外国人の日本語学習を直接的に支援する方法として、日本語研修の実施が考えられます。
日本語能力の向上だけでなく、外国人の帰属意識を高める効果も期待できる取り組みです。
研修の実施方法は、大きく2種類あります。

  • 自社の講師が指導を行う
  • 外部の研修サービスを利用する

自社講師による研修の内製化は、社内の文化や業務内容に即した指導を行える点がメリットです。
ただし、日本文化に馴染みのない外国人に適切な教育を行うには、専門的なスキルが求められ、ただ文法や語彙を説明すれば良いわけではありません。
日本語教育のノウハウがない採用担当者や人事部の社員などが、行き当たりばったりで講師を担当するのは避けましょう。

外部の研修サービスを利用する場合、専門性を持った日本語講師による質の高い指導が期待できます。
費用は発生しますが、研修の成果を重視したい場合には、外部からプロの講師を招くのがおすすめです。

研修は定期的かつ継続的に行う必要があるため、企業の規模や外国人の人数、予算なども考慮して、どちらのアプローチが適しているかを決定しましょう。

学習環境の整備

外国人従業員の日本語学習を支援するには、適切な学習環境の整備も不可欠です。
上述した日本語研修をはじめ、日本文化を学べるレクリエーションの実施、従業員同士が交流できるスペースの確保など、異文化理解が深まる環境を整えましょう。
日本語に触れる機会が増えることで、外国人の学習意欲を高められると同時に、社内のグローバル化にもつながります。

また、オンラインでの日本語学習ツールを導入し、外国人が自分のペースで学べるよう支援するのも一案です。

学習情報の提供

雇用した外国人の日本語能力を伸ばすには、企業による学習情報の提供が必要になります。
オンラインで利用できる教材や日本語学習アプリなら、時間・場所の制約を受けず、外国人自身の理解度に合わせて勉強を進めてもらえるでしょう。
日本語研修についても、リモート受講の選択肢があると、自宅で仕事をしている場合にも利用しやすく、あとから見返すことも可能です。

なお、自主学習型ツールの提供には、注意点もあります。
個人の意欲や取り組み方によっては学習成果に差が生じやすいため、定期的な進捗確認や励ましなど、外国人のモチベーションを維持する工夫が必要です。

メンタル面のサポート

外国人の日本語学習をサポートするうえで、企業によるメンタル面のケアも重要な意味を持ちます。
言語・文化の異なる環境で、外国人は不安や孤独感を抱いているケースも珍しくありません。
言葉の壁によるコミュニケーションの難しさから、職場に馴染めないと感じさせてしまった場合、早期離職につながる可能性もあります。

企業は、外国人が直面しているこれらの困難を理解し、積極的にフォローアップを行うとともに、気軽に相談してもらえる体制を整えましょう。
日本語でのコミュニケーションが困難な外国人の場合、英語などを得意とする相談対応者の配置も検討してみてください。

また、日本人従業員に対しても、外国人とのコミュニケーションで注意すべきポイントを共有し、相互理解の重要性を理解してもらう必要があります。
複雑な言い回しは避けて簡潔に話す、図や絵を使って説明するなど、意思疎通を助ける工夫を心がけましょう。

働きながら日本語を勉強する外国人を適切に支援しよう

日本で働く外国人の多くは、日本語の習得に難しさを感じています。
外国人が日本語を勉強する場合、文法や漢字、語彙、敬語、さらにニュアンスの違いによる言葉の受け取り方など、多岐にわたる要素を基礎から身につけなければなりません。
これらの要素が日本語表現を豊かにしている一方で、複雑さを生んでいます。
結果として、学習につまずいてしまった外国人は、仕事や日常生活で困難に直面する場面もあるでしょう。

外国人が日本語学習のモチベーションを保ち続けるには、企業による適切なサポートが必要不可欠です。
日本語研修を実施するなどの直接的なサポートのほか、学習環境の整備、メンタル面のケアなど、多角的なアプローチが求められます。

外国人従業員が抱える日本語能力の悩みは、個人の努力にゆだねるものではなく、組織全体で取り組むべき課題と考えましょう。
円滑なコミュニケーションは、業務効率の向上や社内のグローバル化のみならず、外国人が安心して働ける職場環境の実現にもつながります。

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