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入管法に時効はある?不法残留・入国した外国人労働者の処分について解説

出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)とは、日本に出入国する人のすべての出入国を公正に管理し、難民認定の手続きを整備するための法律です。
在留資格や不法滞在、難民認定の手続きなどに関して定められています。

本記事では入管法違反をしている外国人がいる場合の時効について、詳しく解説します。
外国人を抱える事業主も入管法の知識が必要ですので、ぜひ最後までお読みください。

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入管法違反|不法残留の時効

入管法違反|不法残留の時効

不法残留とは、合法的に残留可能な期間を経過したあとも、日本に不法に滞在することです。

外国人労働者の雇用をする事業主も、不法残留に関われば、故意でなくとも罪に問われてしまう可能性があります。
お互いが不幸なことにならないためにも、雇う前にしっかりと在留資格の情報を確認しましょう。

ここでは不法残留の時効の有無や、該当ケースについて詳しく解説します。

不法残留には時効がない

結論からいうと、不法残留自体に時効はありません。
不法在留は、現在進行形で犯罪を積み重ねている「継続犯」とみなされているためです。

2000年の入管法改正まで、不法入国や不法上陸した場合には不法入国罪のみが成立し、不法残留罪は成立しませんでした。
不法入国罪の時効は3年のため、時効が成立したあとは罪に問うことができなかったのです。

その不都合を解決するため、2000年に入管法改正で「不法在留罪」が新設されました。
これにより、不法残留は時効なしで罪に問われ、「3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金」の刑罰を科すことができるようになったのです。

不法残留に該当するケース

不法残留に該当するケースには、以下のものがあります。

  1. 在留期間の更新・変更をせず、期間を過ぎた状態で日本に在留する者
  2. 在留資格を取り消されたのにも関わらず、日本に在留する者
  3. 定められた在留資格以外の労働を行っている者
  4. 寄港地上陸許可や通過上陸許可などの特例上陸許可で認められた上陸期間を超えて日本に在留する者
  5. 出国命令の期限を守らなかった者
  6. 難民認定申請中の仮滞在期間を過ぎた者
  7. 不正手段によって難民認定を受けた者

ただし1と4については、日本へ上陸後すぐに入国審査官に難民であることを申請し、その証明があれば罪に問われません。

外国人労働者の雇用を考えている事業主は3の「資格外活動違反」に注意する必要があります。
在留資格で認めている業種以外の業務をさせたり、所定の勤務時間を超えて働かせたりすると、働かせていた事業主も罪に問われてしまいます。

入管法違反|不法入国罪の時効

不法入国とは、正規の旅券(パスポート)や上陸許可証印、または上陸許可を受けないで日本に入国し、そのまま在留することです。
領海や領空に入った時点で「入国」になります。
不法入国も不法在留同様、罪に問われる行為です。

ここでは不法入国罪の時効の有無と、不法入国に該当するケースについて詳しく解説します。

不法入国罪の時効

不法入国罪の時効は3年です。
ここでいう時効とは、犯罪が終わったときから一定期間が経過すると公訴が不可能になる「公訴時効」のことを指します。
つまり、不法入国して3年が経過すると、違反した外国人を刑事裁判にかけられなくなるのです。

しかし前述のとおり、不法在留罪には時効がありません。
そのため、不法入国してから3年が経ち時効が成立したとしても、不法滞在を続ければ不法在留罪の対象となるのです。

不法入国に該当するケース

不法入国に該当するケースは、以下のとおりです。

  1. 有効な旅券を持たない、または上陸許可証や上陸許可を受けないで日本に入国した者
  2. 入国審査官から上陸許可を受けないで日本に上陸した者
  3. 仮上陸許可を受けた者で、許可条件に違反し、逃亡または正当な理由なく呼び出しに応じない者

上記の1と2に該当し、難民認定を受けた者は罪に問われません。

ここでいう「上陸」とは、港や空港の上陸審査場の外に立ち入ることをいいます。
空港の到着ターミナルに入っただけでは、「上陸」したとはなりません。

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入管法違反の罰則規定

退去強制事由に該当した場合、罰則は刑事手続きとして、退去強制は行政処分として、同時に別々の処分を受けることになります。

また入管法というと、在留資格のない外国人が処罰されるものというイメージがあるかもしれませんが、日本人であっても在留資格をもたない外国人を雇い入れた場合は入管法の罰則を受ける可能性があります。

ここでは、入管法違反の罰則規定について詳しく見ていきましょう。

懲役・罰金

入管法に違反した場合、次の罰則が課されます。

  1. 3年以下の懲役もしくは禁錮
  2. 300万円以下の罰金
  3. 1と2の両方

罰則の具体的な内容は、個人の事情や過去の在留履歴、違反の程度によって決定されます。
この規定は、不正難民認定を除きすべて退去強制事由となります。

退去強制

退去強制とは、日本に不法に入国・滞在した外国人に対して、強制的に国外へ退去させることをいいます。
退去強制されると、その日から5年間は日本に入国できません。

退去強制は、原則として以下の流れで進んでいきます。

  1. 入国警備官の違反調査
  2. 収容令書による収容
  3. 入国審査官の違反審査
  4. 特別審理官の口頭審理
  5. 法務大臣の裁決
  6. 退去強制

退去強制は、不法入国・不法在留はもちろん、在留資格の偽造や資格外活動を行った場合も対象です。

ただし、日本人との結婚や日本の国籍を持った子どもがいる場合など、特別な事情がある際は、例外的に日本に滞在し続けることができる場合があります。

出国命令

出国命令とは、自ら地方出入国在留管理官署に出頭し、速やかに出国を希望した場合に、自主的に出国できる制度です。
この場合には、出国後の日本への上陸拒否期間が5年から1年に短縮されます。

ただし出頭したからといって、無条件に出国命令が下るとは限りません。
以下の条件をすべて満たす場合のみ、出国命令が下ります。

  1. 以下のaまたはbのいずれかに該当する者
    a.違反調査が始まる前に、速やかに出国することを希望し、自ら出入国在留管理官署に出頭した者
    b.違反調査が開始されたあと、入国審査官による認定通知書を受ける前に、入国審査官または入国警備官に速やかに出国する意思を表明した者
  2. 不法残留以外の退去強制に該当する事由がない者
  3. 日本在留中に懲役・禁錮刑に処されていない者
  4. 過去に退去強制・出国命令を受けたことがない者
  5. 速やかに出国することが確実と見込まれる者

入管法違反に対する時効はほぼ定められていない

不法入国・不法上陸した場合は3年で時効が成立しますが、不法在留が継続する限りは「継続犯」とみなされ、時効が適用されることはありません。

外国人労働者の受け入れは人手不足の解消や採用コストの削減にもつながるメリットがありますが、知らぬ間に入管法に違反している恐れもあります。
違反した場合には懲役や罰金が課される可能性もあるので、外国人労働者を雇う場合には必ず確認しましょう。

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