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外国人雇用状況届出書とは?|概要と書き方、注意点を解説

外国人雇用状況届出書とは、外国人労働者を雇用または退職させる際に提出する書類のことです。
届出書の提出は、雇用主である企業の義務であり、雇用した人材の氏名や生年月日、在留資格などを詳細に報告する必要があります。
提出を怠った場合は罰則の対象となる恐れもある重要な書類ですが、どのように提出すれば良いのかわからないという方もいるかもしれません。

本記事では、外国人雇用状況届出書の提出方法や注意点、いつまでに提出すべきなのかなどを解説します。
外国人労働者が雇用保険の被保険者となるか否かで届出の様式が異なるため、記入例とあわせてチェックしておきましょう。

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外国人雇用状況届出書とは

外国人雇用状況届出書とは

外国人雇用状況届出書は、日本企業における外国人の雇用時および退職時、すべての事業主に提出が義務付けられている書類です。
ここでは、外国人雇用状況届出書の対象となるケースとならないケースの判断基準、届出の期限について詳しく見てみましょう。

外国人雇用状況届出が義務である理由

外国人雇用状況届出書の提出は、雇用対策法第28条で義務付けられています。

(外国人雇用状況の届出等)
第二十八条(抄)
事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合またはその雇用する外国人が離職した場合には、
厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格、在留期間その他厚生労働省
令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

引用元:昭和四十一年法律第百三十二号 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律

新たに外国人を雇入れた場合、もしくは雇用していた外国人が退職した場合には、その外国人の氏名や在留資格などを厚生労働大臣に届け出なければなりません。
届出が必要な当該事項には、性別や国籍、居住地なども含まれており、どの項目が対象になるかは雇用時と退職時で変わります。
外国人雇用状況届出書の提出時は、状況に合わせて必要項目を確認するようにしましょう。

外国人雇用状況届出の対象となる外国人・ならない外国人

外国人雇用状況届出書はすべての外国人労働者が対象になるわけではなく、在留資格によっては報告が不要な場合もあります。
また、外国人労働者が雇用保険に加入するか否かで、届出の提出期限が異なることも覚えておきましょう。

届出の対象となる外国人

次のような雇用形態で外国人労働者を雇用する場合、原則として外国人雇用状況届出書の対象となります。

  • 外国人アルバイト
    外国人留学生や、家族滞在の在留資格を持つ主婦の方などをアルバイトとして雇用したときには届出書の提出が必要です。
    なお、外国人の方がアルバイトに従事するためには、出入国在留管理官署から「資格外活動許可」を得ることが条件となります。
  • 外国人正社員
    日本の事業主が外国人労働者を正社員として雇用した場合は、基本的に届出の対象です。
    雇用契約を締結しないケースであっても、「使用者が労働者に業務を指示し、賃金を支払っている状態」と認められれば、届出が必要になるため注意しましょう。
  • 外国人派遣社員
    外国人労働者を派遣社員として雇用した際も、届出の対象です。
    このとき届出の義務が発生するのは、雇用先ではなく派遣元の事業主となります。
    派遣先での就業期間のみ雇用関係が発生する登録型派遣であれば、新たな派遣先が決まるたびに届出を提出しましょう。

届出の対象とならない外国人

特別永住者の方や帰化した方、外交・公用の在留資格を持つ方は、外国人雇用状況届出書の提出が必要ありません。

  • 特別永住者
    特別永住者とは、入管特例法(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法)に基づく特別な在留資格です。
    サンフランシスコ平和条約のもと日本国籍を離脱した外国人の方を指しており、入管法で定められた29種類の在留資格の一つではなく、特例で届出提出が不要とされています。

混同されやすい在留資格として永住者がありますが、こちらは在留期間や職種の制限がない一方で、外国人雇用状況届出書の対象となる点に注意が必要です。

  • 帰化
    帰化した外国人の方も届出書の提出は必要ありません。
    日本における帰化とは日本国籍の取得を意味し、法律上で日本人という扱いになるためです。
  • 外交・公用
    外交・公用の在留資格を持つ外国人の方も、届出書の対象ではありません。
    外交・公用のいずれも、日本と外国のあいだの外交関係の維持・発展を目的として設置された在留資格であることが理由です。
    外国政府の職員や領事官、外交伝書使などに付与される資格のため、届出の提出は不要となります。

届出の期限は?

届出書の提出期限は、対象の外国人材が雇用保険の被保険者となるか否かで変わります。

外国人雇用状況届出書の対象者 提出期限
雇用保険の被保険者 ・雇用時は翌月10日まで
・離職時は離職翌日から起算して10日以内
雇用保険の被保険者ではない ・雇用時も離職時も翌月末まで

対象者が雇用保険の被保険者の場合、雇用した際は翌月の10日まで、離職した際は離職翌日から数えて10日以内に届出の提出が必要です。
一方、対象者が雇用保険被保険者でない場合は、雇用時・離職時ともに雇用日もしくは離職日の翌月末までに提出しなければなりません。

労働者の1週間の所定労働時間が20時間を超え、なおかつ31日以上雇用契約が継続するケースでは、雇用保険の加入が義務となります。
保険加入の必要性を正しく判断したうえで、決められた期限までにきちんと届出を提出するようにしましょう。

外国人雇用状況届出書を出し忘れているとどうなる?

外国人雇用状況届出書を出し忘れているとどうなる?

外国人雇用状況届出書の提出を忘れた場合、雇用主には30万円以下の罰金が科されるため注意しましょう。
虚偽の届出を行った場合も同様に罰則の対象となるため、情報に誤りがないよう外国人労働者本人の在留カードなどを十分に確認するようにしてください。

なお、届出の提出が義務付けられているのは雇用保険被保険者だけではなく、短期のアルバイトなども同様です。
上述したとおり、雇用時だけでなく退職時も届出が必要ですが、外国人アルバイトの退職時に提出を忘れてしまう事例は少なくないため注意しましょう。

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外国人雇用状況届出書の提出先

外国人雇用状況届出書の提出先には、以下2パターンが考えられます。

  • 外国人雇用状況届出書をハローワークに提出する
  • 外国人雇用状況届出システム上にてオンラインで提出する

必ずしもハローワークに足を運んで書類を提出する必要はなく、オンラインで届出を済ませることも可能です。

外国人雇用状況届出書をハローワークに提出する

ハローワークに直接届出を提出することで、手続きができます。
外国人雇用届出書の用紙はハローワークの窓口で受け取れるほか、厚生労働省のホームページからフォーマットのダウンロードも可能です。

在留資格や在留カードの番号などを記載する必要があるため、事前に外国人労働者の在留カードまたはパスポートを提示してもらい、情報を確認しておきましょう。
必要事項を記入できたら、雇用する外国人の勤務先である事業所・施設などの住所を管轄するハローワークへ書類を提出してください。

後述する外国人雇用状況届出書システムと併用する必要はなく、どちらかの方法で提出すれば問題ありません。

外国人雇用状況届出システムで提出する

雇用した外国人材が雇用保険の被保険者でない場合、厚生労働省の外国人雇用状況届出システムから届出を提出できます。
ハローワークに直接出向かずともオンラインで手続きが完結し、添付書類なども必要ないため、外国人雇用状況届出書をより手軽に提出したい方に便利です。

外国人雇用状況届出システムから提出する場合は、ユーザー情報登録が必要となります。
登録後、雇用情報メニューにある「外国人雇用情報新規登録」「外国人離職情報登録」のボタンからそれぞれ申請が可能です。
操作マニュアルも公開されているため、参照しながら手続きを進めると良いでしょう。

なお、外国人材が雇用保険の被保険者であれば、行政ポータルサイトのe-Govを通じた外国人雇用状況届出の電子申請を利用できます。

外国人雇用状況届出書の様式とその記入例

外国人雇用状況届出書の記入例を、下記2パターンの様式ごとにチェックしてみましょう。

  • 雇用保険の被保険者の場合
  • 雇用保険の被保険者ではない場合

外国人雇用状況届出書には、対象となる外国人労働者の情報はもちろんのこと、勤務先である事業所についての記載事項もあります。
提出期限に間に合うよう、必要な情報は早めに確認しておくのがベターです。

雇用保険の被保険者の場合

対象の外国人労働者が雇用保険の被保険者の場合、外国人雇用状況届出書を個別に作成する必要はありません。
雇用保険被保険者資格取得届を提出する際に、17~23欄を追記することで外国人雇用状況届出書の提出を兼ねることになるためです。

雇用保険被保険者資格取得届の記入例は、以下のとおりです。

雇用保険の被保険者の場合

出典:雇 用 保 険 被 保 険 者 資 格 取 得 届 の 記 入 例

また、2020年3月からは在留カード番号の記載も必要となりました。
外国人労働者の在留カードやパスポートの情報をもとに、記入漏れや誤字脱字などがないよう書類を作成しましょう。

雇用保険の被保険者でない場合

雇用保険の被保険者とならない場合は、「届出様式(第3号様式)」という書類で提出する必要があります。
令和2年3月1日から様式が変更されているため、ダウンロードして作成する場合には、新しい様式かどうか確認するようにしてください。

記入が必要になるのは、下記の10項目です。

  1. 氏名とフリガナ
  2. 在留資格
  3. 在留期間
  4. 生年月日
  5. 性別
  6. 国籍・地域
  7. 資格外活動許可の有無
  8. 在留カードの番号
  9. 「雇入れ年月日」または「離職年月日」
  10.  事業主欄

詳しくは、以下の記入例を参考にしてみてください。

雇用保険の被保険者でない場合

こちらも雇用保険被保険者資格取得届と同様に、在留カード番号が求められます。

外国人雇用状況届出書は記載内容に注意して、期限内に提出しよう

外国人雇用状況届出書は、外国人材の雇用もしくは退職が発生した際に提出が義務付けられている書類です。
正社員やアルバイト、派遣社員などの雇用形態を問わず、届出対象に該当する場合には期限までに申請手続きをしなければなりません。
例外的に届出が必要ないのは、特別永住者の方や帰化したことで日本国籍となった方、外交・公用の在留資格を持つ方です。

外国人雇用状況届出書の提出方法は、ハローワークに直接出向くほか、オンラインで提出できる外国人雇用状況届出システムも利用できます。
申告漏れや虚偽の内容を提出した場合、罰則の対象となりうるため注意しましょう。
マニュアルなどを参考に記入ミスがないよう注意しつつ、期限までに提出するよう早めの準備を心がけてみてください。

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